聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ

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第一章

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 この2人は何しに来たのかな?

 ずっとイチャイチャしてるのを見せられてる方の身にもなってほしい。

「ジェイミー様、聖女様、そろそろ神殿の方に向かわれたほうが………」

 メイド長が気不味そうに2人に声を掛ける。

 度胸があるな~

 私なら絶対に見て見ぬふりをするけど、それが出来ないぐらい時間がギリギリなのかもしれない。

「もうそんな時間か。メイド長とそこの乳母だけついてこい。赤子は乳母が抱いていろ。そんな重いものをレイラに運ばせられないからな」

 赤ちゃんを抱き上げられない母親ってどうなの?

 貴族ってそういうものなの?

 でもこの母親は日本から来た人だよね?

 日本で育ってるのに赤ちゃんも抱き上げられないなんて、どんな生活をしてたのかな?

 この世界では貴族や王族は自分の子供を抱き上げないのが常識なの?

「畏まりたした。ミリーもついて来なさい」

「はい!!」

「待ってください。私も姫様の専属メイドですわ。妹だけでは心配ですので、一緒に連れて行ってもらえませんか?」

 お父さんはチラッとカヤを見てから

「その必要はない。特にその乳母がやることはない。赤子を移動させるのに、運ばせる人材が欲しいだけだ。それぐらい1人で出来るだろ。赤子とその女に懐いてるみたいだからな」

 カヤは唇を噛み締めてから黙って頭を下げる。

 まともに仕事をしないのに、こういう時だけミリーの心配をしてる風に装うのが上手いよね。

 私のお父さんには意味がなかったみたいだけどね。

 ミリーに抱っこされたまま移動をする。

 お父さんは王族でお母さんは聖女って聞いてたから、大勢を連れて移動するのかと思ってたけど、少人数での移動にだった。

 私と両親とメイド長とミリーだけだった。

 神殿までどれぐらい歩くんだろ?

 ミリーは小柄だから抱っこしたまま移動するのは大変だよね?

『あぁ~~、あぅ~』

「どうしましたか?」

『あうあう~』

「今日はお喋りですね」

『あぅ~』

 心地よい揺れで眠くなってきた~

 眠気に抗えない

 着いたら起こしてくれるよね?

 おやすみなさい~




 ✻✻✻✻✻✻

 近くで人の気配がして目を開けると、2人の人物がすぐ近くで私を覗き込んでいた!?

『あぶぅ!?』

「起こしてしまったか?」

「もぅ~、貴方が近くで騒ぐからですよ。眠ったまま儀式を行えたら、この子に負担がなかったですのに」

「そんな怒るなくてもいいだろ?お前だって近くで顔を覗き込んでいただろ」

 誰?

 おじさんの方は顔が近すぎる!!

 思わず近くにある顔を両手で押す

「メアリ見たか!!ぷにぷにの手が私の顔を押したぞ!!可愛いな~」

「もう~、この子は嫌がってるんですよ。孫に嫌われても知りませんよ」

「嫌われるのは嫌だな。でもこの子は格別に可愛い。他の孫達も可愛いがこの子はお前に一番似ている」

 孫?

 じゃあこの人達は私のお祖母ちゃんとお祖父ちゃん?

 お母さんの親はこの世界に居ないから、この人達はお父さんの親ってことだよね?

 ……………王様と王妃様?

『ばぶぅ~~!?』

 王様の顔を押しちゃった!?

 不敬!?

 打首にされる?

 孫だからセーフ?

「あらあら~、急にどうしたのかしら?元気が良い子ね~」

 お、怒ってない?

「お義父様とお義母様お久しぶりです~、なかなか会えなくて私は寂しかったです。もっとお2人とお会いしていです」

「久しぶりね。私も陛下も公務で忙しくて、貴女達が住んでる宮殿まで行く時間が無いのごめんなさいね。だけど今は私よりこの子を優先してもらえるかしら?」

「そうだな。いきなり大勢の大人に囲まれて不安なんだろ。母親なら娘を第1に考えなさい」

「………はい」

 お母さんはミリーから私を取り上げる。

 乱暴に移動させられたのと、お母さんは子供を抱き慣れてないみたいで、今にも落ちそうで不安になる。

 もっとちゃんと持ってよ!!

 その持ち方は痛いから!!

『あぶぅ~~~~、いにゃ~~~』

「まぁ!?そこのメイド!!今すぐ代わりに抱きなさい」

「はい!!」

 慌ててミリーが私を抱き直す。

 ふぅ~、やっぱりミリーが1番

 私のお母さんって他にも子供が居るんだよね?

 全員を他人任せで育ててきたの?

 お祖母ちゃんは怖い顔でお母さんを見る。

「貴女は子供のお世話を全くしてませんの?赤ちゃんの抱っこの仕方がなってませんわ。それに孫は貴女に懐いていませんみたいですけど?」

「ジェイミーがお世話は乳母に任せれば良いって、私は聖女として仕事もありますし」

「今は繁忙期ではないのですから、子供のお世話ぐらい出来ますわよね?私が子供を産んだ時はまだ王太子妃でしたけど、それなりに仕事があって忙しい中でも、ちょっとでも時間が出来たらお世話をしてましたわよ」

「それはお義母様が凄いだけです。仕事と子育てを両立するのは私には出来ません」

「長男の嫁も王太子妃として忙しいのに、子育てに積極的に参加してますわ。今の時期は聖女のお仕事よりも、王太子妃の方が忙しいですわよ」

 論破された~

 確かにどんなに忙しくても、様子を見に来るぐらい出来るよね。

 この人達は全く会いに来ないけど
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