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結婚します
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「キスしちゃった………」
家族とのキス、いやジョンさんともあるけど、それ以外の人とのキスって、した事は無かったのに…。
あれ、隊長にはされたっけ?後ハルちゃんとも有ったな…。
でもアレクシス様とのキスって、今までと全然違うんだよ。
暖かくて、ドキドキして、ふわっとして、いつまでもこのままでいたいって思っちゃったんだよ。
何やってんのよ私ーー!
彼にはもっと相応しい人がいるって言うのに!!(はい、両手を胸に当てて、よく思い出してごらん)
コンコンッ。
「は、はい」
「お邪魔しま~す」
「隊長、どうされたんですか!?」
なんと大きなピンクの枕を抱えた隊長が、そこに立っていたんです。
「お休みのところゴメンね、一人でこっそり混乱して身もだえしている人と、女子会しようと思って来ましたー」
「え、今ですか?でもまだ午前中だし、お仕事はどうされたんですか?」
「休みにしちゃった(てへ)」
隊長の後に続き、騎士さんやシェフさん達が、部屋に大量の美味しそうなものを運び込みます。
クッキー、ケーキ、チョコレート、ブッセ、フルーツ、紅茶、ジュース、サンドイッチ、オードブル、凝ったお料理、サラダ。
隊長、何でお酒が有るんですか?
「え~だってせっかくのお休みだし~」
お休みに、し・た・のですよね?
それ、下げてください。
不服そうにぶーたれている隊長を無視して、チョイスしたお料理以外も下げてもらいます。
それは、皆さんで召し上がってください。
お菓子は別腹ですからあげませんけど。
全てをテーブルに並べ、思い思いに食べながら面白楽しくおしゃべりをする。
それが女子会の醍醐味と理解しています。
でも枕には何の意味が有るのでしょうか?
明日の朝までおしゃべりするんですか?
明日は次の目的地、カゼインに向かうので寝坊すると少し困っちゃうんですけれど。
「気分よ気分。まぁ楽にはさせてもらうけどね」
そう言い堅苦しい隊服を脱ぎ捨て、ブーツを脱ぎ捨てる。
「あっ、スリッパを…」
「要らないわ、そんな物」
そう言い捨て、隊長はすたすたとテーブルに着く。
きっとアレクシス様の話をするんだろうな………。
重い気持ちを引きずり、私もテーブルに着いた。
「さっ、乾杯しましょう?」
「なににですか?」
まさかアレクシス様と私の事を、良いように解釈している訳じゃないですよね?
「嫌ね、私とフランツの結婚によぉ」
「えっ?えぇーーー!?」
いつの間に話がそんなに飛躍したんですか!?
「エルちゃんのせいだからね。ちゃんと責任取ってよ?」
「私のせいって、責任取れって、一体なに…」
「実家に帰る時、エルちゃん一緒に行ってくれなかったじゃない。その上フランツ迄担ぎ出してさっ。おかげでいろいろ有って大変だったんだから(ルドミラ恥ずかしい。ぽっ)」
い、いろいろ有ったって……一体何が、聞きたいけど切り出せない。
下手に聞けばあられもない話が飛び出して、こっちが被害を被る気がする。
「え~、聞いてくれないの?何が有ったとか、何が有ったとか、それからどうなったとかぁ~」
「いえ、遠慮させていただきます」
「どうして~ルドミラつまらな~い」
つまり今日の女子会の議題は”隊長の惚気を聞く”なんですね。
「いえいえ、隊長おめでとうございます。ご家族もさぞお喜びのことでしょう。で、式はいつ頃?」
「式は一年後なんだけど~、実はフランツがここの妻帯者用の住宅を申し込んでくれて、それが一月もすれば空くんですってー」
「それは、何とも急なお話で…」
「ヤダ、そんなに急でもないのよ?」
そっか、もうおぜん立てはかなり進んでいたんだ。
まあしばらくここを留守にしていたから、知らされていないのも当然か。
その後は、聞きたくも無い数々ののろけを、嫌と言うほど聞かされて、甘々のシロップをコップ何杯も、無理やり飲まされたような気分です。
もう無理です。
胸焼けでゲップが出そうです。
「でさ、エルちゃんはどうなの?」
「どうとは何が?」
「いやあねぇ。殿下との事よ。キ・スしちゃったんでしょう?」
「な、何を…どこからそんな話を………」
「だって人目もはばからずにチュゥしちゃったんでしょ?」
あぁ、確かに目撃者はたくさんいましたね。
迂闊だったわ…でもあれは事故だったんだもの。
ハルちゃんがアレクシス様にぶつかって、その拍子にこう唇と唇が………。
思い起こしただけで頭に血が上り、熱が出そうだ。
「ヤーン、違う、あれはキスじゃなくて、いや唇が触れあえばキスなのかしら。でもアレクシス様が進んで私にキスしたんじゃないんです。ハルちゃんがですね、でもおかしいですよね隊長。アレクシス様の心がキスした途端、もう死んでもいいと思うなんてどうしてでしょう。アレクシス様ってば誰とキスしてもそう思うのかしら。だけどキスしたら死んでもいいって、そんな事はいちいち思っていちゃだめだと思うんです。そりゃぁそう思っていただいた時はとっても嬉しかったけれど、でもやっぱり国民の為には、私とキスしたぐらいで………」
「まあまあエルちゃん、少し落ち着きなさい。あなたの気持ちは良く分かったから」
そう言い、隊長は入れなおした紅茶を差し出してくれる。
私の気持ちが分かったって、何が分かったのですか?
私自身何がなんだかさっぱり分からないのに。
家族とのキス、いやジョンさんともあるけど、それ以外の人とのキスって、した事は無かったのに…。
あれ、隊長にはされたっけ?後ハルちゃんとも有ったな…。
でもアレクシス様とのキスって、今までと全然違うんだよ。
暖かくて、ドキドキして、ふわっとして、いつまでもこのままでいたいって思っちゃったんだよ。
何やってんのよ私ーー!
彼にはもっと相応しい人がいるって言うのに!!(はい、両手を胸に当てて、よく思い出してごらん)
コンコンッ。
「は、はい」
「お邪魔しま~す」
「隊長、どうされたんですか!?」
なんと大きなピンクの枕を抱えた隊長が、そこに立っていたんです。
「お休みのところゴメンね、一人でこっそり混乱して身もだえしている人と、女子会しようと思って来ましたー」
「え、今ですか?でもまだ午前中だし、お仕事はどうされたんですか?」
「休みにしちゃった(てへ)」
隊長の後に続き、騎士さんやシェフさん達が、部屋に大量の美味しそうなものを運び込みます。
クッキー、ケーキ、チョコレート、ブッセ、フルーツ、紅茶、ジュース、サンドイッチ、オードブル、凝ったお料理、サラダ。
隊長、何でお酒が有るんですか?
「え~だってせっかくのお休みだし~」
お休みに、し・た・のですよね?
それ、下げてください。
不服そうにぶーたれている隊長を無視して、チョイスしたお料理以外も下げてもらいます。
それは、皆さんで召し上がってください。
お菓子は別腹ですからあげませんけど。
全てをテーブルに並べ、思い思いに食べながら面白楽しくおしゃべりをする。
それが女子会の醍醐味と理解しています。
でも枕には何の意味が有るのでしょうか?
明日の朝までおしゃべりするんですか?
明日は次の目的地、カゼインに向かうので寝坊すると少し困っちゃうんですけれど。
「気分よ気分。まぁ楽にはさせてもらうけどね」
そう言い堅苦しい隊服を脱ぎ捨て、ブーツを脱ぎ捨てる。
「あっ、スリッパを…」
「要らないわ、そんな物」
そう言い捨て、隊長はすたすたとテーブルに着く。
きっとアレクシス様の話をするんだろうな………。
重い気持ちを引きずり、私もテーブルに着いた。
「さっ、乾杯しましょう?」
「なににですか?」
まさかアレクシス様と私の事を、良いように解釈している訳じゃないですよね?
「嫌ね、私とフランツの結婚によぉ」
「えっ?えぇーーー!?」
いつの間に話がそんなに飛躍したんですか!?
「エルちゃんのせいだからね。ちゃんと責任取ってよ?」
「私のせいって、責任取れって、一体なに…」
「実家に帰る時、エルちゃん一緒に行ってくれなかったじゃない。その上フランツ迄担ぎ出してさっ。おかげでいろいろ有って大変だったんだから(ルドミラ恥ずかしい。ぽっ)」
い、いろいろ有ったって……一体何が、聞きたいけど切り出せない。
下手に聞けばあられもない話が飛び出して、こっちが被害を被る気がする。
「え~、聞いてくれないの?何が有ったとか、何が有ったとか、それからどうなったとかぁ~」
「いえ、遠慮させていただきます」
「どうして~ルドミラつまらな~い」
つまり今日の女子会の議題は”隊長の惚気を聞く”なんですね。
「いえいえ、隊長おめでとうございます。ご家族もさぞお喜びのことでしょう。で、式はいつ頃?」
「式は一年後なんだけど~、実はフランツがここの妻帯者用の住宅を申し込んでくれて、それが一月もすれば空くんですってー」
「それは、何とも急なお話で…」
「ヤダ、そんなに急でもないのよ?」
そっか、もうおぜん立てはかなり進んでいたんだ。
まあしばらくここを留守にしていたから、知らされていないのも当然か。
その後は、聞きたくも無い数々ののろけを、嫌と言うほど聞かされて、甘々のシロップをコップ何杯も、無理やり飲まされたような気分です。
もう無理です。
胸焼けでゲップが出そうです。
「でさ、エルちゃんはどうなの?」
「どうとは何が?」
「いやあねぇ。殿下との事よ。キ・スしちゃったんでしょう?」
「な、何を…どこからそんな話を………」
「だって人目もはばからずにチュゥしちゃったんでしょ?」
あぁ、確かに目撃者はたくさんいましたね。
迂闊だったわ…でもあれは事故だったんだもの。
ハルちゃんがアレクシス様にぶつかって、その拍子にこう唇と唇が………。
思い起こしただけで頭に血が上り、熱が出そうだ。
「ヤーン、違う、あれはキスじゃなくて、いや唇が触れあえばキスなのかしら。でもアレクシス様が進んで私にキスしたんじゃないんです。ハルちゃんがですね、でもおかしいですよね隊長。アレクシス様の心がキスした途端、もう死んでもいいと思うなんてどうしてでしょう。アレクシス様ってば誰とキスしてもそう思うのかしら。だけどキスしたら死んでもいいって、そんな事はいちいち思っていちゃだめだと思うんです。そりゃぁそう思っていただいた時はとっても嬉しかったけれど、でもやっぱり国民の為には、私とキスしたぐらいで………」
「まあまあエルちゃん、少し落ち着きなさい。あなたの気持ちは良く分かったから」
そう言い、隊長は入れなおした紅茶を差し出してくれる。
私の気持ちが分かったって、何が分かったのですか?
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