【完結】愛しの魔王様~魔王(依存・執着)×勇者(積極的わんこ)~

黒夜須(くろやす)

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厄介な……。

確かに、グリードがルーシアを好きすぎる事に疑問を持っていた。
このままでは、グリードは人間と対立する。我らと人間の共存はありえない。
ルーシアの事を『魔王』と騒ぎ、命を狙ってくる輩と共存するつもりはなかった。
レッドが、『城に転送させろ』と言ったのを思い出した。
余り気が進まないが……、これ以上一緒にいるよりはマシだと思った。王女は問題はあるが美しいと聞く。彼女に迫られればルーシアの事を忘れる。
人間は人間同士で仲良くすべきだ。
覚悟を決めて、グリードを城に転送した。

突然、現れたグリードに国王驚いたが、すぐに笑顔を作った。
「おお、主は勇者グリードか」目を細める。「全く、呼び出してから何か月たっていると思っている」
「え? 魔王様?」
突然の景色が変わり、驚き回りを見回す。
グリードは焦った。今まで何度も城へ呼び出しを受けていた。本来、登城命令を拒否することは不可だが、グリードは国王から魔王討伐依頼を受け、余裕はない言い登城を逃れていた。魔王討伐は国の悲願であるため、登城は討伐後とされていた。

魔王様……。

グリードは諦め、国王を見ると礼儀正しく一礼する。
「国王陛下。はじめまして。僕は勇者のグリードです。でも今は魔王様と大事な話の途中だったんですが」
孤児院出身のグリードに国王への礼儀など分からないが、とりあえず挨拶をしてした。
すぐに、国王に背を向け扉に向かって走る。
「魔王様。すぐ戻りますからね。これも愛の試練だと思って待っていてください」
すると、「待ちなさい」と言う国王の声が聞こえた。無視すると、複数の騎士が扉を固めると同時にグリードを取り囲まれた。
「主の評判はよくきく。主のおかけで、魔王が村をほとんど襲わなくなった」と嬉しそうな表情で国王は話した。
扉が固められるのを見て、グリードは少し焦りながらも明るい表情を作る。
「陛下。お褒めの言葉ありがとうございます」軽い調子で言う。「魔王様が村を襲わなくなったのは、きっと心を開き始めてくれたからだと思います。僕、正しい道に進んでると確信してます」
魔王の元へ早く戻りたくてチラチラと扉の方を見る。
その様子に気付いた、騎士がグリードの元へ向かう。グリードを取り囲む騎士が増えた。国王のいる前方しか見る事ができない。
国王は目を細めると「主は平民だから、礼儀はないのは許す」低い声でいった。
それを聞いた騎士は、グリードに「国王陛下の御前だ。跪きなさい」と強く言った。
「落ち着いて、話を聞け」国王が穏やかに笑う。
グリードは騎士に囲まれても動じることなく笑顔を保つ。魔王の元へ戻りたいという気持ちでいっぱいであった。
「あ、失礼しました」軽い口調で言うと丁寧に片膝をつき、頭を下げる。「陛下、申し訳ありません。田舎育ちで作法に疎くて」ヘラヘラと笑い国王に敬意を示す様子はない。
「お話、聞かせていただきます。なるべく手短にお願いします」
国王への発言にしては無礼すぎ、騎士らは眉を寄せたがグリードは気にしない。

本当に、どうでも良かった。

話を聞くと跪いたグリードに国王は満足そうな笑みを浮かべる。「主の力を私は高く評価している。主は……」
国王はグリードの実績についてゆっくりと話し出した。どうでも良い事をゆっくりと話す国王に内心苛立ったが、黙って頷き聞いていた。
「ありがとうございます。陛下」
話を聞きながらも、グリードの視線は時折、窓や扉に向かった。この状況から脱出する方法を必死で考えた。
「はい。それは村人の皆さんのためでしたので」
適当な事をいい、適当なタイミングで頷いた。
国王は穏やかに笑い「よって、主に騎士の位を授ける。国家直属の騎士となり力を発揮せよ」と言った。
流石にその言葉には驚きの表情を隠せない。
「え?」グリードは眉を潜めた。「騎士の位を?」困惑した。
「陛下、とても光栄なお話ですが、僕には自由に動ける立場が合っているんです。村人を守ることも、魔物を退治することも続けます。ですので、ありがたく辞退させてください」
なるべく言葉を選び、断ったが国王は目を細めた。
「主をただの騎士で終わらすつもりはない」
国王が、奥の扉を見ると美しい金髪碧眼の王女が現れた。
嫌な予感しかしない。
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