聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ

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第一章

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 知らない男性に馴れ馴れしく触られるのが嫌で、必死に男性の手を叩く。

「可愛いですね。私の子供になりますか?」

「クリス兄馬鹿を言わないでくれ、これは俺とレイラの娘だ。それにクリス兄は結婚してないだろ。独身で宰相として忙しいクリス兄には子育ては無理だろ」

 この人もお父さんの兄なの?

 確か…………、お父さんには兄が2人居るんだっけ?

 この人がもう1人の伯父さんだ。

「確かに私は結婚するつもりはありません。だけど結婚しなくても、養子を引き取るのに問題はないはずですよ?姪の面倒を見てくれてるメイドも一緒に引き取ったら、私が忙しい時も問題ありませんよ」

 確かに問題ないね。

 私を育ててるのはミリーだから、親が誰に変わろうと関係ないかも。

 私に酷いことをしないなら、私のお父さんがこの人に変わっても、私の環境はそんなに変わらないよね。

「横暴だ!!このメイドを雇ってるのは俺だ。それにこれはレイラが産んだ子供なのだから、俺達に所有権がある。それに独身の者が子供を引き取ってるのは、子供の親が亡くなって、引き取り手がそのもの以外いない場合だろ」

 私を物扱いしないで欲しい。

 私はお前の所有物じゃないから!!

 私に一切愛着が無いくせに、何でそこまで拒否するのかな?

「独身の者が子供を引き取る理由に、他の引き取り手が居ないからって理由が多いから、そう思ってるものが多いですけど、別に独身の者が引き取っても何も問題ありませんよ。収入があり、子供を引き取っても問題ない家庭環境なら受け入れられます」

「例えそうだとしても!!この子供の親は俺達だ。親が拒否してるのに、無理やり子供を引き取ることは出来ないはずだ」

 この世界でもそうなんだ。

 自分でまともに育ててない親からなら、強制的に引き離す事が出来れば良いのに、私にはミリーが居るから生きていけるけど、私みたいな子供ばかりじゃないよね。

 ミリーは自分にも子供が居るから私を大事にしてくれるけど、雇い主の親が大事にしてない子供なら、適当にお世話する使用人だって絶対に居るよね?

 あっ………、でもそうしたらミリーも子供を奪われるかもしれないのか。

 ミリーは月に1度しか子供に会いに行けてない。

 私のお世話をしてくれるメイドがミリーとカヤだけで、私はカヤを拒否してるから、必然的にミリーしか私のお世話を出来ない。

 まだ目が離せない時期だから、ミリーは月に1回だけ半日しかお休みが取れない。

 私がカヤを受け入れられたら良いのだろうけど、カヤは信用できないんだよね。

 私が一方的にカヤを嫌いなだけなら我慢すれば良いけど、カヤも私のことを嫌ってるから信用なんて絶対に出来ない。

 カヤからしたら、好きな人を奪った女の子供だから嫌いなんだろうけど、逆恨みされても困るんだよね。

 ミリーが半日休む時は、メイド長が私のお世話をしてくれる。

 私が住んでる離宮では、他にも沢山メイドが居るけど、メイド長はミリー以外には私を任せないんだよね?

 ボーッとしながら色々と考えながらお父さん達を見ると、今も睨み合っている。

 お父さんも怖いけど、お父さんのお兄さんも怖いよね。

 あの目で睨まれたら背筋がゾワッとする。

 あの冷たい印象の顔に眼鏡をかけてると、何故か腹黒に見えるのは何でだろう?

「子供を取り上げられるのが嫌なら、もっと子供に会いに行ってあげなさい。私のところにお前たちが1度も会いに行ってないと報告があがってきてますよ。今は何もわからないでしょうけど、もっと大きくなったら、この子が悲しむことになりますよ」

 伯父さんはそう言って私の頭を優しく撫でる。

 今も理解してるよ?

 私はこの両親に懐くことはないと思う。

 今さら優しくされたって、ずっと放置されていた時の恨みは消えないからね。

「何で俺達が子供に合わせなければいけない。俺達が会いに来なくても、子供が大きくなったら自分から会いに来るだろ」

 絶対に行かないから!!

 私のママはミリーだけだもん!!

 お前達なんて親失格だからな。

「その態度を改めないなら子供を取り上げるだけです。今のお前達なら子供を取り上げる理由なんていくらでも作れますからね。この子だってお前たちに育てられるより、私に育てられたほうが嬉しいでしょう」

 うん。

 私もその方が良い。

 私は私の頭を撫でてる伯父さんの指を握り、伯父さんが好きってアピールをする。

『キャキャッ~、あ~う~』

 どうだ!!

 伝わったか?
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