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第7話 年度末テスト
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年度末には地域の方針で地区の公立小学校共通の学力テストが行われる。これに合格しないと春休みの補講がある。しかし、受ける生徒はほとんどいない。それほど基礎的な問題ばかりだ。
貴也はそのテストを10分程度で終わらせて、机に突っ伏して寝た。
「起きなさい」
担任教師である小谷野は小声て話しかけた。貴也はチラリと彼の方を見て「終わりました」というとまた顔を隠した。
「見直しはしたのか?」
頷く貴也に小谷野は大きくため息をついた。周りの子どもが彼らのやり取りを気にして、チラチラと見ていた。それに小谷野は気づいて、貴也に声を掛けて彼のテストを回収した。
教壇座ると、貴也の答案を見た。全部正解していた。
貴也は授業中は寝ていることが多いが、学校のどんなテストも満点であり、そのテストも他の子どもの10分の1くらいの時間で終える。
小谷野はこういう生意気な天才が好きではなかった。簡単にできてしまうことに価値はなく努力して頑張って勝ち取った感動を覚えてほしかった。泥臭いと思われるかもしれないが、それはいい経験になる。
小谷野は今も寝ている貴也を見て、ため息をついた。
テスト終了の時間になり、小谷野はテストを回収した。それをパラパラと見るとほどんどの子どもが合格点に達してそうでホッとした。
補講は担当教師が行わなければいけない。だから、これは1年間指導できなかった教師への罰だと思っていた。
テストで本日の授業が終わり、子どもたちは下校した。
職員室の自席に座った小谷野はテストの枚数と名前を確認すると封筒に入れた。
「小谷野先生、テストどうでした?」
隣の席に座る鈴木が声を掛けてきた。彼は同期であるため比較的よく話をする。
「多分、補講はしなくてすみそうです。鈴木先生の所もですか?」
「ええ、そうですね」
鈴木は穏やかに笑いながら、頷いた。その後、少し声をひそめて「叶君のお母さんから電話がありました」と言った。すると小谷野はうんざりとした顔してため息をついた。
「またですか」
「下校したばかりだと伝えました」
「そんなに管理したら子どもがまいってしまうと思うですがね」
「そうですね。そういえば、彼やたら江本君につっかかりますよね。僕、何度も注意していますよ」
鈴木の言葉に、小谷野は唸った。
「叶は中学受験すると言ってますが、学校の成績そこまでよくないですよね。もちろん上の方ですが、計算ミスも多いですし……だから、常に満点の江本君が気に食わないということですね」
鈴木は小谷野の言葉に頷きながら自分のクラスの解答を封筒に入れると封をした。そして、それを小谷野の渡した。小谷野はそれを取りながら、頷いた。
「江本は天才ですからね。いつも授業中寝ていますが質問のは全て正解します。このテストも10分で終わらせましたよ。見る限り満点じゃないですか。勉強しなくてもできる江本と張り合おうとする叶がおかしいです」
「天才ですか……」
軽く笑う小谷野に鈴木は眉を寄せた。鈴木は少し考えたあと、小谷野の方を見た。その真剣な顔に小谷野は驚いて身体を引いた。
「江本君は中学受験するのですか?」
「さぁ?」
「親御さんはなんと?」
小谷野は鈴木の言葉に眉を下げて困った顔をしながら、腕組みをした。
「電話では何度か話したのですが、一切学校に来てくれないですよね。仕事が忙しいとかで……」
「親御さんと何を話したのですか?」
「授業中寝ていると言うと、“先生の授業が面白いくないから”と言われちゃいましたよ。確かに、できる江本からしたら退屈ですよね」
「……そうですか」
鈴木は“勉強しなくてもテストができる。授業中寝ている”と言う状態に違和感があった。しかし、それを小谷野の上手く伝えられなかった。
「それより、叶の母親ですよ。以前、帰宅が遅いて学校中探し回ってたんですよ」
「あぁ、あの恐ろしい顔に子どもたち怯えてましたね」
少し前、叶和也の母親が学校にいて和也を捕まえて帰ったのは職員でも話題になっていた。
鈴木がふと窓の外を見ると、校庭でサッカーをする和也の姿があった。
それを小谷野に伝えると、彼は眉を下げため息をつくと事務作業に戻った。
鈴木は和也が気になったが、動けずにいた。
貴也はそのテストを10分程度で終わらせて、机に突っ伏して寝た。
「起きなさい」
担任教師である小谷野は小声て話しかけた。貴也はチラリと彼の方を見て「終わりました」というとまた顔を隠した。
「見直しはしたのか?」
頷く貴也に小谷野は大きくため息をついた。周りの子どもが彼らのやり取りを気にして、チラチラと見ていた。それに小谷野は気づいて、貴也に声を掛けて彼のテストを回収した。
教壇座ると、貴也の答案を見た。全部正解していた。
貴也は授業中は寝ていることが多いが、学校のどんなテストも満点であり、そのテストも他の子どもの10分の1くらいの時間で終える。
小谷野はこういう生意気な天才が好きではなかった。簡単にできてしまうことに価値はなく努力して頑張って勝ち取った感動を覚えてほしかった。泥臭いと思われるかもしれないが、それはいい経験になる。
小谷野は今も寝ている貴也を見て、ため息をついた。
テスト終了の時間になり、小谷野はテストを回収した。それをパラパラと見るとほどんどの子どもが合格点に達してそうでホッとした。
補講は担当教師が行わなければいけない。だから、これは1年間指導できなかった教師への罰だと思っていた。
テストで本日の授業が終わり、子どもたちは下校した。
職員室の自席に座った小谷野はテストの枚数と名前を確認すると封筒に入れた。
「小谷野先生、テストどうでした?」
隣の席に座る鈴木が声を掛けてきた。彼は同期であるため比較的よく話をする。
「多分、補講はしなくてすみそうです。鈴木先生の所もですか?」
「ええ、そうですね」
鈴木は穏やかに笑いながら、頷いた。その後、少し声をひそめて「叶君のお母さんから電話がありました」と言った。すると小谷野はうんざりとした顔してため息をついた。
「またですか」
「下校したばかりだと伝えました」
「そんなに管理したら子どもがまいってしまうと思うですがね」
「そうですね。そういえば、彼やたら江本君につっかかりますよね。僕、何度も注意していますよ」
鈴木の言葉に、小谷野は唸った。
「叶は中学受験すると言ってますが、学校の成績そこまでよくないですよね。もちろん上の方ですが、計算ミスも多いですし……だから、常に満点の江本君が気に食わないということですね」
鈴木は小谷野の言葉に頷きながら自分のクラスの解答を封筒に入れると封をした。そして、それを小谷野の渡した。小谷野はそれを取りながら、頷いた。
「江本は天才ですからね。いつも授業中寝ていますが質問のは全て正解します。このテストも10分で終わらせましたよ。見る限り満点じゃないですか。勉強しなくてもできる江本と張り合おうとする叶がおかしいです」
「天才ですか……」
軽く笑う小谷野に鈴木は眉を寄せた。鈴木は少し考えたあと、小谷野の方を見た。その真剣な顔に小谷野は驚いて身体を引いた。
「江本君は中学受験するのですか?」
「さぁ?」
「親御さんはなんと?」
小谷野は鈴木の言葉に眉を下げて困った顔をしながら、腕組みをした。
「電話では何度か話したのですが、一切学校に来てくれないですよね。仕事が忙しいとかで……」
「親御さんと何を話したのですか?」
「授業中寝ていると言うと、“先生の授業が面白いくないから”と言われちゃいましたよ。確かに、できる江本からしたら退屈ですよね」
「……そうですか」
鈴木は“勉強しなくてもテストができる。授業中寝ている”と言う状態に違和感があった。しかし、それを小谷野の上手く伝えられなかった。
「それより、叶の母親ですよ。以前、帰宅が遅いて学校中探し回ってたんですよ」
「あぁ、あの恐ろしい顔に子どもたち怯えてましたね」
少し前、叶和也の母親が学校にいて和也を捕まえて帰ったのは職員でも話題になっていた。
鈴木がふと窓の外を見ると、校庭でサッカーをする和也の姿があった。
それを小谷野に伝えると、彼は眉を下げため息をつくと事務作業に戻った。
鈴木は和也が気になったが、動けずにいた。
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