緊急事態!VRMMO”久遠の大陸”に閉じ込められた俺

羽兎里

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第二章 彼女が欲しい皐月君 編

ストーカー及びストーカーもどき

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「やぁん、それでお終い?」

「へっ?」

見ると、セトカさんと、アインハルトさんが、
拾い集めたお宝を抱えたまま、こちらを見ていた。
何見ているんですか!こういう時は見て見ぬふりとか、
目を逸らすとか、それがマナーって言うもんじゃないんですか!

「だって―萌えるんですものぉ。」

萌えるって……。

「ほら、これは紗月君とサリュー君の取り分だ。」

そう言ってアインハルトさんがお宝を差し出してきた。

「え?だってあれは、お二人で倒したものだし、
俺は全然力になれなかったから、これは二人で分けて下さい。」

「いいかい、あれに最初に対峙したのは紗月君だ。
つまり、あれの権利は紗月君にある。
私達は紗月君を手伝ったに過ぎない。
サリュー君だってそうだ。
紗月君が攻撃されたのを助けた。
つまり手伝いをしたんだ、分かるかい?」

「え…、え、まあ…。」

なんか、屁理屈っぽい気がするんだけど。

「だから、私達も報酬をもらう権利があるはず。
で、適当と思われる分はいただいたので、
後は紗月君と、サリュー君で分けてくれたまえ。」

そう言って、かなりのお宝を、俺の前に置いた。
え、いいんですか?いい訳ないよね。
これ、かなり量が有るよ。

「何言ってるんだ。
相手はS級のボスキャラ。
落としたお宝は、かなりの量があったから、
最初の権利がある紗月君としたら少ないくらいだよ。」

もういいや、俺がアインハルトさんに口で勝てるはずがない。
大人しく貰っておこう。

「ありがとうございました。いただいておきます。」

「うん、素直な子は好きだよ。」

だから、いちいち言葉に反応して睨んだりするのやめろよサリュー。
ふと、ボスキャラの消えた場所を見ると、
俺のパル君が真っ二つに割れて落ちていた。

「うわぁ——!」

「ん?どうしたんだい紗月君。」

「パル君が、俺のパル君が―。」

可哀そうに、やっと日の目を見たのに、
大した活躍もできないままその役目を終えてしまったんだね。

「それは、ハイサポーターだね。紗月くんのかい?」

「はい、今日初めて使ったんですが…、
可哀そうなことしちゃったな。」

「かわいそうって、それは…。
まあ、それが紗月くんか。」

俺には出来過ぎたものだったんだな。
諦めよう。
とにかく一息つこうと言う事で、野営覚悟で色々用意してきた俺は、
近くの安全地帯で食い物を出して、臨時のお茶会を始めた。

「で、どうして揃いも揃って、俺のところに駆けつけたんですか?
偶然なんて、言わないで下さいね。」

これって、今回は助かったのは事実だけどさ、
下手するとストーカーだよ。犯罪。分かってる?

「私は、ログインしたら、サリュー様が血相変えて走って行くものだから、
これは紗月君に何かあったなって思って、後を追ってきたの。
だからどっちかと言えば、紗月くん目当てではなく
サリュー様を追ってきたんだから、私は無罪だわ。」

「それに関しては、私にも言い分はあるな。
運営側としては、また紗月君に異変が起きると大変だからと、
アバターに体温、脳波、心拍数、発汗などの異常を
感知する装置を取り付けさせてもらった。
今回はそれが異常を察知して警報を鳴らしたんだ。
だからナビシステムで居場所を特定し、駆け付けた。
とにかくこれは遠隔操作で管理できるものだから、
決してストーカーなどではない。
私としても、紗月くんみたいな面白い実験体を失うのは大変な損失だからな。」

だからサリュー、アインハルトさんには悪気は無いはずだから、
剣を抜くのはやめろって。
まあサリューに関しては、想像はつく。
狩りする時は、メンバーの位置や状態が、随時分かるようになっているんだ。
お前俺と狩りする時のパーティー設定、絶えず発動してるだろう?
それってマナー違反じゃないか。

「………。」

「サリュー?」

「こいつが付けたんだったら、俺がお前の状態を把握していてもいいじゃないか。」

やっぱり解除してないんだな。

「サリュー、目的が違うだろう。」

「違わない!」

おお、開き直ったな。

「紗月くん、私も違わないと思うわよ。」

「でもセトカさん、こいつのは個人的な感情で…。」

「個人的な感情だろうが何だろうが、どちらも同じ理由でしょ。
あなたの事を心配して解除していないのよ?
まあ、了解を得ず黙ってやっているのは問題かもしれないけど、
事実今回はそのおかげで紗月君は死なずに済んだんじゃない。
違う?」

「それはそうですけど…。でも、アインハルトさんは運営として、
管理するために取り付けたのであって、」

「それが何だって言うのよ。
そんな冷たい理由より、
サリュー様の紗月くんを思う一心でやっている気持ちの方が、
よっぽど人間味があって、温かくていいじゃないの。」

それはそうかもしれないけど、それを認めたら、
ストーカーOKって事じゃないかなぁ。

「それとも、あんな事までして助けてくれたサリュー様の気持ちを
紗月君は嬉しくないの?嬉しくないのね!」

「そんな!うれしいです!ものすごく。
ありがとなサリュー。
それにアインハルトさん、セトカさんも。本当にありがとうございました。」

そう言って俺は深々と頭を下げた。

「で、俺に付けている発信機のような物って取り外すつもりは……。」

「運営側としては、事故が有った場合を考えて、出来ればこのままでいてほしい。
先ほど言った最低限の情報しか把握できないから、安心してくれていいよ。」

「そうですか、仕方ありませんよね。」

俺だっていつ何が起きるか分からないから、
保健のつもりで付けておいてもらった方がいいのかもしれない。

「サリュー、多分お前の言う事は想像がつくけどさ。」

「なら、思っている通りだ。運営側のを許すんだ。
なぜ俺の方だけ拒絶する?」

お前ならそう言うと思ったよ。
いいですとも、勝手にしてください。所詮ゲーム内のアバターだ。
そう思った俺が浅はかだったと後で気づいた。
どーして俺って、こうも後で後悔することばかりなんだ?
だってさ、俺がサリューにキスされたり、押し倒されたりすると、
運営側が、体の異常と判断して動くんだ。
これはやはり、取り外すか、
改良してもらわなければ、俺の神経が持たないよ――――。




     …………ゴッタニ亭にて…………

「そりゃね、あたしだってサリュー様が抱いて下さるなら、
ネコキャラだろうが、うさキャラだろうが何にだって変えるつもりだったわよ。
だって、当初の希望はサリュー様を恋人にして、
紗月くんをペットにするってのが夢だったんだから。
でもね、違ったの。
やっぱりあの二人は一緒に居なくちゃだめよ。
あぁ、萌えるわー。
あのサリュー様に強引に押さえつけられ口づけされている紗月君の姿。
あれを拝めただけでも、ものすごい眼福だったわ。」

「ふーん、少しは進展が有ったんだ、良かった。」

何てこと無いセトカさんとエイジさんの会話でした。
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