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クラーク家の苦境
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あれからすぐに国王は治療を受けたが助からなった。クリスティーナ宰相の遺体は地下に保管されている。
国王の死もまだ発表されていない。幸いアーサーの戦闘も城から別塔であり短時間であったためその場にいた騎士しか知られていない。
アンドレーの様に魔法使用がなければここまで騎士が敗退することや城への侵入を許すことはない。
アンドレーが関わっていたとしても、クリスティーナ宰相の犯した罪は重すぎる。おそらく彼女の家もつぶされる可能性がある。クリスティーナ宰相の家はクラーク公爵家。つまり、おじさんことオリビア嬢の本家だ。そして騎士副団長ウィリアムの実家である。彼はクリスティーナ宰相の息子だ。
おじさんはこの世界の事をよく知っているし、今回たくさん助けられた。見捨てることなどできない。
副団長もいなくならば騎士団の混乱はまぬがれないだろう。それに、私の2番目の推しメンなので救いたい。
侵入者の襲撃が再度あったとして、城の者には修復を依頼している。侵入者は前回同様に正体不明としているが国王に魅了魔法がない今、どこまで信じてもらえるか分からない。
私は自室で途方に暮れていた。あの時は、最善だと思っていた事が今はよくない方向に進んでいる。
コンコン
部屋の扉を叩く音がして、返事がするとルイが入ってきた。私はルイの顔見ると彼に変え寄った。
「ルイ……どうしよう。このままじゃクラーク家が……」
「クラーク家?」
ルイは事の重大さが分かっていないようで首を傾げている。
私はクラーク家がつぶされるかもしれない話をした。
「え? クラーク家がつぶれるのが問題かい?」
ルイは目を細めて口に手をあてて考えこんだ。ルイはクラーク家がつぶれる事や罪もないおじさんや副団長が罰せられることを問題視していないようだ。
「確かにウィリアム副団長は優秀だ。抜けるのは痛い。しかし、オリビア嬢はそこまで大きな問題にはならないだろう。そもそも、彼女はルカに近い」
「え? もしかして、ルカはクラーク家がつぶされる可能性があることを国王の死の前から気づいていた?」
「うん」
当たり前だと言わんばかりに頷いた。
愕然とした。国王の死の前にクラーク家の取り潰しの可能性に気づいていたら私はどうしただろうか。そもそもおじさんは気づいていたのだろうか。
今考えてもクリスティーナ宰相を使う以外の方法は考えつかない。そして、おこってしまったことの“もしも”で悩んでもしかない。これからの事を考えなくてはならない。
「ルイは、クラーク家を救いたいの?」
どうやら不満らしい。何が彼の気に障ったのだろうか。すこし考えると彼のさっきも言葉を思い出した。“彼女はルカに近い”と言っていた。スルーしてしまったが、聞き逃してはいけない部分であった。
ルイはどうやら嫉妬をしているようだ。
彼は本当に私以外の人間をどうでもいいと思っており私に近づくとつぶそうとする。
本当コワッ。
私はゆっくりと呼吸をしてからルイの方を向いた。
「ルイ、私はルイと二人でこの国の民を守っていきたい」
一呼吸おいてからからルイの顔をじっとみた。あいからずキレイな顔をしている。私が見すぎたためか、ほんのり顔が赤みを帯びた。
「私の気持ちはルイだけだよ」
だから、お願い嫉妬で他者を不幸にしないでほしい。不幸になることがわかっている場合は防いでほしい。
ルイは私の台詞に嬉しそうに笑った。
「わかった。一緒に民を守ろう」
ルイがはっきり誓ってくれたので安心した。
正直、ルイへの気持ちが恋愛感情なのかわからない。ルイの事は好きだし、彼が誰と結婚したら悲しいと思う。だだ、彼に触れたいという欲求が全くないのだ。それはまだ自分の身体が子どもだからかもしれない。
「ルカ?」
私が考え込んでしまったので不安に思ったらしく、ルイは眉を避けて私の顔を覗き込んだ。私は慌てて「はい」と返事をした。
「あのさ、僕が今ここに来たのは伝えたいことがあったからなんだ」
いつもルイは特別用事がなくとも私の部屋に来るため、今日もそうだと思った。そのため彼の話を聞かずに自分の話をしてしまい、申し訳なく思った。
「あ、いいだよ。そんな悲しい顔しなくとも。今、ルカの気持ちが聞けて嬉しかったよ。クラーク家の事は一緒によい方向に進むようにしよう」
優しい笑顔を私にくれた。ルイはいつも私にだけはこの笑顔をくれる。それはとても嬉しく思う。私を特別扱いするのはいいが、他者に興味ないどころか貶めようとするのは……。
今後も彼から目を離すことはできないと思った。
「それで、伝えることって?」
「ああ、今後の会議を明日行う。王妃と摂政、そして僕らだ。体調がよければアーサー殿も参加する」
「アーサー殿は無事だったんだ」
アーサーの無事を聞けて安心した。映像で動く彼を見たから最悪のことはないと思っていたが、それでも後遺症があったら大変だ。襲撃事件二回とも彼一人で守ったようなものだ。
「うん。アーサーたちがいた場所は僕らがいた転送魔法陣の部屋とはかなり離れた塔だった。そこで国王陛下とクリスティーナ宰相と会議をしていたみたいだ。本来は王妃も参加する定例会らしいけど……体調が悪かったみたい」
ルイは王妃の体調不良と言うことをなんだか言いづらそうであった。なにか大きな病気なのかと心配になり、聞こうとしたらルイはそれを察したようで手の平を私に見せた。
「王妃は大丈夫。それと……グレース殿下とジョージ殿下をお呼びした」
「お呼びしたってルイの判断?」
前摂政であり、祖母の妹のグレース殿下とその夫であり前騎士団長のジョージ殿下を呼んだことに驚いた。確かに王族であるが引退した者をもっとも大切である会議に呼びだすのは異例であった。
「そう。できれば知識をかしてほしいと言った。僕が国王になることは決まっているからすでに様々な権利をもらったよ」
国王の権利については私もこれから聞くことになる。この権利は国王と摂政しか知ることができない。改定するならば国王と摂政を引き継ぐこの瞬間だ。そして人事を決めるのもこの会議で行われる。
摂政を引継ぎ事は覚悟していたが早すぎる。漫画で、摂政になるのはまだ先だ。だが、前摂政から引き継げるため漫画よりはましだ。漫画は前摂政が国王を見切ってしまった。そのためルカが摂政業務を行うのだが国王はルカを摂政に任命しなかった。だからルカは摂政の権限なしで業務だけ行っていたのだ。
あんなの私には無理だ。
「ルカ、あのさ」
目の前にいるルイが私の様子を伺うように話しかけてきた。私が考え事をしていたため気をつかってくれたようだ。
私が返事をして彼の顔を見る。
「色々あって伝えられなかっただけど、誕生日おめでとう」
「え? あ、忘れていた。ルイもだよね。おめでとう」
ルイに言われて自分とルイの誕生日を思い出した。
そうだ、私はルイと同じ日に生まれているためいつもこの時期になると誕生祭を行う。成人していないためいつものお茶会をすこし豪華にしたものだ。
すると、数ヶ月後は妹カミラの誕生日だ。
彼女の誕生日までには国を立て直して誕生祭を行いたいと思った。
国王の死もまだ発表されていない。幸いアーサーの戦闘も城から別塔であり短時間であったためその場にいた騎士しか知られていない。
アンドレーの様に魔法使用がなければここまで騎士が敗退することや城への侵入を許すことはない。
アンドレーが関わっていたとしても、クリスティーナ宰相の犯した罪は重すぎる。おそらく彼女の家もつぶされる可能性がある。クリスティーナ宰相の家はクラーク公爵家。つまり、おじさんことオリビア嬢の本家だ。そして騎士副団長ウィリアムの実家である。彼はクリスティーナ宰相の息子だ。
おじさんはこの世界の事をよく知っているし、今回たくさん助けられた。見捨てることなどできない。
副団長もいなくならば騎士団の混乱はまぬがれないだろう。それに、私の2番目の推しメンなので救いたい。
侵入者の襲撃が再度あったとして、城の者には修復を依頼している。侵入者は前回同様に正体不明としているが国王に魅了魔法がない今、どこまで信じてもらえるか分からない。
私は自室で途方に暮れていた。あの時は、最善だと思っていた事が今はよくない方向に進んでいる。
コンコン
部屋の扉を叩く音がして、返事がするとルイが入ってきた。私はルイの顔見ると彼に変え寄った。
「ルイ……どうしよう。このままじゃクラーク家が……」
「クラーク家?」
ルイは事の重大さが分かっていないようで首を傾げている。
私はクラーク家がつぶされるかもしれない話をした。
「え? クラーク家がつぶれるのが問題かい?」
ルイは目を細めて口に手をあてて考えこんだ。ルイはクラーク家がつぶれる事や罪もないおじさんや副団長が罰せられることを問題視していないようだ。
「確かにウィリアム副団長は優秀だ。抜けるのは痛い。しかし、オリビア嬢はそこまで大きな問題にはならないだろう。そもそも、彼女はルカに近い」
「え? もしかして、ルカはクラーク家がつぶされる可能性があることを国王の死の前から気づいていた?」
「うん」
当たり前だと言わんばかりに頷いた。
愕然とした。国王の死の前にクラーク家の取り潰しの可能性に気づいていたら私はどうしただろうか。そもそもおじさんは気づいていたのだろうか。
今考えてもクリスティーナ宰相を使う以外の方法は考えつかない。そして、おこってしまったことの“もしも”で悩んでもしかない。これからの事を考えなくてはならない。
「ルイは、クラーク家を救いたいの?」
どうやら不満らしい。何が彼の気に障ったのだろうか。すこし考えると彼のさっきも言葉を思い出した。“彼女はルカに近い”と言っていた。スルーしてしまったが、聞き逃してはいけない部分であった。
ルイはどうやら嫉妬をしているようだ。
彼は本当に私以外の人間をどうでもいいと思っており私に近づくとつぶそうとする。
本当コワッ。
私はゆっくりと呼吸をしてからルイの方を向いた。
「ルイ、私はルイと二人でこの国の民を守っていきたい」
一呼吸おいてからからルイの顔をじっとみた。あいからずキレイな顔をしている。私が見すぎたためか、ほんのり顔が赤みを帯びた。
「私の気持ちはルイだけだよ」
だから、お願い嫉妬で他者を不幸にしないでほしい。不幸になることがわかっている場合は防いでほしい。
ルイは私の台詞に嬉しそうに笑った。
「わかった。一緒に民を守ろう」
ルイがはっきり誓ってくれたので安心した。
正直、ルイへの気持ちが恋愛感情なのかわからない。ルイの事は好きだし、彼が誰と結婚したら悲しいと思う。だだ、彼に触れたいという欲求が全くないのだ。それはまだ自分の身体が子どもだからかもしれない。
「ルカ?」
私が考え込んでしまったので不安に思ったらしく、ルイは眉を避けて私の顔を覗き込んだ。私は慌てて「はい」と返事をした。
「あのさ、僕が今ここに来たのは伝えたいことがあったからなんだ」
いつもルイは特別用事がなくとも私の部屋に来るため、今日もそうだと思った。そのため彼の話を聞かずに自分の話をしてしまい、申し訳なく思った。
「あ、いいだよ。そんな悲しい顔しなくとも。今、ルカの気持ちが聞けて嬉しかったよ。クラーク家の事は一緒によい方向に進むようにしよう」
優しい笑顔を私にくれた。ルイはいつも私にだけはこの笑顔をくれる。それはとても嬉しく思う。私を特別扱いするのはいいが、他者に興味ないどころか貶めようとするのは……。
今後も彼から目を離すことはできないと思った。
「それで、伝えることって?」
「ああ、今後の会議を明日行う。王妃と摂政、そして僕らだ。体調がよければアーサー殿も参加する」
「アーサー殿は無事だったんだ」
アーサーの無事を聞けて安心した。映像で動く彼を見たから最悪のことはないと思っていたが、それでも後遺症があったら大変だ。襲撃事件二回とも彼一人で守ったようなものだ。
「うん。アーサーたちがいた場所は僕らがいた転送魔法陣の部屋とはかなり離れた塔だった。そこで国王陛下とクリスティーナ宰相と会議をしていたみたいだ。本来は王妃も参加する定例会らしいけど……体調が悪かったみたい」
ルイは王妃の体調不良と言うことをなんだか言いづらそうであった。なにか大きな病気なのかと心配になり、聞こうとしたらルイはそれを察したようで手の平を私に見せた。
「王妃は大丈夫。それと……グレース殿下とジョージ殿下をお呼びした」
「お呼びしたってルイの判断?」
前摂政であり、祖母の妹のグレース殿下とその夫であり前騎士団長のジョージ殿下を呼んだことに驚いた。確かに王族であるが引退した者をもっとも大切である会議に呼びだすのは異例であった。
「そう。できれば知識をかしてほしいと言った。僕が国王になることは決まっているからすでに様々な権利をもらったよ」
国王の権利については私もこれから聞くことになる。この権利は国王と摂政しか知ることができない。改定するならば国王と摂政を引き継ぐこの瞬間だ。そして人事を決めるのもこの会議で行われる。
摂政を引継ぎ事は覚悟していたが早すぎる。漫画で、摂政になるのはまだ先だ。だが、前摂政から引き継げるため漫画よりはましだ。漫画は前摂政が国王を見切ってしまった。そのためルカが摂政業務を行うのだが国王はルカを摂政に任命しなかった。だからルカは摂政の権限なしで業務だけ行っていたのだ。
あんなの私には無理だ。
「ルカ、あのさ」
目の前にいるルイが私の様子を伺うように話しかけてきた。私が考え事をしていたため気をつかってくれたようだ。
私が返事をして彼の顔を見る。
「色々あって伝えられなかっただけど、誕生日おめでとう」
「え? あ、忘れていた。ルイもだよね。おめでとう」
ルイに言われて自分とルイの誕生日を思い出した。
そうだ、私はルイと同じ日に生まれているためいつもこの時期になると誕生祭を行う。成人していないためいつものお茶会をすこし豪華にしたものだ。
すると、数ヶ月後は妹カミラの誕生日だ。
彼女の誕生日までには国を立て直して誕生祭を行いたいと思った。
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