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(仮)
1話 再会
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目が覚めた。
いつもとは違う光景に一瞬ここがどこかわからなくなる。
「・・・・・・」
すぐに泊まり込みのバイトに来ていたことを思い出す。
木造の古い壁。
布団だけの狭い部屋。
上体を起こして辺りを見まわした。
まだ暗い。
窓の外は真っ暗だ。
「何時だ?」
枕元のスマホを見る。
午前5時半。
もう起きても良い時間だ。
「ん?」
いい匂いが漂ってることに気づく。
これは・・・・・・シチューか。
とにかく、起き上がって個室の扉を開けた。
「・・・・・・!」
明るい。
電気は付いていて、そこには腕組みしたオールバックに眼鏡の背の高い男性が立っていた。
たまたまだろうけど、こっちを見てる。
服装は濃いめのジーパンにシックな地味な色の上着。
かなりのイケメンだ。
「お、君は太一くん? おはよう」
イケメンは俺に気づいた。
「あ、おはようございます」
「ははっ、僕が誰かわからないよね。不審者じゃないよ」
「あの、明子さんの関係者の方ですか?」
「そう。一応明子と付き合ってる者だ。柳沢一樹だ。よろしく」
「あ、はい」
まだ寝起きで回転してない頭に思考が追いつかない。
自己紹介されてた。
「・・・・・・」
チラリとテーブルを見た。
昨日の宴会の残骸がすべて片付いている。
明子さんの言った通りだ。
「いやあ、明子に聞いたけど。昨日けっこう有名なブロガーがここに来たんだってね」
「らしいですけど」
「今年は忙しくなりそうだ」
イケメン柳沢さんはそういいながら鍋の火を止めた。
シチューが完成したらしい。
「さてと、太一くん。もし良かったら早朝の散歩といかないか? 早くから空いてるパン屋があるんだ」
「え? あ、はい」
「そちらのお嬢さんも良かったら」
「・・・・・・はい」
「え?」
柳沢さんの視線の方向を見る。
いつの間にか俺の少し斜め後ろに令菜が立っていた。
起きてたのか。
†††††
そのまま3人で寒空の下を歩く。
リゾート地の早朝、なかなかいい感じの光景だ
人口の光と真っ暗な空が混じってて、昨日のドライブインを思い出す。
すかさずスマホで空をスクショ。
「太一くん、何やってるの?」
令菜が自分の手に白い息をかけながら質問してきた。
手袋は忘れたらしい。
「記念撮影」
「ふーん」
あんまり興味なさそうだ。
多分令菜が今興味があるのは・・・・・・。
「柳沢さん、こんな早朝にパン屋さん
が開いてるんですか?」
やっぱりそっちか。
多分イケメンではなく、パンのほうに興味津々。
「ああ、ここは24時間いつでもスキーが出来るからね。むしろレストランの開いてない時間帯はパン屋は稼ぎ時なんだろうね」
「へえ」
うわの空だ。
令菜は可愛らしい顔の頬を染めながら何かを考えてる感じだ。
多分頭の中は食べ物でいっぱいなんだろう。
だんだんわかってきた。
そういう人種だ。
要するに、令菜は普通の女子高生の一種・・・・・・あ、いや中退してるんだったか。
腹が膨れたらイケメンのほうにも興味を抱きそうだ。
「・・・・・・」
柳沢さんのいうパン屋にたどり着いた。
ローカルなコンビニ。
外観はそんな感じ。
雑貨も売ってると思う。
「いらっしゃいませ」
早朝なのに数人客がいた。
店内のパンや雑貨を見て回るのはスキーウェア姿の少女や・・・・・・なぜか半袖短パンの大柄な外国人たち。
なぜ真冬に薄着?
「・・・・・・」
思わず外国人たちを見ていた。
ホテルに泊まってる人だろうけど、ここまでその恰好で来たのか?
「・・・・・・」
横目で令菜を見た。
彼女は半袖短パンの外国人にまったく興味を示していない。
いつの間にか3歩ほど前に出てる。
彼女は並べられたパンを観察するのに夢中だ。
よくある選んだパンをトングでお盆に乗せてレジに持ってくタイプだ。
「お近づきのしるしに今朝は奢るよ。2人とも好きなの選んで」
柳沢さんはそう言う。
「本当ですか? ありがとうございます」
「・・・・・・」
今ヨダレが垂れてた。
子供か。
とにかく俺もお礼を言った。
お盆とトレイを持って物色に入る。
「・・・・・・」
令菜は夢中で陳列棚見てるが、正直俺は少し覚めてた。
まあおいしいパンだろうけど・・・・・・ほとんどが古い油で揚げた感じだ。
揚げあんパン 揚げドーナツ コロッケ メンチカツ。
なんでだろ?
そんなことを思っていると・・・・・・。
「令菜!?」
突然女の子の驚いた声が店内に響いた。
「ん?」
食べ物に夢中だった令菜は視線を声の主の元に送る。
「うそ? ゆっこ?」
「・・・・・・?」
「久しぶり!」
知り合いらしい。
お互い近づいてコンタクトを取ってる。
見た感じ・・・・・・仲の良かった友達ってとこかな?
†††††
令菜とスキーウェアの女の子は立ち話を始める。
「ゆっこ。なんでこんなとこいるの?」
「家族旅行。令菜は?」
「あ、私は住み込みのアルバイト」
「へ、へえ」
「・・・・・・?」
何となく2人のやり取りを見ていたが・・・・・・ゆっこと呼ばれている少女が一瞬令菜の左手のリストバンドを見た気がした。
何となく思う。
彼女は令菜の左手首の傷の存在を知ってる。
「へえ、どこでアルバイトしてるの?」
「レストランランプってとこ」
「本当? 後で家族と行っていい?」
「もちろん」
なんだか意気投合している。
・・・・・・昨日こ令菜は高校1年のときにいじめられて中退したと言ってた。
とてもそんな雰囲気には見えないが・・・・・・。
「あら? あなたもしかして令菜の彼氏とか?」
ゆっこと呼ばれてる少女は俺に興味を示してきた。
「え? 違うよ。単なるバイト仲間」
「そう・・・・・・そっちのイケメンさんは?」
「ハハッ、僕もバイト仲間。もっとも普段は教師だけど」
「え!?」
「え!?」
みんな驚いた。
柳沢さん、何かの教師なのか。
・・・・・・どういう経緯でキャバ嬢と付き合ってるんだろう。
「えっと、どういう状況?」
「まあ、複雑な状況」
「ふーん」
ゆっこは質問しといて柳沢さんに興味を無くしたようだ。
急に心配そうな顔付きになる。
「令菜、学校には戻ってこないの? 聞いてると思うけど、特例でまだ令菜は在籍扱いなんだよ」
「・・・・・・?」
その言葉に驚く。
柳沢さんもポーカーフェイスそうで少し眉をひそめた気がする。
一昨年中退した生徒がまだ在籍扱い?
義務教育じゃあるまいし、そんなことあり得るんだろうか。
「・・・・・・戻らないよ」
「そっか。ごめん」
「いいけど」
「ねえ、アルバイトの休憩時間とか少し話せる?」
「もちろん」
「本当? じゃ、後でね」
ゆっこはそう言って行ってしまった。
家族旅行に来てると言ってた。
多分家族とスキーの真っ最中なんだろう。
いつもとは違う光景に一瞬ここがどこかわからなくなる。
「・・・・・・」
すぐに泊まり込みのバイトに来ていたことを思い出す。
木造の古い壁。
布団だけの狭い部屋。
上体を起こして辺りを見まわした。
まだ暗い。
窓の外は真っ暗だ。
「何時だ?」
枕元のスマホを見る。
午前5時半。
もう起きても良い時間だ。
「ん?」
いい匂いが漂ってることに気づく。
これは・・・・・・シチューか。
とにかく、起き上がって個室の扉を開けた。
「・・・・・・!」
明るい。
電気は付いていて、そこには腕組みしたオールバックに眼鏡の背の高い男性が立っていた。
たまたまだろうけど、こっちを見てる。
服装は濃いめのジーパンにシックな地味な色の上着。
かなりのイケメンだ。
「お、君は太一くん? おはよう」
イケメンは俺に気づいた。
「あ、おはようございます」
「ははっ、僕が誰かわからないよね。不審者じゃないよ」
「あの、明子さんの関係者の方ですか?」
「そう。一応明子と付き合ってる者だ。柳沢一樹だ。よろしく」
「あ、はい」
まだ寝起きで回転してない頭に思考が追いつかない。
自己紹介されてた。
「・・・・・・」
チラリとテーブルを見た。
昨日の宴会の残骸がすべて片付いている。
明子さんの言った通りだ。
「いやあ、明子に聞いたけど。昨日けっこう有名なブロガーがここに来たんだってね」
「らしいですけど」
「今年は忙しくなりそうだ」
イケメン柳沢さんはそういいながら鍋の火を止めた。
シチューが完成したらしい。
「さてと、太一くん。もし良かったら早朝の散歩といかないか? 早くから空いてるパン屋があるんだ」
「え? あ、はい」
「そちらのお嬢さんも良かったら」
「・・・・・・はい」
「え?」
柳沢さんの視線の方向を見る。
いつの間にか俺の少し斜め後ろに令菜が立っていた。
起きてたのか。
†††††
そのまま3人で寒空の下を歩く。
リゾート地の早朝、なかなかいい感じの光景だ
人口の光と真っ暗な空が混じってて、昨日のドライブインを思い出す。
すかさずスマホで空をスクショ。
「太一くん、何やってるの?」
令菜が自分の手に白い息をかけながら質問してきた。
手袋は忘れたらしい。
「記念撮影」
「ふーん」
あんまり興味なさそうだ。
多分令菜が今興味があるのは・・・・・・。
「柳沢さん、こんな早朝にパン屋さん
が開いてるんですか?」
やっぱりそっちか。
多分イケメンではなく、パンのほうに興味津々。
「ああ、ここは24時間いつでもスキーが出来るからね。むしろレストランの開いてない時間帯はパン屋は稼ぎ時なんだろうね」
「へえ」
うわの空だ。
令菜は可愛らしい顔の頬を染めながら何かを考えてる感じだ。
多分頭の中は食べ物でいっぱいなんだろう。
だんだんわかってきた。
そういう人種だ。
要するに、令菜は普通の女子高生の一種・・・・・・あ、いや中退してるんだったか。
腹が膨れたらイケメンのほうにも興味を抱きそうだ。
「・・・・・・」
柳沢さんのいうパン屋にたどり着いた。
ローカルなコンビニ。
外観はそんな感じ。
雑貨も売ってると思う。
「いらっしゃいませ」
早朝なのに数人客がいた。
店内のパンや雑貨を見て回るのはスキーウェア姿の少女や・・・・・・なぜか半袖短パンの大柄な外国人たち。
なぜ真冬に薄着?
「・・・・・・」
思わず外国人たちを見ていた。
ホテルに泊まってる人だろうけど、ここまでその恰好で来たのか?
「・・・・・・」
横目で令菜を見た。
彼女は半袖短パンの外国人にまったく興味を示していない。
いつの間にか3歩ほど前に出てる。
彼女は並べられたパンを観察するのに夢中だ。
よくある選んだパンをトングでお盆に乗せてレジに持ってくタイプだ。
「お近づきのしるしに今朝は奢るよ。2人とも好きなの選んで」
柳沢さんはそう言う。
「本当ですか? ありがとうございます」
「・・・・・・」
今ヨダレが垂れてた。
子供か。
とにかく俺もお礼を言った。
お盆とトレイを持って物色に入る。
「・・・・・・」
令菜は夢中で陳列棚見てるが、正直俺は少し覚めてた。
まあおいしいパンだろうけど・・・・・・ほとんどが古い油で揚げた感じだ。
揚げあんパン 揚げドーナツ コロッケ メンチカツ。
なんでだろ?
そんなことを思っていると・・・・・・。
「令菜!?」
突然女の子の驚いた声が店内に響いた。
「ん?」
食べ物に夢中だった令菜は視線を声の主の元に送る。
「うそ? ゆっこ?」
「・・・・・・?」
「久しぶり!」
知り合いらしい。
お互い近づいてコンタクトを取ってる。
見た感じ・・・・・・仲の良かった友達ってとこかな?
†††††
令菜とスキーウェアの女の子は立ち話を始める。
「ゆっこ。なんでこんなとこいるの?」
「家族旅行。令菜は?」
「あ、私は住み込みのアルバイト」
「へ、へえ」
「・・・・・・?」
何となく2人のやり取りを見ていたが・・・・・・ゆっこと呼ばれている少女が一瞬令菜の左手のリストバンドを見た気がした。
何となく思う。
彼女は令菜の左手首の傷の存在を知ってる。
「へえ、どこでアルバイトしてるの?」
「レストランランプってとこ」
「本当? 後で家族と行っていい?」
「もちろん」
なんだか意気投合している。
・・・・・・昨日こ令菜は高校1年のときにいじめられて中退したと言ってた。
とてもそんな雰囲気には見えないが・・・・・・。
「あら? あなたもしかして令菜の彼氏とか?」
ゆっこと呼ばれてる少女は俺に興味を示してきた。
「え? 違うよ。単なるバイト仲間」
「そう・・・・・・そっちのイケメンさんは?」
「ハハッ、僕もバイト仲間。もっとも普段は教師だけど」
「え!?」
「え!?」
みんな驚いた。
柳沢さん、何かの教師なのか。
・・・・・・どういう経緯でキャバ嬢と付き合ってるんだろう。
「えっと、どういう状況?」
「まあ、複雑な状況」
「ふーん」
ゆっこは質問しといて柳沢さんに興味を無くしたようだ。
急に心配そうな顔付きになる。
「令菜、学校には戻ってこないの? 聞いてると思うけど、特例でまだ令菜は在籍扱いなんだよ」
「・・・・・・?」
その言葉に驚く。
柳沢さんもポーカーフェイスそうで少し眉をひそめた気がする。
一昨年中退した生徒がまだ在籍扱い?
義務教育じゃあるまいし、そんなことあり得るんだろうか。
「・・・・・・戻らないよ」
「そっか。ごめん」
「いいけど」
「ねえ、アルバイトの休憩時間とか少し話せる?」
「もちろん」
「本当? じゃ、後でね」
ゆっこはそう言って行ってしまった。
家族旅行に来てると言ってた。
多分家族とスキーの真っ最中なんだろう。
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