あなたは僕の運命の番 出会えた奇跡に祝福を

羽兎里

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Record 4 (ある日の記録)※

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【睦言葉】

マシューの、いや、ダメ、止めてと言う言葉は、アダムにとって、極上のスパイスだ。
マシューにとっては、本意でも不本意でも、どちらでもつい口から出てしまう不思議な呪文。
でもそれを、つい呟いてしまうのは、アダムが意地悪するせいだとマシューは思う。

「も…ダメ……。お願い…ゆる、して…。」

「そんな事を言っても、お前の此処は、まだ嬉しそうに俺を締め付けているよ。」

ほら、やっぱりアダム様は…意地悪……。

初めて二人が結ばれてから、もう何度体を重ねた事か。

一目見た時から、アダムはマシューを何よりも愛していて、
マシューもアダムを例える物がないほど愛している。
そして二人は、この行為は愛を確かめる行為と感じている。

と、きれいごとを並べたところで、
世界でただ一人、神が定めたもう番に会えたと言う、最高の幸運を手にした二人だ。
そんな相手を前にしては、本能そのもので行動してしまう。
誰が何を言っても、止められるものではないのだから。
毎晩のように繋がっても仕方がないのかもしれない。

「あっ、あぁ、だ、ダメェ、いっちゃうの、アダム様ぁ。」

うつぶせにされ高く抱え上げられたマシューの腰に、アダム様は熱く滾った物を何度も打ち付ける。
今日も際限なく行われる行為にマシューの声は嗄れ果てる。
それでも、上げずにいられない嬌声もアダム様にとってはこの上ないスパイスだ。

「あぁ、マシュー素晴らしい……。もう暫く許してくれ……。」

そう許しを請う言葉を言いながらも、悪びれる様子も無く、さらに強く打ち付ける。
マシューも拒絶の言葉とは裏腹に、心の内側ではその行為を肯定し、もっと欲しいと、自らも腰を振る。

「ふあぁ…。いっちゃう、いっちゃうの、もうダメ、気持ちいいのぉ。」

「マシュー、マシュー…。」

アダムはマシューの胸に腕を回しピッタリと寄り添うように覆いかぶさる。

「ああマシュー、なんて美しいんだ……。」

そう言いながら、汗で光るマシューの項をぺろりと舐め、思わずそれに歯を立てた。

「あ、あぁ、あぁぁぁ―――。」

その痛みが快感となり、マシューはまた、何度目かの絶頂の渦に飲み込まれてしまった。

ヒートでなければ意味をなさないその行為、しかしそれはマシューにとって、とんでもないスパイスだった。
もちろんアダムは、本気で噛んだ訳では無い。
やはり、本能であろうか、それとも単に、マシューがうまそうに見えたのか。
でも、何気に行為の最中に噛んだ時のマシューの反応が、思いのほか刺激的で、扇情的だった。
今までマシューの為と、抑えていたこの行為だったが、
それからは、アダムは夢中になると、頻繁にマシューの項を噛むようになった。

「ふふ、マシューは本当にここが弱いんだね。がまんなどせずに、もっと早く噛めばよかった。」

そう言ってまたマシューの項をぺろりと舐める。

「だ、ダメ。いったばかりだからぁ。」

そう、いったばかりの体は、そこを責められると、更に刺激が加わってしまう。

「そう言っても、俺はまだ、満足していないんだ。だからもう少し付き合ってくれ。」

そう言うと、マシューの顔を見ながらいきたいとマシューをひっくり返し、
未だに繋がったままだったものを、また突き始めた。

「い、やあ…、もうダメなのぉ。お願いもうやめて、許してぇ……。」

「可愛い…。マシュー…なんて美しいんだ。もっと鳴いてごらん。」

そう言いながら、さらにスピードを速めていく。
アダムにとって、拒絶の言葉は極上のスパイスだと言う事をマシューは知らない。



【新たな役職名】


「あなたは今日から、マシュー君の教師兼友人になっていただく事にしました。」

き、教師ですか?
先日まで影としてマシュー様に着いていた私の新しい立場はマシュー様の教師らしい。

「しかし、私には教師としての知識などありません。」

「船に乗る上で必要な一般常識だけでいいのですよ。
マシュー君は船に関しての知識はゼロに等しい、
あなたの知っている事をさらりと教えるだけでも充分です。」

なるほど、確かに私は船に乗る前に座学として1年勉強し、
その後、研究生として2年の知識はある。
さらに、現場に出てから既に2年、
マシュー様に比べたらはるかに船員としての知識はあるな。

「と言う訳で、早速顔合わせと行きましょうか。」

「えっ、今すぐですか?」

「ええ、既に少将殿に許可は取ってありますので大丈夫です。
早く影としての役目も再開しなければなりませんからね。
さっさと行きますよ。」


道すがら、色々と打ち合わせ。

「とりあえず、あなたはマシュー君が委縮しないよう3等海尉とします。
それと、私たちが言わない限り、
私たちがいても、マシュー君に付き添って下さい。
まぁ、よっぽどのプライベートな所や、本人が嫌がるような所は遠慮してやってください。」

「分かりました。
でもよく少将殿が、私がマシュー様に付き添う事を納得しましたね。」

「納得させましたよ。」

「成程。」

さすがジークフリード様だ。
普通、運命の番だったら、自分の番が他の人間と、二人切りになる事を許すなど、有り得ないのだから。

「こちらも、マシュー君の脅威となりそうなものは排除している最中ですが、
いつ、何者かが手を出してくるか分かりません。
いかなる時も気を引き締めてお願いしますよ。」

「はい。分かりました。」



「で、こちらは、3等海尉のハリー・ウィットルです。マシュー君の教師をお願いしました。」

「教師?先生ですか。」

「はい。
やはり、私たちの手の空いている時にいろいろな事をお教えしようとしても、
限界が有ると判断しましたので、私たちの手が空かない時は、彼が色々な事を教えてくれます。
遠慮なく聞いて下さい。」

「分りました…。僕の為にすいません。でもよろしくお願いします。
僕はマシュー・ギランと言います。」

少し寂しそうに見えるのは、やはり少将殿に教えてもらいたかったのでしょう。

「はい。お名前などは、ジークフリード様からお聞きして、存じ上げています。
先生と言っても、私もそれが専門では有りません。
ただ船に乗るに当って、それなりの学校を出ていると言うだけですので、
船に関する簡単な事ぐらいしか、お教えできないと思います。
それでもあなたのお力になれればと思っています。
当分あなたの先生が私の仕事となりますので、
いつもお傍に居ますので、私に分かる範囲であれば何でもお教えしますから、
分からない事が有ったら何でも言って下さいね。」

「はい。よろしくお願いします。」

そう言ってマシュー様は、素晴らしい笑顔で微笑んでくれました。でも……。

ジ、ジークフリード様、少将殿が、すごい目で私を見ているんですが、
本当に私がマシュー様の傍に居てもいいんでしょうか?
私は生きていられるんでしょうか。

「ハリー君は、あなたより4つほど年上でしてね。それにすでに結婚しているんですよ。
色々な面において先輩ですからあなたの良き理解者になってくれると思いますよ。」

「えっ、結婚されてるんですか?」

「はい、船は違うんですが、同じ海軍の人です。
職業柄すれ違う事も多いのですが、ちゃんと理解してくれて、とても良くしてくれます。」

「そうなんですか、ハリー先生は、結婚されてどれぐらいなんですか?」

「2年と1月と言ったところでしょうか。」

「そうなんですか。わー、すごい。僕これからいろいろ聞いてもいいですか?
勉強以外でも聞きたいことが有ります。」

「もちろんですよ。何でも聞いて下さい。」

でも、私は答えても無事でいられるんでしょうか。
少将殿が、ますます冷たい目で私を睨んできます。
ジークフリードさま、もう一度少将殿に念押しよろしくお願いします。
私だって夫の有る身、彼をまだやもめにしたく有りません。
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