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浅はかな者達 5
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俺たちは、急いで港に向かい、早々に行動を開始した。
燃料を満タンにし、船を自動操縦でコルトバ近くのラド港にセットした。
あの男が燃料の事を言ってくれて良かった。
危うく給油もせず、そのまま出航するところだった。
さて、後は目的地まで行くだけだ。
だが俺は、ふと地図に目をやり考える。
「なあ、海岸線伝いに行くと、ラド港までの到着予定は、約19時間とあるだろ?」
「あぁ、結構時間がかかるね。自動操縦だからやる事もあまり無さそうだし、退屈だよね。」
「いや、そういう事じゃなくて、この地図を見てみろよ。
ナビだと、こう、海岸線を沿って行くみたいだが、
直接ラド港に行けば……。
ほら、ここから直線で行けば、ずっと早く着くだろ。」
「まあ、理屈から言えばそうなるけど、大丈夫かなぁ。
それで、ナビが示す時間と、直線距離で行くのだと、時間的にどれぐらい違うんだ。」
ちょっと待ってくれ、俺は早々に位置を打ち込み、計算してみた。
「直線だと、おおよそ11時間だ。沿岸に沿って行くより8時間は縮まる計算だ。」
「それは魅力的だね。」
「これって、直線距離で行くしかないだろう。」
「ん~~、まあ、いいんじゃない?」
それから俺たちは、船のナビをセットし直し、出航することにした。
「これで、エリックさえ連れて戻れば、姉上の手を借りずとも、会社を立て直せるかもしれない。」
「多分大丈夫だろう。ご奇特にもワロキエ侯爵様はエリックに何故か借りが有ると思い込んでるみたいだからな。
それを存分に利用させてもらおうじゃないか。」
「たかがΩに、そんな事を思う必要も無いのになぁ。」
「まったくだ。それにしても、今日はずいぶんいい天気だな。」
「あぁ、この分だと、何事も無くラド港に付くだろうね。」
父上は何も言わず、黙ったまま海を見ていた。
多分母の事を考えているのだろうが、
俺達よりエリックを選んだ母など、この際捨てておけばいいものを。
そのまま、のんびりと何時間も波に揺られていたが、
5時間も経った頃だろうか、突然警告音が響いた。
「いったいどうしたんだ?」
確認してみると、セットしたラド港から目標がずれている。
「一体どういう訳だ?このナビが不良品なのか?」
取り合えず、もう一度目標をラド港にセットし直す。
「あの男が、湾の海流が複雑だと言っていたからそのせいだろう。」
「大丈夫かなぁ?」
「まめにチェックしていれば大丈夫だろう。」
だが、進むにしたがって、ずれる頻度が大きくなってきた。
「きっとこの辺は海流が早いんじゃないのか。これでは手動の方が良さそうだ。」
そう言って自動操縦を解除した。
舵を握ってみると大分負荷がかかっている事に驚く。
「これは…きついな……。」
島影はまだまだ遠い。
これは一旦どこかに寄港し、やはり沿岸沿いに進んだ方が無難かもしれない。
そう思った矢先、また警告音が鳴った。
「今度は一体何なんだ!?
自動操縦は解除してあるんだ。他の異常が有ると言う事か?」
一旦ロバートに舵を握らせ、私は説明書を片手に調べる。
そしてやっと判明したことは……。
「燃料がほとんどない……。」
「何だって……。だって、港を出る時満タンにしたじゃないか。」
「ああ、そうだ。それなのになぜ燃料が無くなる?」
「燃料タンクに穴でも開いているのか?」
「そんな筈はない。先月点検したし、水に油も浮いていなかった。」
「おかしいじゃないか!」
俺は一生懸命説明書のページをめくる。
そして見つけた一説。
「この船は、現在の速度で航行した場合、大体6時間ほどの航行しかできないと書いてある………。」
「そんな…とにかく船を岸に着かせないと。」
「それは分かっているが、岸までの距離が有り過ぎる。」
「いったいどうするつもりだ兄さん!俺達をこんな目に合わせてどう責任を取るつもりだ?」
「今はそんな事を言っている場合じゃないだろう。
とにかく少しでも早く岸に近づけなければ。」
俺は残りの燃料で、何とか遥か遠くに見える陸地に向かおうとするが、船は流される一方だ。
そしてとうとうエンジンは止まった。
船は海流の流れのままに流され、陸地からどんどん遠ざかっていく
奴から奪った地図と海図を見比べると、どうやら俺達の船は半島を越え、大海洋を目指しているようだ。
「これから一体どうなるんだ?」
「そんな事、俺に分かるはず無いだろう。」
「喉が渇いた。」
「あぁ、俺もだ。」
俺たちは冷蔵庫を開け、冷えた水を取り出す。
そして一気に飲み干し、一息ついた。
「とにかく落ち着こう。そうすればいい考えも浮かぶかもしれない。」
「そうだな。多分新しい執事が、帰らない俺達を心配して捜索願を出すかもしれない。」
「ああ、今こんな海の上で騒いでも、どうにもならないからな。
ところで腹が減ったな。この船には何か食い物は積んでないのか?」
「どうだったかな?見てみよう。」
父上は、事の重大性に気付いているのかいないのか、
相変わらず、海を見ているだけだ。
まぁ、あと数時間もすれば助けが来るんじゃないか?
俺はそう簡単に考えていた。
しかしその考えは大きく裏切られた。
待てど暮らせど、俺達を探しに来る様子はない。
「兄さん、一体どうなっているんだ。
あれからもう丸2日は経った。
いったい助けはいつ来るんだ。
ラジオのニュースだって俺達を探している様子がないじゃないか。」
ただ波に揺られているだけの、
俺達の唯一の娯楽はラジオを聞く事だけだ。
「俺が知るもんか。」
「まさかこのまま発見されずに……。」
「そんな馬鹿な事がある訳無いだろう。」
「だが、エリックが行方不明になった時、俺たち自身は捜索願を出さなかったじゃないか。」
「あれはΩだ。俺たちはαだろう。誰かが出すに決まっている。」
「それもそうだな、それより腹が減った。食い物は本当にもう何も無いのか?」
「無い、あの時役所の奴の忠告を聞いて、ちゃんと準備をして来ればよかったな。」
「いまさら言っても仕方がないさ。
あぁ、腹が減った……。」
「……、なあ、今更だけど、まさか…救難信号は出してあるよな?」
「救難信号?」
「ほら、映画なんかでよくあるだろう?遭難した船が、よく出している奴だよ。」
俺はふと思い立って、慌てて無線機へ飛びついた。
それから急いで無線のスイッチを入れるが、何度カチカチと入れようが、無線が入らない。
「どうしたんだ?」
「無線が入らない。」
「え?」
ロバートはラジオを確認している。
「ラジオも鳴らない。どうやら、バッテリーが切れみたいだな……。」
力なくそう言う。
何てこった。すっかり救難信号の存在を失念していた。
今更ロバートに言えない。
これでは俺たちが漂流している事も、知られていないかもしれない。
万事休すか……。
「奴らが屋敷を出てから、既に3日経過しています。
未だにラド港に着いた形跡は有りません。
どうやらこちらの計算通りの行動を取ったようですね。
で、少将殿、この後どうされます?」
「αのくせに、これ程馬鹿だとは思わなかった……。」
「私はこのまま捨てておいても、一向にかまわないと思いますよ?
このような例は年に幾つも発生する事ですから。」
「俺だってそう思うが、もしこれが後々マシューにバレたらと思うと……。」
「ああ、なるほど。マシュー君はお優しいですからね。
あの方達が亡くなったのは自分のせいだと、己を責める可能性が有りますね。」
「俺たちが知らぬ存ぜぬで通しても、全然問題はないと思うが…。」
「別に構わないのではありませんか?放っておいても。」
「しかしなぁ……。
あぁっ、もうっ!、……1週間だ!」
「何がです?」
「1週間経ったら、通常の捜索願をゴードンにでも入れさせろ。」
「なるほど、お優しい事で。
しかし1週間ですか?
エリック様は屋根のない小舟で大海原を10日も漂っていたのですよ。
それを奴らは、屋根やベッドもあり、雨風もしのげる船でのうのうと漂っているのです。
許せませんね。」
「いったいどうすればいいんだよ。」
「私なら放っておきますが、
まぁ、少将殿はマシュー君の手前そうもいかないでしょう。
もう少し。そうですね10日もしたら通常の捜索依頼を出されたら如何でしょう。
αという立場もありますし、海に出て、向かった方向も分かっております。
捜索はじきに開始されるでしょうし、運が良ければ救助されるんじゃないですか?」
そう、10日もすれば、あの位置からの海流に乗れば、
外洋の何処に流されてしまうなど、専門家が分析しない限り分からないはず。
たかだか、破産寸前の重要でもない人間の捜索などに、
わざわざ専門の機関が出しゃばって、分析や計算をするとは思いませんから。
あの姉が、仏心を出して、乗り出して来ない事を祈りますよ。
燃料を満タンにし、船を自動操縦でコルトバ近くのラド港にセットした。
あの男が燃料の事を言ってくれて良かった。
危うく給油もせず、そのまま出航するところだった。
さて、後は目的地まで行くだけだ。
だが俺は、ふと地図に目をやり考える。
「なあ、海岸線伝いに行くと、ラド港までの到着予定は、約19時間とあるだろ?」
「あぁ、結構時間がかかるね。自動操縦だからやる事もあまり無さそうだし、退屈だよね。」
「いや、そういう事じゃなくて、この地図を見てみろよ。
ナビだと、こう、海岸線を沿って行くみたいだが、
直接ラド港に行けば……。
ほら、ここから直線で行けば、ずっと早く着くだろ。」
「まあ、理屈から言えばそうなるけど、大丈夫かなぁ。
それで、ナビが示す時間と、直線距離で行くのだと、時間的にどれぐらい違うんだ。」
ちょっと待ってくれ、俺は早々に位置を打ち込み、計算してみた。
「直線だと、おおよそ11時間だ。沿岸に沿って行くより8時間は縮まる計算だ。」
「それは魅力的だね。」
「これって、直線距離で行くしかないだろう。」
「ん~~、まあ、いいんじゃない?」
それから俺たちは、船のナビをセットし直し、出航することにした。
「これで、エリックさえ連れて戻れば、姉上の手を借りずとも、会社を立て直せるかもしれない。」
「多分大丈夫だろう。ご奇特にもワロキエ侯爵様はエリックに何故か借りが有ると思い込んでるみたいだからな。
それを存分に利用させてもらおうじゃないか。」
「たかがΩに、そんな事を思う必要も無いのになぁ。」
「まったくだ。それにしても、今日はずいぶんいい天気だな。」
「あぁ、この分だと、何事も無くラド港に付くだろうね。」
父上は何も言わず、黙ったまま海を見ていた。
多分母の事を考えているのだろうが、
俺達よりエリックを選んだ母など、この際捨てておけばいいものを。
そのまま、のんびりと何時間も波に揺られていたが、
5時間も経った頃だろうか、突然警告音が響いた。
「いったいどうしたんだ?」
確認してみると、セットしたラド港から目標がずれている。
「一体どういう訳だ?このナビが不良品なのか?」
取り合えず、もう一度目標をラド港にセットし直す。
「あの男が、湾の海流が複雑だと言っていたからそのせいだろう。」
「大丈夫かなぁ?」
「まめにチェックしていれば大丈夫だろう。」
だが、進むにしたがって、ずれる頻度が大きくなってきた。
「きっとこの辺は海流が早いんじゃないのか。これでは手動の方が良さそうだ。」
そう言って自動操縦を解除した。
舵を握ってみると大分負荷がかかっている事に驚く。
「これは…きついな……。」
島影はまだまだ遠い。
これは一旦どこかに寄港し、やはり沿岸沿いに進んだ方が無難かもしれない。
そう思った矢先、また警告音が鳴った。
「今度は一体何なんだ!?
自動操縦は解除してあるんだ。他の異常が有ると言う事か?」
一旦ロバートに舵を握らせ、私は説明書を片手に調べる。
そしてやっと判明したことは……。
「燃料がほとんどない……。」
「何だって……。だって、港を出る時満タンにしたじゃないか。」
「ああ、そうだ。それなのになぜ燃料が無くなる?」
「燃料タンクに穴でも開いているのか?」
「そんな筈はない。先月点検したし、水に油も浮いていなかった。」
「おかしいじゃないか!」
俺は一生懸命説明書のページをめくる。
そして見つけた一説。
「この船は、現在の速度で航行した場合、大体6時間ほどの航行しかできないと書いてある………。」
「そんな…とにかく船を岸に着かせないと。」
「それは分かっているが、岸までの距離が有り過ぎる。」
「いったいどうするつもりだ兄さん!俺達をこんな目に合わせてどう責任を取るつもりだ?」
「今はそんな事を言っている場合じゃないだろう。
とにかく少しでも早く岸に近づけなければ。」
俺は残りの燃料で、何とか遥か遠くに見える陸地に向かおうとするが、船は流される一方だ。
そしてとうとうエンジンは止まった。
船は海流の流れのままに流され、陸地からどんどん遠ざかっていく
奴から奪った地図と海図を見比べると、どうやら俺達の船は半島を越え、大海洋を目指しているようだ。
「これから一体どうなるんだ?」
「そんな事、俺に分かるはず無いだろう。」
「喉が渇いた。」
「あぁ、俺もだ。」
俺たちは冷蔵庫を開け、冷えた水を取り出す。
そして一気に飲み干し、一息ついた。
「とにかく落ち着こう。そうすればいい考えも浮かぶかもしれない。」
「そうだな。多分新しい執事が、帰らない俺達を心配して捜索願を出すかもしれない。」
「ああ、今こんな海の上で騒いでも、どうにもならないからな。
ところで腹が減ったな。この船には何か食い物は積んでないのか?」
「どうだったかな?見てみよう。」
父上は、事の重大性に気付いているのかいないのか、
相変わらず、海を見ているだけだ。
まぁ、あと数時間もすれば助けが来るんじゃないか?
俺はそう簡単に考えていた。
しかしその考えは大きく裏切られた。
待てど暮らせど、俺達を探しに来る様子はない。
「兄さん、一体どうなっているんだ。
あれからもう丸2日は経った。
いったい助けはいつ来るんだ。
ラジオのニュースだって俺達を探している様子がないじゃないか。」
ただ波に揺られているだけの、
俺達の唯一の娯楽はラジオを聞く事だけだ。
「俺が知るもんか。」
「まさかこのまま発見されずに……。」
「そんな馬鹿な事がある訳無いだろう。」
「だが、エリックが行方不明になった時、俺たち自身は捜索願を出さなかったじゃないか。」
「あれはΩだ。俺たちはαだろう。誰かが出すに決まっている。」
「それもそうだな、それより腹が減った。食い物は本当にもう何も無いのか?」
「無い、あの時役所の奴の忠告を聞いて、ちゃんと準備をして来ればよかったな。」
「いまさら言っても仕方がないさ。
あぁ、腹が減った……。」
「……、なあ、今更だけど、まさか…救難信号は出してあるよな?」
「救難信号?」
「ほら、映画なんかでよくあるだろう?遭難した船が、よく出している奴だよ。」
俺はふと思い立って、慌てて無線機へ飛びついた。
それから急いで無線のスイッチを入れるが、何度カチカチと入れようが、無線が入らない。
「どうしたんだ?」
「無線が入らない。」
「え?」
ロバートはラジオを確認している。
「ラジオも鳴らない。どうやら、バッテリーが切れみたいだな……。」
力なくそう言う。
何てこった。すっかり救難信号の存在を失念していた。
今更ロバートに言えない。
これでは俺たちが漂流している事も、知られていないかもしれない。
万事休すか……。
「奴らが屋敷を出てから、既に3日経過しています。
未だにラド港に着いた形跡は有りません。
どうやらこちらの計算通りの行動を取ったようですね。
で、少将殿、この後どうされます?」
「αのくせに、これ程馬鹿だとは思わなかった……。」
「私はこのまま捨てておいても、一向にかまわないと思いますよ?
このような例は年に幾つも発生する事ですから。」
「俺だってそう思うが、もしこれが後々マシューにバレたらと思うと……。」
「ああ、なるほど。マシュー君はお優しいですからね。
あの方達が亡くなったのは自分のせいだと、己を責める可能性が有りますね。」
「俺たちが知らぬ存ぜぬで通しても、全然問題はないと思うが…。」
「別に構わないのではありませんか?放っておいても。」
「しかしなぁ……。
あぁっ、もうっ!、……1週間だ!」
「何がです?」
「1週間経ったら、通常の捜索願をゴードンにでも入れさせろ。」
「なるほど、お優しい事で。
しかし1週間ですか?
エリック様は屋根のない小舟で大海原を10日も漂っていたのですよ。
それを奴らは、屋根やベッドもあり、雨風もしのげる船でのうのうと漂っているのです。
許せませんね。」
「いったいどうすればいいんだよ。」
「私なら放っておきますが、
まぁ、少将殿はマシュー君の手前そうもいかないでしょう。
もう少し。そうですね10日もしたら通常の捜索依頼を出されたら如何でしょう。
αという立場もありますし、海に出て、向かった方向も分かっております。
捜索はじきに開始されるでしょうし、運が良ければ救助されるんじゃないですか?」
そう、10日もすれば、あの位置からの海流に乗れば、
外洋の何処に流されてしまうなど、専門家が分析しない限り分からないはず。
たかだか、破産寸前の重要でもない人間の捜索などに、
わざわざ専門の機関が出しゃばって、分析や計算をするとは思いませんから。
あの姉が、仏心を出して、乗り出して来ない事を祈りますよ。
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