【完結】愛しの魔王様~魔王(依存・執着)×勇者(積極的わんこ)~

黒夜須(くろやす)

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ルーシアは玉座に座り直すとため息をついて、勇者から目をそらす。
グリードは魔王の言葉に一瞬寂しそうな顔をするも「照れ隠しですね、わかってますよ」とすぐに明るく笑った。「魔王様の目が合わないのも可愛いです。恥ずかしがり屋さんなんですね」
グリードに掛かれば全てが彼の都合の良い解釈になる。
「でも魔王様、僕がいない時間が落ち着くなんて」少し考え込むグリードを見て、言いすぎたかと感じたが杞憂だった。「それって“いる時間”は心臓がドキドキするってことですよね? 僕も同じです」
「お前がいると本当に頭が痛い」
ため息をつき、腕と足を組む。言葉に棘を含むがその棘を全て抜かれてしまう。
グリードはくすりと笑った。
「それって、魔王様の“好き”の表現方法ですよね」自信満々に話す。「魔王様が僕に頭痛になるのは、きっと僕への気持ちが強すぎて混乱しているからです。理解していますよ」
目を離さず、愛情たっぷりの視線を向けられルーシアは眉を潜める。

そんなに見られると答えたくなってしまう……。

深呼吸をして話題を変える事にした。
「お前、国王から魔王討伐任務の依頼がきたんじゃないのか?」
魔王討伐依頼は国からの依頼だ。拒否はできない。
依頼を受けているなら、魔王城と呼ばれるここにいるのは良くない。グリードが制裁を受ける可能性がある。
「アハハ」楽しそうにグリードは笑う。「国王からの依頼は受けましたよ。でも僕、いつも『魔王様を改心させます』って返事してるんです」
グリードは真っ青な瞳を向け真剣な表情をする。
「僕は魔王様を倒したくありません。魔王様の悪事を止めて、一緒に良い道を歩みたいんです」
「悪事ねぇ」
人間から見れば『そうか』と納得する。人間から侵略をうけたのは500年前の話だ。知っている者は人間にいないだろうし、都合が良くないから記録も残っていないだろう。
「なんのことだろうな」クッククックと悪役の様に笑った。
「王様の笑顔、素敵です。もっと見せてください」
嬉しそうな表情でグリードは言った。
「僕は魔王様も民の平和もどちらも手に入れてみせます。民にも魔王様の本当の良さを分かってもらえば、きっと!!」自信満々に宣言をする。
グリードはルーシアに近づきながら「魔王様、本当は優しいんですよね?僕、知ってるんです。幼い頃助けてもらった時から……」
「ん?」ルーシアは眉間にシワを寄せる。
たまたま、お攻撃を仕掛けた場所が、人身売買市場だった。そこでボロボロになっていたグリードを見つけた。
大きな怪我をして瀕死だったがグリードは美しく、ルーシアの心をつかんだ。
ルーシアの血を与え、怪我を直すと孤児院の前に置いた。幼子であったため、覚えているとは思えない。
「あの時魔王様が助けてくれなかったら、僕は死んでいました。その日から、魔王様のことが忘れられなくて」
ルーシアは眉を潜めた。覚えているわけがない。その時、グリードは歩くのがやっとな赤ん坊だ。
「孤児だったから誰も探してくれなかったけど、魔王様の姿をずっと覚えていました。だから強くなって、必ず会いに来ると決めたんです」
ルーシアの血は、細胞を活性化させる力がある。それが作用しているのだろう。
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