121 / 143
第五章
10
しおりを挟む次の日にはお兄様はフェンネル伯爵に交渉してくれたみたいで、2日後には私のもとに古代語の辞書が届いた。
フェンネル伯爵は几帳面みたいで、辞書は分かりやすくまとめられていて、私でも調べやすくなっていた。
これならすぐに目的のものが見つかるかもしれない。
本のタイトルを見れば、何となく内容は予想できるから、種類分けするところから始めないといけないわね。
禁書は沢山あるから大変だけど、やっと本格的に調査が進みそうで安心した。
都合が良いことに今日から3日間は学園が休みになるから、朝から夕方まで探すことが出来る。
魔導具の魔力残量を確認しながら、慎重に調べないといけないよね。
私が禁書を調べるようになってから、この場所は立ち入り禁止にしてくれてるから周りを心配する必要もない。
本棚から全て本を取り出し、必要なものと必要じゃないものに振り分ける。
振り分けたものは箱に詰めていく。
本棚に戻さないのは、間違いがないようにするためと、もしかしたら本棚に隠しとかが無いか確認するため。
辞書を片手にタイトルを確認していく。
えっと…………、これは『双子の禁忌』大昔から双子は禁忌だったのね。
取り敢えずこれは違うわね。
次は『男の嗜み』これも違う。
『お酒の歴史』、『イケてる男のお洒落』、『淑女の10のルール』、『浮気男を懲らしめる方法』
…………これは禁書なのかしら?
古代語だから禁書にされてるだけ?
他には『魔族の特性』魔族?
これは関係あんのかな?
魔族なんて居るんだ。
取り敢えずこれは後で調べる方に入れよう。
『王族の黒歴史』内容が分からないから調べる方に入れて、『魔導具辞典』これもこっち
………………黙々と作業をしていると、やっと念願の物が見つかった。
『魅了魔法についての考察』、『魔法についての考察』
「これだ!!すぐに読みたいけど、全て振り分けてからだよね。1つの本だけで決めつけるのは危ないはず、今の私にはどれが正解でどれが間違ってるのか分からないから、沢山の本を参考にする必要がある」
目的のものが見つかって安心した。
もしも全く見当違いだったら、時間の無駄になるところだった。
「イリーナ、やっぱりまだ居たんだな。もう暗くなってるから帰るぞ」
黙々と作業を続けてると、お父様に声をかけられて手が止まる
「もうそんな時間だったんですね。ん~~~~、体が痛いです。」
「ずっとそんな姿勢で居たら、体も痛くなって当たり前だ。それで成果は出てるのかい?」
「そうなんです!!まだちゃんと読んでないからどうなるか分かりませんけど、魅了と魔法について書いてそうなものが見つかったんです!!もしかしたら何か手掛かりがあるかもしれませんわ」
私の発言にお父様は目を丸くしてビックリしている。
「本当に見つかったんだな。軽い気持ちで聞いたんだが、何か進展がありそうだな。でもこれだけは言っておくよ。本に書いてる内容を全て信用してはいけないぞ。本に書いてるものは、時には大袈裟に書いてることや、事実を誤魔化してる事もあるからな」
「分かってますわ。他に2、3冊見つけてから読むつもりです」
「その方が良いだろうな。焦る気持ちは分かるけど、焦って物事を進めても、失敗してしまうだけだから」
お父様の忠告は耳が痛い。
小さい頃は決めつけて突っ走ることがよくあった。
そのせいで家に迷惑をかけてしまったことが何度かあるのよね。
私がまだ幼かったから、周りも大事にしないでくれたのよね。
昔みたいに後先考えずに突っ走ることは出来ない。
今日はもう遅いから、戸締まりを厳重に確認して部屋から出る。
立ち入り禁止にされてるけど、ミハイル様ならそんな事を無視して入ってきそうなのよね。
テイラー伯爵令嬢は私の行動を気にしてないみたいだけど、いつ私のやってる事がバレて、邪魔してくるか分からない
うーん、お父様にお願いして護衛を増やしたほうが良いかしら?
でもテイラー伯爵令嬢に魅了をかけられたら、危険が増してしまうだけなのよね。
無駄に人を増やすのは危険かしら?
1,806
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
私はもう必要ないらしいので、国を護る秘術を解くことにした〜気づいた頃には、もう遅いですよ?〜
AK
ファンタジー
ランドロール公爵家は、数百年前に王国を大地震の脅威から護った『要の巫女』の子孫として王国に名を残している。
そして15歳になったリシア・ランドロールも一族の慣しに従って『要の巫女』の座を受け継ぐこととなる。
さらに王太子がリシアを婚約者に選んだことで二人は婚約を結ぶことが決定した。
しかし本物の巫女としての力を持っていたのは初代のみで、それ以降はただ形式上の祈りを捧げる名ばかりの巫女ばかりであった。
それ故に時代とともにランドロール公爵家を敬う者は減っていき、遂に王太子アストラはリシアとの婚約破棄を宣言すると共にランドロール家の爵位を剥奪する事を決定してしまう。
だが彼らは知らなかった。リシアこそが初代『要の巫女』の生まれ変わりであり、これから王国で発生する大地震を予兆し鎮めていたと言う事実を。
そして「もう私は必要ないんですよね?」と、そっと術を解き、リシアは国を後にする決意をするのだった。
※小説家になろう・カクヨムにも同タイトルで投稿しています。
ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。
☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。
前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。
ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。
「この家は、もうすぐ潰れます」
家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。
手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。
婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた
夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。
そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。
婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる