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しおりを挟むワンちゃんの様子が気になり、ワンちゃんが寝かされてるソファーに近付く
「ワンちゃんの様子はどう?」
「うーん、微妙ですね。止血はしたのでこれ以上血が流れる心配は無くなりましたが、すでに大量の血を流してるので、子犬の体の大きさを考えるとギリギリかと」
応急処置してくれてたんだ
ワンちゃんの近くに行くと、さっきまで小さく鳴いていたのに今はグッタリとして動かない
「大丈夫だよね………」
ワンちゃんの体を撫でるけど気のせいかもしれないけど、体がちょっと冷たい気がする
温めてあげないと
キョロキョロと辺りを見渡す
「どうしたんだ?」
「ワンちゃんの体を温めたいけどどうしたらいいのか」
「大量のタオルで包んだらどうだ?やらないよりいいと思うけど」
タオル!!
何で思い付かなかったんだろう
いつも使用人がタオルを出してくれる棚から大量のタオルを取り出す
大量のタオルでワンちゃんを包むと
『くぅ~ん』
「医者が来るまで体力が保てばいいが………、そう言えばいつもシルビア姫のそばにいるメイドと騎士が居ないな」
「ルナとジルとトムのことですか?3人は今日は休みなんです。三人がお世話になった孤児院の院長先生が亡くなったので、最後のお別れをしに行きました」
3人にとって院長先生は親代わりだったみたいだから、ショックも大きいだろうけど大丈夫かしら?
ご高齢だから覚悟してたって言ってたけど、覚悟してても辛いものは辛いわよね
「そうなのか。今回はタイミングが悪かったな。彼女たちが居れば庭園で助けを求めるときに困ることはなかっただろうな」
「そんなことありません。ルナ達が居たとしても、庭園の中には入って来てないでしょうからそんなに変わらなかったと思います」
「そうなのか?」
「本来なら庭園の中は安全のはずなのです。庭園にはアンリお姉様やソフィーお母様もよく行くので、安全を1番確保してる場所だったんです」
なのに今回はあんな罠が仕掛けられてるなんて、本来ならありえないことなのよね
あの庭園に王族がよく出入りしてるの有名な話だから、あそこに危険な罠を仕掛けるような愚か者は居ないはずなんだけど
「ならシルビア姫は今後警戒する必要があるな。あの罠が誰を狙ったのか分からないが、王族を狙った可能性が高い。シルビア姫は今日の予定にあそこに行くことは前から決まってたのか?」
「いえ………、突発的に行くことを決めました」
あそこに1番行くのはソファーお母様だから、もしも王族が狙われたのなら第一候補はソファーお母様よね
ソファーお母様に今回のことをちゃんと言わないといけないよね
「入るわよ」
「ソフィーーお母様!?」
ソフィーお母様が慌てた様子で部屋に入ってくる、ソフィーお母様の後ろにはジャンヌもいた
「ジャンヌから話を聞いて、シルビアが心配で来たのよ。それと詳しい話を二人から聞きたかったから」
ソフィーお母様はそう言ってから私の隣に座り、私の手をギュッと握ってきた
ソフィーお母様と手の温もりを感じながら、ずっと気付かないふりをしていた不安が今さら押し寄せてくる
目の前にいる生き物の命が亡くなりそうな恐怖と、自分が狙われたかもしれない恐怖、家族が死んでいたかもしれない恐怖をずっと誤魔化してきた
王族が人前で簡単には泣いてはいけないのに、ソフィーお母様の顔を見たら張り詰めてた気持ちが緩んでしまった
「シルビア大丈夫よ。優秀な獣医を呼んでるからこの子もきっと助かるわ。エリックとウィリアムとアンリとジャンヌとシルビアの守りを厳重にするから、貴方達が危険な目に遭うこともないわ」
「うん……、ソフィーお母様とクリスお父様も気を付けてね。クズッ………、ソフィーお母様が狙われてた可能性が高いんだから……、ヒクッ……」
「私のことを心配してくれたの?シルビアはいい子ね」
ソフィーお母様は私を抱きしめてくれた
ソフィーお母様の温もりに安心した私はそのまま寝てしまった
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