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デロデロの甘々
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「ようこそおいで下さいました。アレクシス・グランタール殿下」
では失礼しますと、エルちゃんと共にすぐ帰りたいところだが、そうも行かないだろう。
「我が弟エルドレットにご用とか、もしやエルが粗相でも致しましたか?ならばこの姉の監督不行き届き、深く謝罪申し上げます」
「いや、バーバリアンに帰る途中、このカリオンに寄ったまで。先日そこのエルドレットと少々話をしたのを思い出し、また話をしてみたいと思い呼んだのだ」
帰る途中って、その言い訳は苦しいだろう?方向と距離を考えて見ろよ。
「それはそれは、エルドレットの事を気に掛けていただき、ありがとうございます。お話とは何やら楽しそうですね。このあと私も用が無いゆえ、その話にぜひ混ぜていただけますか?このエルドレットは少々粗忽者で、殿下に何かしないかと、姉として心配なのですよ」
この後予定が無い?はっ!びっちり詰まってますよ。でもそんな物よりエルちゃんの方が大事なんだよ。何たって、私はエルちゃんの第一の騎士なんだから。
まあ仕方が無いから、別室に移り三人で話をする事にした。
そこは比較的小さな部屋で、テーブルもそこそこの大きさしかない。
何だよけち臭いな!相手はこの国の王子なんだぞ、もっと気を聞かせろよ。
と思ったが、何やら王子が裏から手を回したようだ。
もっと広い部屋で、長ーいテーブルの端と端で話をすればいいのに。
「殿下、この子に話とはいかなることでしょうか?」
エルちゃんはきっと、殿下に話などしないだろうから、あえて私が先制球を放つ。
話をしないでは無く、したく無いのだろうが。
「いや、…先日エルドレット君に会った時、少々失礼をしたとから、一応詫びておこうと思ったのだが」
「あぁ、あの時ですか。エルは全然気にしておりませんので大丈夫です。用事はそれだけですか?それならそろそろ失礼をして……」
いや、待った。
これはいい機会ではないか?
そう思い、私は浮かせかけた腰をもう一度落とし、相手の出方を待つ。
「………………………」
「………………………」
「………………………」
あぁっ!何だよこの空気は。
どこかのうぶな初恋かよ!
殿下はじっとエルちゃんを見つめて、エルちゃんはそれから目を逸らして、私はそれを傍観している。
仕方が無いと、再び私が口火を切った。
「殿下?」
「あっ、いや失礼をした。エルドレット君、先日は大変失礼をした。あの時は思う事が有り、気が高ぶってしまったようだ。それを君にぶつける事になってしまったようで、君に怖い思いをさせてしまったな」
「いえ」
怖い思い?あんた私のエルちゃんに何をした!
でもエルちゃんの答えも必要最低限のものだ、やはりエルちゃんは殿下を切り捨てるつもりなんだろうか。
それならやはり、このエルちゃんの為に、私が一肌脱がねばならないだろうな。
真実を自覚してからじゃないと、エルちゃんはちゃんと前を向いたつもりでも、明後日の方向を向いてしまうものね。
「殿下、最近耳にした事が有りまして、少々立ち入った事では有りますが、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「まあ、事と次第によるが、言ってみればいい」
「はっ、それでは遠慮なく。実はエルから聞いたところによれば、このエルと婚約者様の容姿、いえ何やら、似ているとお聞きしましたが、それは誠ですか。私はとても弟が、とてもそんな方に似ているとは思えなくて」
「容姿?そうだな、似ている。今の彼女と似ていないと言われればそれまでだが、彼は、私が彼女と知り合った当時の容姿とよく似ている」
「はて?それは如何ほど前で?」
「その当時彼女は、二歳になる直前だったはずだ」
あ~~ダメだ。
こいつかなり拗らせてるわ。
というか、エレオノーラ様に寄せる思いは本物だろうな。
ただエルちゃんがエルちゃんだから、それをどう受け取るかだよ。
自分を思う価値があまりにも低すぎて、自分を卑下しているもんな。
いくら殿下が口説こうとも、何を言っても無駄そうだけど。
ふとエルちゃんを見れば、何やら真っ赤になっている。
もしやエルちゃん、少しは自覚してきた?
よし、もう一押し。
「殿下、もしよろしければ婚約者様の事をお聞きしてもよろしいでしょうか。いえ、これは私の単なる好奇心であり、お聞きする筋合いではありませんでしたね」
「いや、構わない。彼女は……そうだな、一言でいうなら、まるで女神のような存在だ。いや、妖精と言っても通るだろう。儚く、可憐で美しい。見た目だけでなく、その心も清く光り輝いている」
凄いな…………。
「初めて会った彼女はまだ幼かったが、それでも触れてはいけないような高潔な存在だった。彼女は優しくケガをした私を治療してくれた。つまりもうその頃からかなりの能力を持っていたのだろう。彼女は私のケガをまるで自分の事のように、苦しみ、悲しんでくれた。それからあの聖母のような微笑み……あの年にして慈愛に満ちた美しい微笑みを宿していたんだぞ、その意味が分かるか!?私はその時既に心を奪われ、彼女に一生を捧げると決めたんだ!」
あ~~デロデロで甘々ですね。
それは良く分かりました。
胸焼けがするほど。
で、エルちゃんや、彼はこう言っていますが、あんたどうしますか?
では失礼しますと、エルちゃんと共にすぐ帰りたいところだが、そうも行かないだろう。
「我が弟エルドレットにご用とか、もしやエルが粗相でも致しましたか?ならばこの姉の監督不行き届き、深く謝罪申し上げます」
「いや、バーバリアンに帰る途中、このカリオンに寄ったまで。先日そこのエルドレットと少々話をしたのを思い出し、また話をしてみたいと思い呼んだのだ」
帰る途中って、その言い訳は苦しいだろう?方向と距離を考えて見ろよ。
「それはそれは、エルドレットの事を気に掛けていただき、ありがとうございます。お話とは何やら楽しそうですね。このあと私も用が無いゆえ、その話にぜひ混ぜていただけますか?このエルドレットは少々粗忽者で、殿下に何かしないかと、姉として心配なのですよ」
この後予定が無い?はっ!びっちり詰まってますよ。でもそんな物よりエルちゃんの方が大事なんだよ。何たって、私はエルちゃんの第一の騎士なんだから。
まあ仕方が無いから、別室に移り三人で話をする事にした。
そこは比較的小さな部屋で、テーブルもそこそこの大きさしかない。
何だよけち臭いな!相手はこの国の王子なんだぞ、もっと気を聞かせろよ。
と思ったが、何やら王子が裏から手を回したようだ。
もっと広い部屋で、長ーいテーブルの端と端で話をすればいいのに。
「殿下、この子に話とはいかなることでしょうか?」
エルちゃんはきっと、殿下に話などしないだろうから、あえて私が先制球を放つ。
話をしないでは無く、したく無いのだろうが。
「いや、…先日エルドレット君に会った時、少々失礼をしたとから、一応詫びておこうと思ったのだが」
「あぁ、あの時ですか。エルは全然気にしておりませんので大丈夫です。用事はそれだけですか?それならそろそろ失礼をして……」
いや、待った。
これはいい機会ではないか?
そう思い、私は浮かせかけた腰をもう一度落とし、相手の出方を待つ。
「………………………」
「………………………」
「………………………」
あぁっ!何だよこの空気は。
どこかのうぶな初恋かよ!
殿下はじっとエルちゃんを見つめて、エルちゃんはそれから目を逸らして、私はそれを傍観している。
仕方が無いと、再び私が口火を切った。
「殿下?」
「あっ、いや失礼をした。エルドレット君、先日は大変失礼をした。あの時は思う事が有り、気が高ぶってしまったようだ。それを君にぶつける事になってしまったようで、君に怖い思いをさせてしまったな」
「いえ」
怖い思い?あんた私のエルちゃんに何をした!
でもエルちゃんの答えも必要最低限のものだ、やはりエルちゃんは殿下を切り捨てるつもりなんだろうか。
それならやはり、このエルちゃんの為に、私が一肌脱がねばならないだろうな。
真実を自覚してからじゃないと、エルちゃんはちゃんと前を向いたつもりでも、明後日の方向を向いてしまうものね。
「殿下、最近耳にした事が有りまして、少々立ち入った事では有りますが、お聞きしてもよろしいでしょうか」
「まあ、事と次第によるが、言ってみればいい」
「はっ、それでは遠慮なく。実はエルから聞いたところによれば、このエルと婚約者様の容姿、いえ何やら、似ているとお聞きしましたが、それは誠ですか。私はとても弟が、とてもそんな方に似ているとは思えなくて」
「容姿?そうだな、似ている。今の彼女と似ていないと言われればそれまでだが、彼は、私が彼女と知り合った当時の容姿とよく似ている」
「はて?それは如何ほど前で?」
「その当時彼女は、二歳になる直前だったはずだ」
あ~~ダメだ。
こいつかなり拗らせてるわ。
というか、エレオノーラ様に寄せる思いは本物だろうな。
ただエルちゃんがエルちゃんだから、それをどう受け取るかだよ。
自分を思う価値があまりにも低すぎて、自分を卑下しているもんな。
いくら殿下が口説こうとも、何を言っても無駄そうだけど。
ふとエルちゃんを見れば、何やら真っ赤になっている。
もしやエルちゃん、少しは自覚してきた?
よし、もう一押し。
「殿下、もしよろしければ婚約者様の事をお聞きしてもよろしいでしょうか。いえ、これは私の単なる好奇心であり、お聞きする筋合いではありませんでしたね」
「いや、構わない。彼女は……そうだな、一言でいうなら、まるで女神のような存在だ。いや、妖精と言っても通るだろう。儚く、可憐で美しい。見た目だけでなく、その心も清く光り輝いている」
凄いな…………。
「初めて会った彼女はまだ幼かったが、それでも触れてはいけないような高潔な存在だった。彼女は優しくケガをした私を治療してくれた。つまりもうその頃からかなりの能力を持っていたのだろう。彼女は私のケガをまるで自分の事のように、苦しみ、悲しんでくれた。それからあの聖母のような微笑み……あの年にして慈愛に満ちた美しい微笑みを宿していたんだぞ、その意味が分かるか!?私はその時既に心を奪われ、彼女に一生を捧げると決めたんだ!」
あ~~デロデロで甘々ですね。
それは良く分かりました。
胸焼けがするほど。
で、エルちゃんや、彼はこう言っていますが、あんたどうしますか?
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