75 / 109
私の夢
しおりを挟む
本日二度目の投稿です。
つい気が乗ってしまいました(別名、暇だっただけ)
いつミシェルが成仏したの!と思った方、前話よりお入りください。
===========
私はブランチを、ランツ様達はランチを一緒にいただきます。
「今日はお仕事ではないのですか?」
「いや、休みを取ったのですよ」
何か、私の周りの人って、急な休みを取る人が多い気がする。
仕事って私が思っているよりも重要では無いのかもしれない(自分の胸に手を当てて、よ~く考えてごらん)
メニューは大好物のハムのステーキ。
それとフレッシュサラダとポテトとベーコンのキッシュ。
ミルクとリンゴのジュース。
ブルーベリーのジャムとバターロール。
食べ切れるかなぁ。
美味しい物のお残しは罪、と言う事で頑張って完食したエレオノーラです。
その後、もう少し話を聞かせてもらえないだろうかと言う事で、席を移して話をする事になりました。
でも表面上、私の知っているミシェルの事は全て話したから、残るのは裏のミシェルの事、つまりお化けさんの時の事だけです。
そうだ、あれも有ったっけ。
「その能力を思えば、あなたはかなり上位の貴族ではないかと思います。それを承知の上で、失礼ですがお名前を教えていただけないでしょうか」
あれ、私まだ名乗ってなかったっけ?
「ミシェルがあなたの事をエレオノーラと言った事は覚えています。しかしいずれ墓を参る際、あなたを頼らなければならないでしょう?」
なるほど、奥様が身重ならば、時はそちらの都合を優先しなければならない。
その際の連絡先が知りたいわけだ。
「私はエルネスティ・ガルティア男爵の長女、エレオノーラ・ガルティアです」
「ガルティア男爵?それは……?」
「トルディア地方のしがない貧乏男爵ですよ」
「いや、大変失礼をしました。ですが、あなたほどの人が男爵家とは……この国の貴族は何と無能……いや、不敬でした。どうか今の言葉はお忘れください」
「確かのこの国の王………いやいやいや」
「ふふふ、では時期が来たならトルディアのガルティア様に、ご連絡してもよろしいでしょうか」
「ええ、そうして下さい」
ふと思い出し、私はポケットからミシェルにもらったハンカチを取り出し、そっと彼の前に置く。
「これはミシェルと別れる前日の夜に貰ったものです。どうぞお納め下さい」
「えっ?ええ、これは確かにミシェルのものです。ですがこれはあなたがミシェルから贈られたものでしょう?それを私共がいただいてもよろしいのでしょうか?」
「はい。私はいつでもミシェル(の亡骸)に会えますから。だからどうか、それは男爵様がお納めください」
「ありがとうございます、きっと大事にいたします」
男爵様はそれを手に取り、そっと奥様に渡します。
奥様はそれを大切そうに胸に抱き、また涙が……。
でもそれはきっと、時間とお腹の子が癒してくれるだろう。
「ランツ様は、きっと私の魔力を不思議と思われるのでしょう?」
私は一口お茶をいただく。
「実は私の母親はエクステッド侯爵家の出身です。母は縁あってガルティア家に嫁ぎました」
「あのエクステッド侯爵様の……なるほど」
そこで男爵様もお茶を一口。
「私の母親は、そちらが想像している通りかなりの能力者です。そのせいかと思うのですが、取り敢えず私も魔法を使えます」
「えぇ、よく存じております」
ですよね~。
「私はミシェルとの約束も有りますが、自分の意思として、ここでやるべきことを見つけました。ですので時々ここにお邪魔すると思いますが、よろしくお願いします」
そう言い、ペコっと頭を下げた。
「それは構いませんが、一体何を……」
「ごめんなさい、私もまだ具体的な事は考えていないのです。ですがお二人のしていることに感銘を受け、それをここだけではなく、国中に広めたいと思ったのです」
「私共は、そんな大げさな事はしておりませんよ。人によっては私達の事を偽善者と呼ぶ。しかしそれは、その人にとって、私達のしている事は偽善に見えるのでしょう」
何て言う事を言うんだ。
その人をお姉さんに教えなさい、ちょっと絞めて来るから。
「お話しした通り、私もそれなりに能力があり、この事については私の魔法も使います。ですので、私のする事に対し、あまり驚かないで下さいね」
「はい、それはもう。免疫が有りますので大丈夫ですよ」
にっこり笑いながらそう言うけど……まあ大丈夫でしょう。
「しかし私共にお力をいただく事は、大変うれしく思いますが、ご迷惑では無いのですか?」
「その辺は大丈夫です。確かに今している仕事は有りますが、つい先日、自由に生きても良いと言われたばかりですので、何をするかを模索していたところです。ランツ様のおかげで、ようやく自分のやりたい事を見出せました」
周りの皆には、ずいぶんと気を使ってもらって、私自身はかなり我儘を言っているような気がする。
でも、きっとみんなは分かってくれるだろう。
取り敢えず心配を掛けないよう”ほうれんそう”だけはしっかり入れるようにしよう。
「分かりました。ではあなたの夢が実現できるよう、微々たるものですが私もお手伝いさせていただきます」
「えぇ、よろしくお願いします」
つい気が乗ってしまいました(別名、暇だっただけ)
いつミシェルが成仏したの!と思った方、前話よりお入りください。
===========
私はブランチを、ランツ様達はランチを一緒にいただきます。
「今日はお仕事ではないのですか?」
「いや、休みを取ったのですよ」
何か、私の周りの人って、急な休みを取る人が多い気がする。
仕事って私が思っているよりも重要では無いのかもしれない(自分の胸に手を当てて、よ~く考えてごらん)
メニューは大好物のハムのステーキ。
それとフレッシュサラダとポテトとベーコンのキッシュ。
ミルクとリンゴのジュース。
ブルーベリーのジャムとバターロール。
食べ切れるかなぁ。
美味しい物のお残しは罪、と言う事で頑張って完食したエレオノーラです。
その後、もう少し話を聞かせてもらえないだろうかと言う事で、席を移して話をする事になりました。
でも表面上、私の知っているミシェルの事は全て話したから、残るのは裏のミシェルの事、つまりお化けさんの時の事だけです。
そうだ、あれも有ったっけ。
「その能力を思えば、あなたはかなり上位の貴族ではないかと思います。それを承知の上で、失礼ですがお名前を教えていただけないでしょうか」
あれ、私まだ名乗ってなかったっけ?
「ミシェルがあなたの事をエレオノーラと言った事は覚えています。しかしいずれ墓を参る際、あなたを頼らなければならないでしょう?」
なるほど、奥様が身重ならば、時はそちらの都合を優先しなければならない。
その際の連絡先が知りたいわけだ。
「私はエルネスティ・ガルティア男爵の長女、エレオノーラ・ガルティアです」
「ガルティア男爵?それは……?」
「トルディア地方のしがない貧乏男爵ですよ」
「いや、大変失礼をしました。ですが、あなたほどの人が男爵家とは……この国の貴族は何と無能……いや、不敬でした。どうか今の言葉はお忘れください」
「確かのこの国の王………いやいやいや」
「ふふふ、では時期が来たならトルディアのガルティア様に、ご連絡してもよろしいでしょうか」
「ええ、そうして下さい」
ふと思い出し、私はポケットからミシェルにもらったハンカチを取り出し、そっと彼の前に置く。
「これはミシェルと別れる前日の夜に貰ったものです。どうぞお納め下さい」
「えっ?ええ、これは確かにミシェルのものです。ですがこれはあなたがミシェルから贈られたものでしょう?それを私共がいただいてもよろしいのでしょうか?」
「はい。私はいつでもミシェル(の亡骸)に会えますから。だからどうか、それは男爵様がお納めください」
「ありがとうございます、きっと大事にいたします」
男爵様はそれを手に取り、そっと奥様に渡します。
奥様はそれを大切そうに胸に抱き、また涙が……。
でもそれはきっと、時間とお腹の子が癒してくれるだろう。
「ランツ様は、きっと私の魔力を不思議と思われるのでしょう?」
私は一口お茶をいただく。
「実は私の母親はエクステッド侯爵家の出身です。母は縁あってガルティア家に嫁ぎました」
「あのエクステッド侯爵様の……なるほど」
そこで男爵様もお茶を一口。
「私の母親は、そちらが想像している通りかなりの能力者です。そのせいかと思うのですが、取り敢えず私も魔法を使えます」
「えぇ、よく存じております」
ですよね~。
「私はミシェルとの約束も有りますが、自分の意思として、ここでやるべきことを見つけました。ですので時々ここにお邪魔すると思いますが、よろしくお願いします」
そう言い、ペコっと頭を下げた。
「それは構いませんが、一体何を……」
「ごめんなさい、私もまだ具体的な事は考えていないのです。ですがお二人のしていることに感銘を受け、それをここだけではなく、国中に広めたいと思ったのです」
「私共は、そんな大げさな事はしておりませんよ。人によっては私達の事を偽善者と呼ぶ。しかしそれは、その人にとって、私達のしている事は偽善に見えるのでしょう」
何て言う事を言うんだ。
その人をお姉さんに教えなさい、ちょっと絞めて来るから。
「お話しした通り、私もそれなりに能力があり、この事については私の魔法も使います。ですので、私のする事に対し、あまり驚かないで下さいね」
「はい、それはもう。免疫が有りますので大丈夫ですよ」
にっこり笑いながらそう言うけど……まあ大丈夫でしょう。
「しかし私共にお力をいただく事は、大変うれしく思いますが、ご迷惑では無いのですか?」
「その辺は大丈夫です。確かに今している仕事は有りますが、つい先日、自由に生きても良いと言われたばかりですので、何をするかを模索していたところです。ランツ様のおかげで、ようやく自分のやりたい事を見出せました」
周りの皆には、ずいぶんと気を使ってもらって、私自身はかなり我儘を言っているような気がする。
でも、きっとみんなは分かってくれるだろう。
取り敢えず心配を掛けないよう”ほうれんそう”だけはしっかり入れるようにしよう。
「分かりました。ではあなたの夢が実現できるよう、微々たるものですが私もお手伝いさせていただきます」
「えぇ、よろしくお願いします」
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる