6 / 38
6
しおりを挟む
厄介な……。
確かに、グリードがルーシアを好きすぎる事に疑問を持っていた。
このままでは、グリードは人間と対立する。我らと人間の共存はありえない。
ルーシアの事を『魔王』と騒ぎ、命を狙ってくる輩と共存するつもりはなかった。
レッドが、『城に転送させろ』と言ったのを思い出した。
余り気が進まないが……、これ以上一緒にいるよりはマシだと思った。王女は問題はあるが美しいと聞く。彼女に迫られればルーシアの事を忘れる。
人間は人間同士で仲良くすべきだ。
覚悟を決めて、グリードを城に転送した。
突然、現れたグリードに国王驚いたが、すぐに笑顔を作った。
「おお、主は勇者グリードか」目を細める。「全く、呼び出してから何か月たっていると思っている」
「え? 魔王様?」
突然の景色が変わり、驚き回りを見回す。
グリードは焦った。今まで何度も城へ呼び出しを受けていた。本来、登城命令を拒否することは不可だが、グリードは国王から魔王討伐依頼を受け、余裕はない言い登城を逃れていた。魔王討伐は国の悲願であるため、登城は討伐後とされていた。
魔王様……。
グリードは諦め、国王を見ると礼儀正しく一礼する。
「国王陛下。はじめまして。僕は勇者のグリードです。でも今は魔王様と大事な話の途中だったんですが」
孤児院出身のグリードに国王への礼儀など分からないが、とりあえず挨拶をしてした。
すぐに、国王に背を向け扉に向かって走る。
「魔王様。すぐ戻りますからね。これも愛の試練だと思って待っていてください」
すると、「待ちなさい」と言う国王の声が聞こえた。無視すると、複数の騎士が扉を固めると同時にグリードを取り囲まれた。
「主の評判はよくきく。主のおかけで、魔王が村をほとんど襲わなくなった」と嬉しそうな表情で国王は話した。
扉が固められるのを見て、グリードは少し焦りながらも明るい表情を作る。
「陛下。お褒めの言葉ありがとうございます」軽い調子で言う。「魔王様が村を襲わなくなったのは、きっと心を開き始めてくれたからだと思います。僕、正しい道に進んでると確信してます」
魔王の元へ早く戻りたくてチラチラと扉の方を見る。
その様子に気付いた、騎士がグリードの元へ向かう。グリードを取り囲む騎士が増えた。国王のいる前方しか見る事ができない。
国王は目を細めると「主は平民だから、礼儀はないのは許す」低い声でいった。
それを聞いた騎士は、グリードに「国王陛下の御前だ。跪きなさい」と強く言った。
「落ち着いて、話を聞け」国王が穏やかに笑う。
グリードは騎士に囲まれても動じることなく笑顔を保つ。魔王の元へ戻りたいという気持ちでいっぱいであった。
「あ、失礼しました」軽い口調で言うと丁寧に片膝をつき、頭を下げる。「陛下、申し訳ありません。田舎育ちで作法に疎くて」ヘラヘラと笑い国王に敬意を示す様子はない。
「お話、聞かせていただきます。なるべく手短にお願いします」
国王への発言にしては無礼すぎ、騎士らは眉を寄せたがグリードは気にしない。
本当に、どうでも良かった。
話を聞くと跪いたグリードに国王は満足そうな笑みを浮かべる。「主の力を私は高く評価している。主は……」
国王はグリードの実績についてゆっくりと話し出した。どうでも良い事をゆっくりと話す国王に内心苛立ったが、黙って頷き聞いていた。
「ありがとうございます。陛下」
話を聞きながらも、グリードの視線は時折、窓や扉に向かった。この状況から脱出する方法を必死で考えた。
「はい。それは村人の皆さんのためでしたので」
適当な事をいい、適当なタイミングで頷いた。
国王は穏やかに笑い「よって、主に騎士の位を授ける。国家直属の騎士となり力を発揮せよ」と言った。
流石にその言葉には驚きの表情を隠せない。
「え?」グリードは眉を潜めた。「騎士の位を?」困惑した。
「陛下、とても光栄なお話ですが、僕には自由に動ける立場が合っているんです。村人を守ることも、魔物を退治することも続けます。ですので、ありがたく辞退させてください」
なるべく言葉を選び、断ったが国王は目を細めた。
「主をただの騎士で終わらすつもりはない」
国王が、奥の扉を見ると美しい金髪碧眼の王女が現れた。
嫌な予感しかしない。
確かに、グリードがルーシアを好きすぎる事に疑問を持っていた。
このままでは、グリードは人間と対立する。我らと人間の共存はありえない。
ルーシアの事を『魔王』と騒ぎ、命を狙ってくる輩と共存するつもりはなかった。
レッドが、『城に転送させろ』と言ったのを思い出した。
余り気が進まないが……、これ以上一緒にいるよりはマシだと思った。王女は問題はあるが美しいと聞く。彼女に迫られればルーシアの事を忘れる。
人間は人間同士で仲良くすべきだ。
覚悟を決めて、グリードを城に転送した。
突然、現れたグリードに国王驚いたが、すぐに笑顔を作った。
「おお、主は勇者グリードか」目を細める。「全く、呼び出してから何か月たっていると思っている」
「え? 魔王様?」
突然の景色が変わり、驚き回りを見回す。
グリードは焦った。今まで何度も城へ呼び出しを受けていた。本来、登城命令を拒否することは不可だが、グリードは国王から魔王討伐依頼を受け、余裕はない言い登城を逃れていた。魔王討伐は国の悲願であるため、登城は討伐後とされていた。
魔王様……。
グリードは諦め、国王を見ると礼儀正しく一礼する。
「国王陛下。はじめまして。僕は勇者のグリードです。でも今は魔王様と大事な話の途中だったんですが」
孤児院出身のグリードに国王への礼儀など分からないが、とりあえず挨拶をしてした。
すぐに、国王に背を向け扉に向かって走る。
「魔王様。すぐ戻りますからね。これも愛の試練だと思って待っていてください」
すると、「待ちなさい」と言う国王の声が聞こえた。無視すると、複数の騎士が扉を固めると同時にグリードを取り囲まれた。
「主の評判はよくきく。主のおかけで、魔王が村をほとんど襲わなくなった」と嬉しそうな表情で国王は話した。
扉が固められるのを見て、グリードは少し焦りながらも明るい表情を作る。
「陛下。お褒めの言葉ありがとうございます」軽い調子で言う。「魔王様が村を襲わなくなったのは、きっと心を開き始めてくれたからだと思います。僕、正しい道に進んでると確信してます」
魔王の元へ早く戻りたくてチラチラと扉の方を見る。
その様子に気付いた、騎士がグリードの元へ向かう。グリードを取り囲む騎士が増えた。国王のいる前方しか見る事ができない。
国王は目を細めると「主は平民だから、礼儀はないのは許す」低い声でいった。
それを聞いた騎士は、グリードに「国王陛下の御前だ。跪きなさい」と強く言った。
「落ち着いて、話を聞け」国王が穏やかに笑う。
グリードは騎士に囲まれても動じることなく笑顔を保つ。魔王の元へ戻りたいという気持ちでいっぱいであった。
「あ、失礼しました」軽い口調で言うと丁寧に片膝をつき、頭を下げる。「陛下、申し訳ありません。田舎育ちで作法に疎くて」ヘラヘラと笑い国王に敬意を示す様子はない。
「お話、聞かせていただきます。なるべく手短にお願いします」
国王への発言にしては無礼すぎ、騎士らは眉を寄せたがグリードは気にしない。
本当に、どうでも良かった。
話を聞くと跪いたグリードに国王は満足そうな笑みを浮かべる。「主の力を私は高く評価している。主は……」
国王はグリードの実績についてゆっくりと話し出した。どうでも良い事をゆっくりと話す国王に内心苛立ったが、黙って頷き聞いていた。
「ありがとうございます。陛下」
話を聞きながらも、グリードの視線は時折、窓や扉に向かった。この状況から脱出する方法を必死で考えた。
「はい。それは村人の皆さんのためでしたので」
適当な事をいい、適当なタイミングで頷いた。
国王は穏やかに笑い「よって、主に騎士の位を授ける。国家直属の騎士となり力を発揮せよ」と言った。
流石にその言葉には驚きの表情を隠せない。
「え?」グリードは眉を潜めた。「騎士の位を?」困惑した。
「陛下、とても光栄なお話ですが、僕には自由に動ける立場が合っているんです。村人を守ることも、魔物を退治することも続けます。ですので、ありがたく辞退させてください」
なるべく言葉を選び、断ったが国王は目を細めた。
「主をただの騎士で終わらすつもりはない」
国王が、奥の扉を見ると美しい金髪碧眼の王女が現れた。
嫌な予感しかしない。
0
あなたにおすすめの小説
優しい檻に囚われて ―俺のことを好きすぎる彼らから逃げられません―
無玄々
BL
「俺たちから、逃げられると思う?」
卑屈な少年・織理は、三人の男から同時に告白されてしまう。
一人は必死で熱く重い男、一人は常に包んでくれる優しい先輩、一人は「嫌い」と言いながら離れない奇妙な奴。
選べない織理に押し付けられる彼らの恋情――それは優しくも逃げられない檻のようで。
本作は織理と三人の関係性を描いた短編集です。
愛か、束縛か――その境界線の上で揺れる、執着ハーレムBL。
※この作品は『記憶を失うほどに【https://www.alphapolis.co.jp/novel/364672311/155993505】』のハーレムパロディです。本編未読でも雰囲気は伝わりますが、キャラクターの背景は本編を読むとさらに楽しめます。
※本作は織理受けのハーレム形式です。
※一部描写にてそれ以外のカプとも取れるような関係性・心理描写がありますが、明確なカップリング意図はありません。が、ご注意ください
強制悪役劣等生、レベル99の超人達の激重愛に逃げられない
砂糖犬
BL
悪名高い乙女ゲームの悪役令息に生まれ変わった主人公。
自分の未来は自分で変えると強制力に抗う事に。
ただ平穏に暮らしたい、それだけだった。
とあるきっかけフラグのせいで、友情ルートは崩れ去っていく。
恋愛ルートを認めない弱々キャラにわからせ愛を仕掛ける攻略キャラクター達。
ヒロインは?悪役令嬢は?それどころではない。
落第が掛かっている大事な時に、主人公は及第点を取れるのか!?
最強の力を内に憑依する時、その力は目覚める。
12人の攻略キャラクター×強制力に苦しむ悪役劣等生
魔王の息子を育てることになった俺の話
お鮫
BL
俺が18歳の時森で少年を拾った。その子が将来魔王になることを知りながら俺は今日も息子としてこの子を育てる。そう決意してはや数年。
「今なんつった?よっぽど死にたいんだね。そんなに俺と離れたい?」
現在俺はかわいい息子に殺害予告を受けている。あれ、魔王は?旅に出なくていいの?とりあえず放してくれません?
魔王になる予定の男と育て親のヤンデレBL
BLは初めて書きます。見ずらい点多々あるかと思いますが、もしありましたら指摘くださるとありがたいです。
BL大賞エントリー中です。
【完結】抱っこからはじまる恋
* ゆるゆ
BL
満員電車で、立ったまま寄りかかるように寝てしまった高校生の愛希を抱っこしてくれたのは、かっこいい社会人の真紀でした。接点なんて、まるでないふたりの、抱っこからはじまる、しあわせな恋のお話です。
ふたりの動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵もあがります。
YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。
プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!
完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
BLoveさまのコンテストに応募しているお話を倍以上の字数増量でお送りする、アルファポリスさま限定版です!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
アプリで都合のいい男になろうとした結果、彼氏がバグりました
あと
BL
「目指せ!都合のいい男!」
穏やか完璧モテ男(理性で執着を押さえつけてる)×親しみやすい人たらし可愛い系イケメン
攻めの両親からの別れろと圧力をかけられた受け。関係は秘密なので、友達に相談もできない。悩んでいる中、どうしても別れたくないため、愛人として、「都合のいい男」になることを決意。人生相談アプリを手に入れ、努力することにする。しかし、攻めに約束を破ったと言われ……?
攻め:深海霧矢
受け:清水奏
前にアンケート取ったら、すれ違い・勘違いものが1位だったのでそれ系です。
ハピエンです。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
自己判断で消しますので、悪しからず。
姫を拐ったはずが勇者を拐ってしまった魔王
ミクリ21
BL
姫が拐われた!
……と思って慌てた皆は、姫が無事なのをみて安心する。
しかし、魔王は確かに誰かを拐っていった。
誰が拐われたのかを調べる皆。
一方魔王は?
「姫じゃなくて勇者なんだが」
「え?」
姫を拐ったはずが、勇者を拐ったのだった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる