そんなに私の婚約者が欲しいならあげるわ。その代わり貴女の婚約者を貰うから

みちこ

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 私がミカエル•エルガーの婚約者になることを、レオンだけではなくおじ様とおば様も心配そうな顔をする。

「メアリーちゃんがしようとしてることは、とても危険なことだとわかってる?私はメアリーちゃんに危険なことをして欲しくないわ」

「私も妻と同じ意見だ。何かあって1番傷付くのはメアリーちゃんだぞ?もしも何かあっても息子が君を捨てたりしないと信頼してる。だけど支えてくれる人が居るからと言って、メアリーちゃんが耐えられるかはわからない。心が壊れてしまう可能性だってある」

 確かにおじ様の言う通りかもしれない。

 何があっても絶対に耐えられるかって聞かれたら、絶対に大丈夫だとは言えない。

 レオンへの罪悪感で潰れてしまう可能性もある。

 それに何があってもレオンは私から離れないと、傲慢な考えをしてる自覚はある。

 そう考える私はとても狡いのかもしれない。

「私がしようとしてることは、レオンを裏切る行為だと自覚してます。でもここで行動しなかったら、いつまでも家族に縛られ続けると思うんです。あの人達と縁を切りたい」

「なら絶対に約束してくれ、絶対に俺のもとに帰ってくると。俺から逃げないでくれ。何があっても俺はメアリーを受け止める覚悟があるから」

 レオンはこんなに自分勝手な私を許してくれるんだ。

 私が逆の立場だったら同じことが言えるかな?

「約束する。絶対にレオンから逃げないわ」

「はぁ~、本人達がそれで良いって言ってるなら、これ以上は何も言えないな。それでメアリーちゃんは私達に何をして欲しいのかな?息子と娘のためなら何でもするよ」

 おじ様は初めて会ったときから、私のことを娘扱いをしてくれるわよね。

 私がそのことをどれだけ救われてるか知ってるかしら?

 親から愛情をもらえなかった私は、おじ様とおば様から愛情をたっぷり与えられてきた。

 レオン達家族が居たから、私は今日まで耐えられてきた。

「おじ様には我が家に私宛に縁談の申込みをして欲しいんです。シルフォード家の娘ではなく、私個人を指名で申し込んで欲しいのですが出来ますか?」

「メアリーちゃんには嫁に来てほしいから喜んで申し込みをするけど、さっきまで申し込んでも意味がないって言っていたよね?どうするつもりなんだい?一か八かで試してみるつもりなのかい?」

「試すまでもなく結果は分かり切っています。私は跡取りだから無理だと言われるはずです。その代わりにエミリーを推薦してくるはずです」

 確実に私の予想通りになる自信がある。

 何で私が婚約者の候補に選ばれたか理解せずに、同じ家の娘って理由だけでエミリーを推薦するはず。

 本来なら侯爵家が子爵家に婚約の申し込みをするはずがない。

 しかも相手は没落してしまいそうなぐらい貧乏なら余計によね。

 だけどそれが気にならないぐらい、私自身に価値を見出したってことになるのに、あの親にはそれが理解出来ないはず。

 いや………、理解したくないの間違いかな?

 あの人達はエミリーが落ちこぼれだと認めたくないのよ。

 本心ではエミリーが劣ってることを理解してるけど、自分達が可愛がってるエミリーが、周りに落ちこぼれだと思われることが許せない。

 自分達だってエミリーのことを可愛がってるけど、決して家を継がせるつもりはないのだから、落ちこぼれだと認めてるのに矛盾してるわよね。

「そこまで理解してるのに、何で婚約を申し込むのかしら?逆らえないように圧力をかけるの?私達はそれでも良いけど、それはメアリーちゃんがずっと嫌がってたわよね?」

 おば様が疑問に思うのは当たり前よね。

 おば様は今まで何度も私の家に、婚約を申し込むって提案してくれていた。

 私のためなら我が家に圧力をかけてもいいと言ってくれたのよね。

 だけどそれだけは嫌だった。

 貴族なら身分が上の者が下の者に圧力をかける姿はよく見る、だけど周りがそれを不愉快に感じないわけではない。

 周りから敬遠されたり、評判が悪くなってしまう。

 私のせいで好きな人達が悪く言われるのは耐えられない。

「圧力をかけたりしなくていいの。おじ様達には私を婚約者として欲しいって、私の親に言うだけでいいの」

「それでは拒否されて終わりだろ?何の意味があるんだい?」

「エミリーをオススメされると思うから、優秀な嫁が欲しいって言ってくれれば良いんです。エミリーは学園で最下位に近い成績だから、嫁には望まないと言ってくれれば、エミリーは私への敵対心が増えるはずです。だから私の婚約者を奪おうとするはずです」

 あの子はわかりやすいですからね。

 あの子がやりそうなことは、手に取るようにわかってしまう。

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