聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ

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第一章

16

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 どんな事をしてしまったら加護が無くなるの?

 不安は少しでも解消しておきたい。

「加護が無くなる場合もあるの?」

「滅多にないよ。神はそこまで人間の暮らしに興味はないからね。人間にとっての犯罪を犯していても、神にとっては大したことがないって事が多いからね。例外は命を弄んだ場合かな?」

「命を弄ぶ?」

「身勝手な理由で生贄にしたりかな?呪いをかけるために生き物の命を生贄に使うのは、人間たちも禁忌にしてるけど、僕達神からしても禁忌だよ。それ以外なら大抵のことは気にしないかな?」

「そうなの?神様って寛大なんだね」

「違うわよ。人間たちが作ってるルールは人間にとってのルールなのよ。人間にとっては罪だろうと、私達にとっては普通のことなのよ」

 成る程………、

 国が違ければルールが違うって言うのと同じか。

 日本では銃などは持ってるだけで犯罪だったけど、外国とかでは問題ない国もあるもんね。

「どんな事をすれば加護を剥奪されるの?加護を持つ資格がなくなった人も居るって言ってたよね?」

「それは前提が違うのよ。加護を持つ資格がなくなったって言うのは、神以外がその者に名前を与えてしまったってことなの」

 そう言えばそんな話だったね。

 今日の儀式も神様から名前を貰うためのものだっけ?

「何で神様以外の人が名前を与えたら駄目なの?もしも名前を与えられたら、その人は一生神様の加護を貰えないの?」

「残念ながら無理なんだよ。僕達が名前を与えることで、神の加護を受け入れられる体に完成するんだ。人間が名前を与えてしまうと、不完全な体に完成してしまうから、神の加護に耐えられない体になってしまう。名前はそれだけ大切なことなんだよ」

 ………それってわざと妨害されることもあり得るってことだよね?

 王族なんて一夫多妻だから、正妻や側室の足の引っ張りあいで、生まれてきた子供に名前を付けられる可能性があるよね?

 加護を受け入れられる資格がなくなったってそういう事?

 伯父さんに側室が居るのか知らないけど、伯父さんの子供が愛し子だったかもしれないってこと?

 側室が居なくても妨害されることもあり得るかも

 伯父さんに片想いしてる女性とかもあり得るし、権力争いのために、伯父さんの子供が愛し子だと困るとかもあるよね。

 王族ってやっぱり面倒臭いな~

「救済処置とかないの?子供が可哀想だよ。大人の勝手で加護を受け取る邪魔をされて、未来を潰されるなんて理不尽だよね?王族なんてドロドロした世界なんだから、邪魔される可能性なんて沢山あるでしょ?」

 私だってその可能性があったんだよね。

 あのお母さんが何もして来なかったのが奇跡だよね?

 自分の娘だったとしても、自分よりも特別な存在になるの嫌そうだったし、さっきも私が嫌がってるのを利用して、儀式をしないで終わらせようとしてたもんね。

 かなり嫌がってた私も自業自得かもしれないけど、親として普通は途中で止めないよね?

 子供の可能性を潰してしまうかもしれないんだから、可哀想でもやらせるのが普通じゃないのかな?

「救済処置がないわけではないね。僕たち神の加護はもう無理だけど、その代わりに精霊の加護や天使の加護を与えることもある。その2種類の加護は王族の血とか、聖属性とかの条件はないから、気に入られたら誰でも受け取れる」

「その代わりに加護の力は弱いのよね。天使や精霊は神が作った存在だから当たり前なんだけど、お気に入りが出来ても加護を与えられないのは、私達からしても辛いのよね」

 この様子だと過去に与えられなかった人が居るのかな?

「王族の中で権力争いが起きると、加護が受け取れない者が増えたりするの?」

「確かに儀式を行えないものが増えるね。だけどそれだけじゃないんだよ。王族は王になるもの以外は貴族の婿や嫁になるだろ?」

「それが普通だろうね?中には他国の王族に嫁ぐ人も居るだろうけど?」

「王家から離れた途端に子供に儀式をさせない者が現れるんだよ。色々と理由が有るんだろうけど、儀式をしてないせいで加護を与えられないってことが増えてしまうんだよね」

 そっか……、王族の血が少しでも流れてれば良いのだから、そう言うこともあり得るのか。

 だけど受けさせない親の気持ちも分かる。

 受けさせるとしても王女や王子の子供までだと思うんだよね。

 王族の血が混ざったのが何世代も前とかだと、本人は子爵や男爵や庶民とかになってる可能性もある。

 それなのにもしも愛し子なんかになったら、権力争いに巻き込まれるかもしれないし、取り上げられたり利用されたりする可能性だってある。

 庶民や下級貴族だと子供を守ることも難しくなる。

 そう考えると、愛し子になるのはデメリットと多いよね。

「王族はこのことに気が付いてるの?」

「気が付いてると思うよ。でも強制したりはしてないね。人数が多いから出来ないってのが正解かな?」

「あれ?でも親が聖属性がないと駄目なんだよね?なら人数は絞られるんじゃないの?」

「愛し子が誕生するのに、聖属性が必要だって予想はしてると思うけど、確証は無いんじゃないかな?聖属性と王族の血が混ざれば絶対に誕生するわけじゃないからね。僕達も教えてはいないからね」

 確かに100%じゃなかったら、断定するのは難しいかも。

「それに確証があっても内緒にするんじゃないかな?」

「何で?愛し子が沢山いたほうが国としても良いんじゃないの?」

「全国民の安全の為だろうね。これが知られたら、聖属性の親から生まれる子供も危険だけど、聖属性持ちの人物も危険だろ?誘拐されて子供を作る道具にされる可能性だってある」

 うわぁ~、それは絶対に嫌!!

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