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第一章
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しおりを挟むお祖母ちゃんとお祖父ちゃんはちゃんとした人だったんだ。
子供に全く会いに来ないお父さんの親だから、その親もちょっと問題がある人なのかと思った。
それか王族は子育てに全く手を出さないのが、この国での常識かと思ってたんだよね。
お祖母ちゃんの話を聞いてる感じだと、お祖母ちゃんや伯父さんのお嫁さんは、子育てに参加してるんだよね。
「母上そのぐらいにしてあげてくれ、レイラはや弱いから両立なんて無理だ。それに赤子には乳母が居るんだから問題ないだろ?赤子の世話をさせるために乳母が居るんだから、仕事を奪うのは上に立つ者としてイケないだろ」
「あのね~、乳母は保険なのよ!!忙しくて側に居られない時の為に用意してますのよ。王族だって貴族だって、基本的には夫婦で子育てをするものなのよ」
赤ちゃんから目を離すのはイケないから、普段から忙しい人が乳母を雇うのは仕方ないよね。
乳母が居るからって育児放棄するのは絶対に駄目!!
私が前世の記憶を持ったまま転生したから精神年齢高いおかげで、この2人が親だって周りの会話で理解してるけど、普通に考えたら私からしたら見知らぬ2人なんだよね?
普通に考えたら、ミリーを母親って勘違いしてもおかしくないよね?
もうそれで良いんじゃないかな?
このまま2人が私を放置するなら、本気で2人を拒否しても良いんじゃない?
見知らぬ他人ってことで良いんじゃない?
今の私は赤ちゃんだし、周りの空気を読む必要ないよね。
うん!!
そうしよう。
これから私のママはミリーが良い。
ミリーの本当の子供には悪いけど、ミリーの子供は私の兄弟で良いよね。
「ジェイミー~、お義母様~、私のために喧嘩しないで~、私が1人で完璧にやれないのがイケないんです。これからはもっと頑張るので喧嘩は止めてください~」
イラッ!!
こういう女は嫌い。
私の為に喧嘩しないでって本当に言う人が居るんだ。
今絶対に鳥肌立ってる気がする。
お祖母ちゃんとお祖父ちゃんもドン引きしてるからね。
お父さんは顔を赤くしてお母さんを抱きしめてるけど、ベタ惚れなんだね。
私のお母さんがあんな人なんて受け入れたくない。
うん…………、私の記憶からあの人がお母さんってことを抹殺しよう。
今ならあの人の自業自得ってことで許されるはず。
「お待たせしました。陛下?王妃様?どうしたのですか?」
声のした方を見ると2人の男性と1人の女性が立っていた。
3人とも美男美女だから目の保養になる。
「今は家族だけなのだから畏まらなくて良い。息子に陛下なんて呼ばれるのは寂しいからな。」
息子?
じゃあ、この人が私の伯父さんなんだ。
王太子様なんだよね?
偉い人が勢揃いしてる。
「父上は相変わらずですね。僕が父上を陛下って呼ぶのは10年以上経つんですから、そろそろ慣れてくださいよ」
「寂しいものは寂しいんだよ。普段から周りに距離を作られて寂しいんだから、家族にぐらいは気軽に接してほしいだろ」
お祖父ちゃんが可愛い。
寂しがりやなのかな?
お祖父ちゃんって王様なんだよね?
大丈夫なのかな?
「父上がそう望むなら仕方ないですけど、僕は仕事の時とそうじゃない時の差が激しくて、たまに混乱するんですよ」
「仕事の時は仕方ないだろ?息子だからって甘くしたら、結果的に困るのはお前と国民だからな」
「分かってますよ」
公私混同はしてないって事か。
王様として当たり前か………
公私混同するような人では、王様には向いてないよね。
そんな人をトップにはしたくない。
お祖父ちゃんとの会話に満足したのか、伯父さんは私の方に視線を向ける。
私を見た伯父さんは優しい顔をする。
「この子が僕の姪だね。まだ生まれて7か月なのに大人しいですね」
「そうですわね。シャロンとアランがこのぐらいの年齢の時は大変でしたからね。知らない人が居るだけで大泣きしてましたから」
イケメンと美女にそんなに見つめられたら照れる。
ずっと黙って私を見てる男性が私の顔を覗き込み、私の頬を突っついてくる。
「ジェイミーの子供にしては賢そうですね。このぐらいの年齢の子供はすぐに泣くから苦手でしたけど、この子なら可愛がれそうです」
『ばぁぶぅ~~、あぁ~』
もう!!
そんなに突っつかないでよ。
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