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帰港 -完ー
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荒い息がだんだん治まると、心地よいけだるさに襲われる。
そっと手を伸ばすとしっとりとした温かい肌にあたる。
僕は重い体の向きを変え、その懐に潜り込むように擦り寄った。
「マシュー、大丈夫か?」
「………はい。」
少し掠れてしまった声で応えた。
実は本当は、もう限界なんです。
「そうか、ならばもう少し付き合ってもらおうかな。」
そう言うと、アダム様はその手の平を僕の膝の内側から上に向かって、そっと滑らせた。
「はうっ。」
条件反射の様に僕の体は震える。
「ふふ、マシュー可愛い。
冗談だ。
明日はイスパルダに着く。長かった旅もこれでひとまず終わりだ。
今日はもう休もう。」
今日はもうって、すでに夜半を回っているのですが……。
だけど明日はようやく家に帰れる。
記憶が戻った僕にとって、
生まれ育ったのはノルディスカスだと分かっている。
だけど、今の僕の帰るべき家は、アダム様と過ごしたイスパルダのあの家しか思い付かない。
部屋から見えた、海や港町の風景を思い出しながら、僕の意識はだんだん眠りの中に落ちていった。
「アダム様!見えました!イスパルダですよ。」
「ほら、あまり身を乗り出すと海に落ちるぞ。」
アダム様はそう言って僕の腰を引き寄せました。
「大丈夫です。確かに僕は泳ぎは苦手かもしれないけど、浮く事ぐらいはできますよ。」
「そうか?ノルディスカスでは後先も考えず、自分から海に飛び込んで溺れたのは誰だったかな。」
ううっ…、僕です……、アダム様は意地悪です。
やがて船は港に入り、アダム様と僕は皆さんとその場で分かれる事になりました。
「ジーク兄様、ハリー先生。僕の為に長い間、時間をいただいてしまってすいませんでした。」
「気にしなくてもいいですよ。
どのみち私は気軽な独り身ですから。
仕事を離れ、ちょっとした旅行が出来たので、反って楽しかったです。」
「私もです。
どのみち主人とは同じような仕事ですから、
普段から長期間のすれ違いは当たり前のように有るのです。
そう気になさらずとも大丈夫ですよ。」
「そう言っていただけると助かります。
本当にありがとうございました。」
他の方にも挨拶をした後、迎えに来ていた車に乗って家に向かいます。
車窓の風景を眺めながら心はすでにあの家に馳せている。
だけど、車は次第に市街地を抜け、丘の方向へと進んでいった。
「?」
どこか寄る所でもあるのかな?
でもアダム様はそんな事は仰ってなかったけど…。
ちらちらとアダム様の方を見ても、何も言わずただ前を向いているだけ。
うん、ここは大人しくしていた方がいいな。
そう判断して、僕はまた外を眺める事にした。
やがて車は家が点在する穏やかな場所を通り過ぎ、きれいな木漏れ日の林を通り抜ける。
どうやら車は丘の上を目指しているようです。
そして、車は丘の上の住宅地に入りました。
でも、思いのほか広い丘の上には数軒のお屋敷しかなく、
その一軒一軒が、とても大きくて立派なお屋敷でした。
やがて僕たちの乗った車は、その中でも群を抜いて大きな1軒のお屋敷の前で止まりました。
ゆっくりとそのお屋敷の門が開き、車を招き入れます。
「アダム様…?お知り合いの家ですか?」
「マシュー、実はここは俺たちの新しい家だ。」
えっ!?
「取り合えず話は中に入ってからしよう。」
玄関の扉に横付けされた車のドアから出たアダム様が、僕に向かって手を差し伸べる。
僕はその手を取り、車から降りた。
屋敷はとても立派で日当たりも良さそうです。
眺望の良い広い庭から見える景色は、遮るものがほとんどありませんでした。
そこからの風景はとても素晴らしく、
下には林の緑と美しい街並みが広がり、その向こうに港が見え、海は遠くまで見渡せます。
「すごい……。きれい。」
「本当は新しい家を建ててお前を驚かせたかったんだが、流石にそれには時間が足りなくてな。
ちょうどいい出物が有ったのですぐに契約をして、お前に内緒で準備をしたんだ。
気に入ってくれればいいが…。」
「すごいです!風景も何もかも素敵です。こんなお屋敷、今まで見たことが有りません。
でも、今まで住んでいた家はどうなさるんですか?」
まさか、僕のためにわざわざこの家を買ったのでしょうか。
だとしたら、そんなにお金を使わせてしまって、本当に申し訳ないです。
「あそこは、港に近かったから住んでいたに過ぎないんだ。
タウンハウスと言うか、官舎のようなものだったんだよ。
だから通いの使用人がいるだけで、召使いもいなかっただろう?」
そう言えばそうでした。
お掃除や料理をしてくれる人は毎日来て下さったけど、
住み込みでいつも面倒を見てくれるような人はいなかった。
そうか、あそこは軍の寮みたいなところだったんですね。
でも、ずいぶん立派な寮でしたね。
「俺もお前と家庭を持った事だし、一家の主としてしっかりとした家を構えたかったんだ。
取り合えずお前の好みに合うように形は整えさせたが、
もし変えたければいくらでも言ってくれ。」
そんな、文句なんてつけようが有りません。
こんな素晴らしい所に住めるなんて、考えただけでもう胸がいっぱいです。
すると玄関の扉がゆっくりと開き、中から一人の男の方が姿を現しました。
「そうだ、紹介をしておこう。
彼はこの家の執事をしてもらうモーガンだ。」
「………モーガン。」
「お帰りなさいませ、旦那様、マシュー様。いえ、奥様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「と、言っているが、どうするマシュー?」
でも、僕はそれどころじゃ有りませんでした。
「モーガン、モーガン…。」
僕は思わずモーガンに抱き着いていた。
そして彼は、小さい頃と変わらず、そっと優しく抱き返してくれます。
「彼ほど、マシューの好みを知っている人間はいないだろう?
だから家の準備もかなり力になってもらったんだ。」
そうアダム様がおっしゃいます。
はい、モーガンなら僕が何が好きで何が苦手かよく知っています。
「モーガン、これからもずっと一緒に居てくれるの?」
「はい。変わらずマシュー様の傍におります。」
「うれしい。ありがとうモーガン。」
「実は最初、私は此処に来ることをお断りしたんです。
マシュー様が記憶を失っていることは聞かされていました。
しかし、それならばその方がいいのではないかと、
私が引き金になって、過去の辛かった事を思い出さず、
そのままでいらっしゃった方がお幸せではないかと思ったのです。」
「そんな。」
「ですが、マシューの為にぜひと説得され、ここに来させていただきました。
先日、記憶を取り戻したと知らせがあり心配しておりましたが、
変わらずお幸せな様子で、私も安心いたしました。」
「モーガン…。」
するとおもむろに後ろから手が伸び、僕はモーガンから引き離されました。
「分ってはいるんだが、少しやける。」
「アダム様…。」
僕は嬉しくてたまらず、満面の笑顔でアダム様に抱き着きました。
「ありがとうございますアダム様。嬉しい事ばかりで、僕はもうどうしていいかわかりません。
あぁどうしよう。僕はアダム様に何をお返しすればいいのでしょう。」
そう言って、僕はアダム様にギュウギュウ抱き着きました。
「俺がマシューに求める物はとてつもないものだぞ。」
えっ……、そんなに大変なものなかな。
どうしよう。
いえ、どんなことをしてもお返ししなければ。
「マシューは今と変わらず、一生俺の傍にいて俺の事を愛してほしい。
約束できるか?」
「そんな…。
だってそれは、僕の方からお願いしたい事です。」
「マシュー、愛している。
俺はお前を決して離しはしない。いや、絶対に離せない。
お前と巡り合えて、これほどの幸せな事は無いよ。
こんな俺だが、この先もずっと愛してくれるかい?」
「あぁ、アダム様。
もちろんです。僕はアダム様を愛しています。
この先何年も、何十年も、何百年も何千年も。
生まれ変わってもずっとずっと愛しています。」
それから僕たちは口づけを交わした。
この先、永遠に続く、愛を誓う口づけを
・・・・・・ 完 ・・・・・・
少し留守にしていていきなり完結……。
すいません、浮気していました。
(短編を書いていました。まだ終わっていないけど……。)
この後、マシューの番外編が少し有って、その後ジーク編を入れたいなーと思っています。
ジークの運命の番とかー、その番とマシューの交流の話をしたいと思います。
この先もお付き合い願えたらと思っています。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
✿BL大賞エントリーしました。よろしくお願いします。
そっと手を伸ばすとしっとりとした温かい肌にあたる。
僕は重い体の向きを変え、その懐に潜り込むように擦り寄った。
「マシュー、大丈夫か?」
「………はい。」
少し掠れてしまった声で応えた。
実は本当は、もう限界なんです。
「そうか、ならばもう少し付き合ってもらおうかな。」
そう言うと、アダム様はその手の平を僕の膝の内側から上に向かって、そっと滑らせた。
「はうっ。」
条件反射の様に僕の体は震える。
「ふふ、マシュー可愛い。
冗談だ。
明日はイスパルダに着く。長かった旅もこれでひとまず終わりだ。
今日はもう休もう。」
今日はもうって、すでに夜半を回っているのですが……。
だけど明日はようやく家に帰れる。
記憶が戻った僕にとって、
生まれ育ったのはノルディスカスだと分かっている。
だけど、今の僕の帰るべき家は、アダム様と過ごしたイスパルダのあの家しか思い付かない。
部屋から見えた、海や港町の風景を思い出しながら、僕の意識はだんだん眠りの中に落ちていった。
「アダム様!見えました!イスパルダですよ。」
「ほら、あまり身を乗り出すと海に落ちるぞ。」
アダム様はそう言って僕の腰を引き寄せました。
「大丈夫です。確かに僕は泳ぎは苦手かもしれないけど、浮く事ぐらいはできますよ。」
「そうか?ノルディスカスでは後先も考えず、自分から海に飛び込んで溺れたのは誰だったかな。」
ううっ…、僕です……、アダム様は意地悪です。
やがて船は港に入り、アダム様と僕は皆さんとその場で分かれる事になりました。
「ジーク兄様、ハリー先生。僕の為に長い間、時間をいただいてしまってすいませんでした。」
「気にしなくてもいいですよ。
どのみち私は気軽な独り身ですから。
仕事を離れ、ちょっとした旅行が出来たので、反って楽しかったです。」
「私もです。
どのみち主人とは同じような仕事ですから、
普段から長期間のすれ違いは当たり前のように有るのです。
そう気になさらずとも大丈夫ですよ。」
「そう言っていただけると助かります。
本当にありがとうございました。」
他の方にも挨拶をした後、迎えに来ていた車に乗って家に向かいます。
車窓の風景を眺めながら心はすでにあの家に馳せている。
だけど、車は次第に市街地を抜け、丘の方向へと進んでいった。
「?」
どこか寄る所でもあるのかな?
でもアダム様はそんな事は仰ってなかったけど…。
ちらちらとアダム様の方を見ても、何も言わずただ前を向いているだけ。
うん、ここは大人しくしていた方がいいな。
そう判断して、僕はまた外を眺める事にした。
やがて車は家が点在する穏やかな場所を通り過ぎ、きれいな木漏れ日の林を通り抜ける。
どうやら車は丘の上を目指しているようです。
そして、車は丘の上の住宅地に入りました。
でも、思いのほか広い丘の上には数軒のお屋敷しかなく、
その一軒一軒が、とても大きくて立派なお屋敷でした。
やがて僕たちの乗った車は、その中でも群を抜いて大きな1軒のお屋敷の前で止まりました。
ゆっくりとそのお屋敷の門が開き、車を招き入れます。
「アダム様…?お知り合いの家ですか?」
「マシュー、実はここは俺たちの新しい家だ。」
えっ!?
「取り合えず話は中に入ってからしよう。」
玄関の扉に横付けされた車のドアから出たアダム様が、僕に向かって手を差し伸べる。
僕はその手を取り、車から降りた。
屋敷はとても立派で日当たりも良さそうです。
眺望の良い広い庭から見える景色は、遮るものがほとんどありませんでした。
そこからの風景はとても素晴らしく、
下には林の緑と美しい街並みが広がり、その向こうに港が見え、海は遠くまで見渡せます。
「すごい……。きれい。」
「本当は新しい家を建ててお前を驚かせたかったんだが、流石にそれには時間が足りなくてな。
ちょうどいい出物が有ったのですぐに契約をして、お前に内緒で準備をしたんだ。
気に入ってくれればいいが…。」
「すごいです!風景も何もかも素敵です。こんなお屋敷、今まで見たことが有りません。
でも、今まで住んでいた家はどうなさるんですか?」
まさか、僕のためにわざわざこの家を買ったのでしょうか。
だとしたら、そんなにお金を使わせてしまって、本当に申し訳ないです。
「あそこは、港に近かったから住んでいたに過ぎないんだ。
タウンハウスと言うか、官舎のようなものだったんだよ。
だから通いの使用人がいるだけで、召使いもいなかっただろう?」
そう言えばそうでした。
お掃除や料理をしてくれる人は毎日来て下さったけど、
住み込みでいつも面倒を見てくれるような人はいなかった。
そうか、あそこは軍の寮みたいなところだったんですね。
でも、ずいぶん立派な寮でしたね。
「俺もお前と家庭を持った事だし、一家の主としてしっかりとした家を構えたかったんだ。
取り合えずお前の好みに合うように形は整えさせたが、
もし変えたければいくらでも言ってくれ。」
そんな、文句なんてつけようが有りません。
こんな素晴らしい所に住めるなんて、考えただけでもう胸がいっぱいです。
すると玄関の扉がゆっくりと開き、中から一人の男の方が姿を現しました。
「そうだ、紹介をしておこう。
彼はこの家の執事をしてもらうモーガンだ。」
「………モーガン。」
「お帰りなさいませ、旦那様、マシュー様。いえ、奥様とお呼びした方がよろしいでしょうか?」
「と、言っているが、どうするマシュー?」
でも、僕はそれどころじゃ有りませんでした。
「モーガン、モーガン…。」
僕は思わずモーガンに抱き着いていた。
そして彼は、小さい頃と変わらず、そっと優しく抱き返してくれます。
「彼ほど、マシューの好みを知っている人間はいないだろう?
だから家の準備もかなり力になってもらったんだ。」
そうアダム様がおっしゃいます。
はい、モーガンなら僕が何が好きで何が苦手かよく知っています。
「モーガン、これからもずっと一緒に居てくれるの?」
「はい。変わらずマシュー様の傍におります。」
「うれしい。ありがとうモーガン。」
「実は最初、私は此処に来ることをお断りしたんです。
マシュー様が記憶を失っていることは聞かされていました。
しかし、それならばその方がいいのではないかと、
私が引き金になって、過去の辛かった事を思い出さず、
そのままでいらっしゃった方がお幸せではないかと思ったのです。」
「そんな。」
「ですが、マシューの為にぜひと説得され、ここに来させていただきました。
先日、記憶を取り戻したと知らせがあり心配しておりましたが、
変わらずお幸せな様子で、私も安心いたしました。」
「モーガン…。」
するとおもむろに後ろから手が伸び、僕はモーガンから引き離されました。
「分ってはいるんだが、少しやける。」
「アダム様…。」
僕は嬉しくてたまらず、満面の笑顔でアダム様に抱き着きました。
「ありがとうございますアダム様。嬉しい事ばかりで、僕はもうどうしていいかわかりません。
あぁどうしよう。僕はアダム様に何をお返しすればいいのでしょう。」
そう言って、僕はアダム様にギュウギュウ抱き着きました。
「俺がマシューに求める物はとてつもないものだぞ。」
えっ……、そんなに大変なものなかな。
どうしよう。
いえ、どんなことをしてもお返ししなければ。
「マシューは今と変わらず、一生俺の傍にいて俺の事を愛してほしい。
約束できるか?」
「そんな…。
だってそれは、僕の方からお願いしたい事です。」
「マシュー、愛している。
俺はお前を決して離しはしない。いや、絶対に離せない。
お前と巡り合えて、これほどの幸せな事は無いよ。
こんな俺だが、この先もずっと愛してくれるかい?」
「あぁ、アダム様。
もちろんです。僕はアダム様を愛しています。
この先何年も、何十年も、何百年も何千年も。
生まれ変わってもずっとずっと愛しています。」
それから僕たちは口づけを交わした。
この先、永遠に続く、愛を誓う口づけを
・・・・・・ 完 ・・・・・・
少し留守にしていていきなり完結……。
すいません、浮気していました。
(短編を書いていました。まだ終わっていないけど……。)
この後、マシューの番外編が少し有って、その後ジーク編を入れたいなーと思っています。
ジークの運命の番とかー、その番とマシューの交流の話をしたいと思います。
この先もお付き合い願えたらと思っています。
よろしくお願いします。
ありがとうございました。
✿BL大賞エントリーしました。よろしくお願いします。
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