5 / 23
第一章 バグ編
助け舟
しおりを挟む
気が付くとそこはギサの町の俺の家のベッドの中だった。
窓からは日が差し込み、あたりはすっかり明るくなっている。
「ファ~。よく寝たー。」
…………。
「何だよよく寝たって。ゲーム内で熟睡ってあり得ないだろう。」
しかし俺の今の気分は、爆睡して疲れも飛んで、スッキリしてるってのがぴったりなんだ。
おかげで昨夜のパニック状態からは抜け出せたような気がする。
とにかく一晩寝ても状況は変わらなかった。
あとは24時間強制ログアウトを待ってみよう。
と、言う訳で、それまでただ座って時間が経つのを待つのもばかばかしいから、出かける事にした。
本当は狩りに行って鬱憤を晴らしたいところだけど、
何が起こるか分からない状況だから、あえて危険を冒すことは避けるべきだよな。
町を歩いて、知り合いに会ったら頼ってみてもいいし、
もしかしたら諒太に会えるかもしれない。
今はフレンド欄のサリューは活性化していないから、きっとログインしていないんだろう。
取り合えず腹が減ったから飯でも食いに行くか。
HP補給ではなく、ただ腹が減ったって言うのも変だけど。
俺はカズラさんの勤める“ゴッタニ亭”に足を向けた。
「おはようございまーす。」
「いらっしゃいませー。」
そこにはいつも通りの顔。
店員のミーナさんと、カズラさん。
カウンターの中で腕を振るっているのは、料理人のエイジさんと親方のオレオールさん
エイジさんはアバターの人で、リアルでもコックさんなんだって。
そうだ、エイジさんに相談してみよう。
そう思い、俺はカウンターの椅子に腰かけた。
「エイジさん、手の空いた時でいいので、ちょっと時間いただけませんか?」
「お、何だ?デートの誘いか?」
親方がすかさずチャチャを入れる。
「や、止めて下さいよ親方。
そんなんじゃありませんよ。な、紗月、違うよな。」
エイジさんが顔を赤くし、必死になって親方に話をしている。
なんかエイジさんて親方にラブっぽいんだよね。
親方は元王室の騎士をしていたらしいんだけど、怪我が元で引退をして、
趣味だった料理に没頭するあまり、店まで出したそうだ。
今は砕けた感じだけど、やはり元騎士だし、美形だし、
時々拭い切れない気品っぽいのを感じる時が有る。
「今は暇な時間帯だし、お前も紗月と一緒に朝の賄喰っちまえ。」
「あ、俺は後で親方たちと一緒に……。」
「いいって、ほら、さっさと行って来い。」
そう言われてエイジさんは親方に、カウンターの中から追い出された。
なんか、ごめんなさい。
せっかくのエイジさんと親方の時間を邪魔しちゃった気がする。
「で、何だよ紗月、話って。」
あ、えいじさんがちょっと不機嫌?
「えっと、実はですね……。」
俺は今陥っている状況をえいじさんに話した。
「ハァ?それって本当だったら大変じゃないか。」
「とりあえず、24時間経っての強制ログアウトを、待ってみようと思ってるんですけど。」
「分かった。もしそれでもログアウトできなかったら、俺が運営に連絡を取ってやる。
紗月は自分のID覚えてるか?」
「はい、大丈夫です。」
「よし。」
取りあえず、エイジさんはまた明日同じ時間に、ログインしてくれることになった。
「皐月がログアウトできた場合は、無理やりログインしなくていい。
運営に連絡して、原因がわかるまでログインしないほうがいいだろう。」
「はい、俺もそう思います。
でもエイジさんにいらぬ手間かけさせちゃうかも。何かすいません。」
「いいって。これってけっこうな問題だからな。
こんなの頻繁に起こるようになったら困るだろ。
早いとこ運営に対策立ててもらわなくちゃ。」
そう言ってえいじさんは俺の頭をクシャクシャっと撫でた。
「エイジさん、俺、そんなにガキじゃないんですけど……。
やっぱり年齢設定上げようかな。身長ももっと高くして……。」
「いや、それはするな、というかしないでくれ。
俺が原因で紗月が変わったとなったら俺がみんなに恨まれる。」
?
何か皆そんなこと言うけど、アバターの設定なんて、個人の自由だと思います。
途中で親方に出してもらった賄飯は二人分。
俺にもエイジさんと同じ賄いを作ってもらいました。
なんか特別扱いしてもらっているみたいですごくうれしい。
「お代は?捲かないっていくらですか?」
「今日はエイジのおごりだ。」
親方はにっこり笑ってそう言った。
ご馳走様ですエイジさん。
窓からは日が差し込み、あたりはすっかり明るくなっている。
「ファ~。よく寝たー。」
…………。
「何だよよく寝たって。ゲーム内で熟睡ってあり得ないだろう。」
しかし俺の今の気分は、爆睡して疲れも飛んで、スッキリしてるってのがぴったりなんだ。
おかげで昨夜のパニック状態からは抜け出せたような気がする。
とにかく一晩寝ても状況は変わらなかった。
あとは24時間強制ログアウトを待ってみよう。
と、言う訳で、それまでただ座って時間が経つのを待つのもばかばかしいから、出かける事にした。
本当は狩りに行って鬱憤を晴らしたいところだけど、
何が起こるか分からない状況だから、あえて危険を冒すことは避けるべきだよな。
町を歩いて、知り合いに会ったら頼ってみてもいいし、
もしかしたら諒太に会えるかもしれない。
今はフレンド欄のサリューは活性化していないから、きっとログインしていないんだろう。
取り合えず腹が減ったから飯でも食いに行くか。
HP補給ではなく、ただ腹が減ったって言うのも変だけど。
俺はカズラさんの勤める“ゴッタニ亭”に足を向けた。
「おはようございまーす。」
「いらっしゃいませー。」
そこにはいつも通りの顔。
店員のミーナさんと、カズラさん。
カウンターの中で腕を振るっているのは、料理人のエイジさんと親方のオレオールさん
エイジさんはアバターの人で、リアルでもコックさんなんだって。
そうだ、エイジさんに相談してみよう。
そう思い、俺はカウンターの椅子に腰かけた。
「エイジさん、手の空いた時でいいので、ちょっと時間いただけませんか?」
「お、何だ?デートの誘いか?」
親方がすかさずチャチャを入れる。
「や、止めて下さいよ親方。
そんなんじゃありませんよ。な、紗月、違うよな。」
エイジさんが顔を赤くし、必死になって親方に話をしている。
なんかエイジさんて親方にラブっぽいんだよね。
親方は元王室の騎士をしていたらしいんだけど、怪我が元で引退をして、
趣味だった料理に没頭するあまり、店まで出したそうだ。
今は砕けた感じだけど、やはり元騎士だし、美形だし、
時々拭い切れない気品っぽいのを感じる時が有る。
「今は暇な時間帯だし、お前も紗月と一緒に朝の賄喰っちまえ。」
「あ、俺は後で親方たちと一緒に……。」
「いいって、ほら、さっさと行って来い。」
そう言われてエイジさんは親方に、カウンターの中から追い出された。
なんか、ごめんなさい。
せっかくのエイジさんと親方の時間を邪魔しちゃった気がする。
「で、何だよ紗月、話って。」
あ、えいじさんがちょっと不機嫌?
「えっと、実はですね……。」
俺は今陥っている状況をえいじさんに話した。
「ハァ?それって本当だったら大変じゃないか。」
「とりあえず、24時間経っての強制ログアウトを、待ってみようと思ってるんですけど。」
「分かった。もしそれでもログアウトできなかったら、俺が運営に連絡を取ってやる。
紗月は自分のID覚えてるか?」
「はい、大丈夫です。」
「よし。」
取りあえず、エイジさんはまた明日同じ時間に、ログインしてくれることになった。
「皐月がログアウトできた場合は、無理やりログインしなくていい。
運営に連絡して、原因がわかるまでログインしないほうがいいだろう。」
「はい、俺もそう思います。
でもエイジさんにいらぬ手間かけさせちゃうかも。何かすいません。」
「いいって。これってけっこうな問題だからな。
こんなの頻繁に起こるようになったら困るだろ。
早いとこ運営に対策立ててもらわなくちゃ。」
そう言ってえいじさんは俺の頭をクシャクシャっと撫でた。
「エイジさん、俺、そんなにガキじゃないんですけど……。
やっぱり年齢設定上げようかな。身長ももっと高くして……。」
「いや、それはするな、というかしないでくれ。
俺が原因で紗月が変わったとなったら俺がみんなに恨まれる。」
?
何か皆そんなこと言うけど、アバターの設定なんて、個人の自由だと思います。
途中で親方に出してもらった賄飯は二人分。
俺にもエイジさんと同じ賄いを作ってもらいました。
なんか特別扱いしてもらっているみたいですごくうれしい。
「お代は?捲かないっていくらですか?」
「今日はエイジのおごりだ。」
親方はにっこり笑ってそう言った。
ご馳走様ですエイジさん。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
【ご報告】
2月28日より、第五章の連載を再開いたします。毎週金・土・日の20時に更新予定です。
また、誤字脱字の修正および一部表現の見直しを行いました。ただし、記載内容の趣旨に大きな変更はございません。
引き続きよろしくお願いいたします。
親がうるさいのでVRMMOでソロ成長します
miigumi
ファンタジー
VRが当たり前になった時代。大学生の瑞希は、親の干渉に息苦しさを感じながらも、特にやりたいことも見つからずにいた。
そんなある日、友人に誘われた話題のVRMMO《ルーンスフィア・オンライン》で目にしたのは――「あなたが求める自由を」という言葉。
軽い気持ちでログインしたはずが、気づけば彼女は“ソロ”で世界を駆けることになる。
誰にも縛られない場所で、瑞希は自分の力で強くなることを選んだ。これは、自由を求める彼女のソロ成長物語。
毎日22時投稿します。
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
幼馴染の勇者に「魔王を倒して帰ってきたら何でもしてあげる」と言った結果
景華
恋愛
平和な村で毎日を過ごす村娘ステラ。
ある日ステラの長年の想い人である幼馴染であるリードが勇者として選ばれ、聖女、女剣士、女魔術師と共に魔王討伐に向かうことになる。
「俺……ステラと離れたくない」
そんなリードに、ステラは思わずこう告げる。
「そうだ‼ リードが帰ってきたら、私がリードのお願い、一つだけなんでも叶えてあげる‼」
そんなとっさにステラから飛び出た約束を胸に、リードは村を旅立つ。
それから半年、毎日リードの無事を祈り続けるステラのもとに、リードの史上最速での魔王城攻略の知らせが届く。
勇者一行はこれからたくさんの祝勝パーティに参加した後、故郷に凱旋するというが、それと同時に、パーティメンバーである聖女と女剣士、そして女魔術師の話も耳にすることになる。
戦いの昂りを鎮める役割も担うという三人は、戦いの後全員が重婚の認められた勇者の嫁になるということを知ったステラは思いを諦めようとするが、突然現れたリードは彼女に『ステラの身体《約束のお願い》』を迫って来て──?
誰がどう見ても両片思いな二人がお願いをきっかけに結ばれるまで──。
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる