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しおりを挟む家に着くと玄関にエミリーが待っていた。
何時もなら暗くなるギリギリまで帰って来ないのに珍しいわね。
「今日は早いのね」
「当たり前でしょ?今日はこれからミカエル様達が来るんだから、準備万端でお出迎えしないと」
「確かにエルガー家の人達が来るけど、エミリーには関係ない話でしょ?正式に婚約を結んだら紹介するけど、今回はお互いの希望を擦り合わさる打ち合わせなんだから」
正式に婚約を結ぶ前の打ち合わせは、本人達は不在で親だけで打ち合わせをすることもある。
家族全員が揃ってる必要はないのよね。
お互いの利益をすり合わせたりするのに、当人達は必要ないことが多い、政略結婚は家のための契約みたいなものだから、当主が色々と勝手に決めてしまうことが多い。
「そうやって私を仲間外れにするの?メアリーは私に冷たすぎる!!」
「冷たくないでしょ。当たり前のことを言ってるだけじゃない。何でもかんでも自分の思い通りになると思わないでちょうだい」
まだ文句を言ってるエミリーを無視して、自分の部屋に向かうことにする。
相手するだけで疲れるのよね。
何で家族相手なのにこんなに会話が成り立たないのかしら?
別の生き物と話してる気分になるわ。
部屋に着くと、荷物を置いて制服のままベッドに倒れ込む。
夕方にはエルガー家の人達が来るのよね?
時間が止まればいいのに~~~
会いたくない。
エルガー家の次男とは1度も会ったこと無いけど、評判だけなら嫌なほど聞こえてくる。
社交デビューした令嬢が近付いてはいけない男性として、1番に名前が挙げられるような人物。
年頃の娘を持つ親が警戒してる男性の1人なのよね。
お金のためとはいえ、あんな男を婚約者にしようとするなんてありえない。
枕に顔を埋めて唸っていると
「メアリーお嬢様、旦那様がお呼びです。それとレディーとして端のうございます」
メイド長が能面のような顔をして、ベットの横に立っていた。
「………ごめんなさい」
誰も居ないと思って油断していたわ。
メイド長はこの家で信頼出来る数少ない人物なのよね。
他の使用人達は、お父様達が私よりもエミリーを優先するから、それを真似して私を蔑ろにすることがある。
でもメイド長は私とエミリーを同じように扱ってくれる。
メイド長以外にも同じような人は居るけど、この家で長く勤めれば勤めるほど他の人達に感化されてしまい、私への態度が雑になることが多い。
だけど私が生まれる前からこの屋敷で働いてるメイド長は、私が小さい頃から変わらない態度だから、信頼出来る人物の1人になっている。
私を特別扱いもしないですけどね。
「お父様は何で私を呼んでいるの?エルガー家の人達が来るのはまだよね?」
「内容は分かりませんが、速達で届いた手紙を呼んで慌てていたので、その手紙が何か関係してると思われます」
手紙?
もしかしておじ様の手紙かしら?
でもエルガー家がこんなに早く行動してくると思ってなかったから、手紙を送るのはもうちょっと後の予定だったのよね。
メイド長についていくと、お父様専用の書斎の前で止まった。
「メアリーお嬢様をお連れしました」
「入りさない」
メイド長がドアを開けてくれて、私は無言で部屋に入る。
部屋の中には何故かエミリーも居た。
何故エミリーが居るのかしら?
「何か御用ですか?」
「お前に婚約の申し込みが来てる」
やっぱりおじ様が手紙を出してくれたのね!!
相手を知らないフリをしないと
「婚約の申し込みですか?エルガーのことなら聞いてますけど?」
「エルガー家のことではない。マクミラン侯爵家がお前と跡取りを婚約させたいと言ってきている」
「マクミラン侯爵ですか?」
既にこの話を聞いていたのか、エミリーの顔は仏頂面になっている。
自分ではなく、私に縁談話が来て面白くないみたいね。
「侯爵家から我が家に婚約の申し込みが来るなど奇跡だ。何か心覚えはないのか?」
「特にはありません。生徒会でちょっと関わりが有るぐらいですかね?どうするつもりですか?エルガー家の婚約を断って、マクミラン侯爵家との縁談を進めるのですか?我が家としてもそのほうが良いのでわ?」
普通ならエルガー家の話を断って、マクミラン侯爵家の方を優先するわよね。
「それは無理だ。あちらはお前を嫁に望んでいる。お前はこの家の跡取りだ」
「ではお断りするのですか?」
ちょっと期待をしていたんだけど、やっぱり私をこの家から出すつもりはないみたいね。
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