【完結】愛しの魔王様~魔王(依存・執着)×勇者(積極的わんこ)~

黒夜須(くろやす)

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少し進むと、瓦礫が見えてきた。ここを収めていた貴族の屋敷だったと団長に説明された。
近くに立派な屋敷が建っている。畑が広がり、民が世話をしているのが見える。民の服は、王都と違いボロボロだ。
「屋敷は魔族が壊した。それにより治める貴族が変わり民は過ごしやすくなったようだ」団長が淡々と言う。
団長は少し間をおいてから、グリードの方を見た。
「魔族とは、なんだか知っているか?」
馬をとめ、進行方向を反対にする、もと来た道を戻る。
「いえ……」団長について行きながら答えた。
「500年ほど前は、ここら一帯は魔族がすんでいた。侵略したのは、人間だ。だから、領地を取り返そうと魔族は破壊行為をする」
騎士団長の地位にしては、国の情勢に詳しいすぎる事に疑念を抱きながら馬を止める
「魔族の土地……だった……」知らない事実に驚愕した。
自分たちが侵略者下なんて、誰も教えてくれなかった。
よく考えれば500年前の話、知らなかったという方が正しいのかも知れない。
「王族でも一部の人間しか知らない」団長は意味深な笑みを浮かべる。「私もグリードと同じ平民出身で王女殿下の『お気に入り』だ」
力なく笑う。「けど……。もう疲れたな」小さな声で団長はつぶやいた。

城に戻ると、団長は「明日の護衛、よろしくな」と言って、騎士宿舎でなく勇者と同様、王女殿下の隣の部屋にはいる。王女の左右に勇者と団長の部屋があった。
「王女様の……隣の部屋……?」
グリードは団長が『女王陛下のお気に入り』だと言ったのを思い出した。
嫌な予感しかしない。
グリードは部屋の前で立ち止まり、部屋の配置を見た。
「この配置、やはり王女様は僕を……」
考えれば、考えるほど気持ち悪くなった。王女は美しいが、そういった対象とは考えらない。
グリードの大切な息子が縮こまるのを感じた。

部屋に入る前に深呼吸をして、ドアノブに手を掛け静かに自分の部屋に入った。
「考えを整理しないと」
情報がたくさんすぎてパンクしそうになった。

深夜、グリードがベッドの中で寝ていた。すると、隣の部屋から甘い声が聞こえ、目が覚める。
『ねぇ、早くぅ』王女の声が聞こえる。『あっ……そこ。いい』
耳を澄まし、声の正体を理解して顔を赤らめる。
「王女様と団長……?」
布団に潜り込み、枕で耳を塞ぐ。
「聞かないほうがいい……。聞かないほうが……」
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