【完結】愛しの魔王様~魔王(依存・執着)×勇者(積極的わんこ)~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
2 / 38

2

しおりを挟む
勇者はルーシアの部下たちを軽々と投げ飛ばしながら城内に進む。
「すみません。邪魔しないでください。魔王様に会いに来ただけなんです」
勇者はルーシアの前に到着すると、満面の笑みを浮かべる。
「魔王様。僕は諦めません。だって……僕の剣は世界と魔王様、両方を守るためのものですから」
真剣な眼差しで言う、グリードにルーシアは目を細めた。
世界を人間とするならば、我々との共存は無理だ。人間は我らを『魔族』と称し敵とする。
「お茶でも一緒にいかがですか?」グリードが呑気にっこり笑顔。
侵略された我らが人間に友好的な気持ちにはなれない。そもそも人間は常に我らに牙を向ける。
「私は(人間中心な)世界平和なんていらん」
「魔王様……。村を襲わないでください。僕、止めに行かないといけなくなるので……」
グリードが守りやすい村を襲うようにしている。そうすればグリードの名声があがる。それとは別に、良くない行いをしている屋敷も襲う事にしている。
グリードの様に子どもが売られるのは心が痛む。
「でも僕、信じてるんです。魔王様は。本当は優しいって。幼い頃、魔王様に助けてもらったあの日から……」
「……」
必死に叫ぶ、グリードに目を細める。
人身売買市場から助けた日、グリードの記憶は消した。しかし、あの時グリードが怪我をしていたため血を分け与えた。
その影響か……。
グリードが明るく笑顔を作る。
「一緒に世界を良くする方法を考えませんか? 魔王様の力があれば、きっといいことができるはず。僕、魔王様のそばでお手伝いします」
人間のために使う力はない。しかし、グリードのためならと少しは思う。
「邪魔」
グリードが生まれた村に飛ばした。
突然故郷の村に転送され、グリードは驚き周りを見回す。
「あっ……、ここは」
懐かしさと焦りが入り混じった表情をする。
「魔王様、意地悪ですね。でも僕の故郷を覚えていてくれたなんて嬉しい」
村人たちに手を振りながら「みなさん、元気ですか? ちょっと魔王様のところまで戻るので」
すぐに村を出ると、一瞬で走り出す。
「魔王様、待っていてください。こんなことじゃ諦めませんからね。僕の愛は農村の土みたいに肥えてますよ」

ルーシアは遠隔透視魔法を掛けた水晶でグリードの様子をみる。
「はぁ……」
ため息をつくルーシアにレオリオが近づく。一つの身体に対して、二つの頭を持っている。それぞれ、レオとリオという名前がある。
レオがニヤニヤして「また見てるのですが」と言うとリオは「好きですね」と茶化す。
「そうだな」ルーシアはそういうと落ち込む。
ルーシアが持つ、グリードへの気持ちを自覚している。だからこと近づいてほしくはない。
村の女と結婚でもしてくれれば諦めがつくのか。
「あっ」レッドが声を上げた。「グリードを国王の城に飛ばしましょう」
「え……」ルーシアは眉を寄せる。
「あーいいね」リオが賛成。したがレオは「なんでいいんだ?」と首を傾げる。彼ら二人は、身体は同じでも脳が別。性格も考え方も異なる。
「あそこの王女はグリードをいたく気に入っている。噂が本当なら男妾にしようとするんじゃない?」
「げー」レオは舌を出し不機嫌な顔をする。「気持ち悪い。王女って隣国の王子と婚約してなかった?」
「アハハ、そういう趣味ってこと」愉快に話すリオにレオは怪訝な顔をした。
「あっ……、そうか。なら、グリードも男妾になり贅沢に暮らせる」ルーシアは寂しそうにいった。
「ルーシア様」レッグはグリードの事になると自信を無くしネガティブになるルーシアに呆れた。「まぁ、ちょっと考えがありますが、それは別として試してもよいのではないですか?」
「試す?」ルーシアだけなくレオも首を傾げた。
「ええ、ルーシア様への愛です。ルーシア様が好きなら何とかしてまた城にきますよ」
「そうか」ルーシアは力なく笑った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

処理中です...