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しおりを挟む意見を変えるつもりのない私にお父様は渋い顔をして、その隣でお母様はオロオロしてるだけだった。
「落ち着いてください。息子には後で言い聞かせるので心配しないでください。ミカエルには今後は婚約者を1番に大事にするように話すので、今後は大丈夫ですから」
「エルガー様がそう言うなら」
「お見苦しい姿をお見せして申し訳ありません」
エルガー伯爵としても、息子が庶民になるのは困るわよね。
世間体もあるでしょうし、庶民が稼げる金額は貴族として生きてきた私たちからしたら物足りない。
我が家と違ってお金がある伯爵家で育ったミカエル様が、貧乏暮らしに耐えられるわけがない。
それにミカエル様とエミリーでは、自分たちで稼げるわけないから、ずっと実家に金銭援助をしそうよね。
エルガー伯爵夫婦が子供に甘いなら、自分達が当主のうちは援助出来るかもしらないけど、長男に家督を譲ったらどうなるかわからないわよね。
もしもエミリー達を追い出して、私がこの家を継ぐことになったら、絶対にエミリー達に援助することはない。
あの子達が必死に働いても最低限の暮らしが出来ないなら、多少は援助する可能性もあるかもしれないけど、今みたいに贅沢な暮らしをするためとか、仕事をしたくないからって理由で援助を頼んできたら絶対に拒否をする。
「メアリーさんは真面目でちゃんとした方で安心したわ。貴女が相手なら息子を安心して婿に出せるわね。本当なら長男の嫁として来て欲しいぐらいよ」
エルガー伯爵夫人がニコニコ笑いながら話しかけてくる。
悪い人ではないんだろうけど、あんな駄目息子を私に押し付けないでほしい。
最低限の常識と気遣いを親が教育してから、外に出して欲しいって気持ちが私の本音。
あんな男の妻になったら苦労する未来しか想像できない。
私がエルガー伯爵夫人に褒められてるのに、お母様とお父様は面白くなさそうな顔をしている。
子供が褒められてるのに何で素直に喜べないの?
褒められてるのがメアリーなら喜ぶのに
「娘を甘やかさないでください。この子には厳しいぐらいが良いんですよ。跡取りとして厳しく教育をしたせいか、反抗的で困ってるんですよ」
「自分の意見を言えるのは良いことですわよ。親の言いなりでは困りますからね。私どもがいつまでも一緒に居てあげられるわけではありませんから」
何でこんなにちゃんとした親なのに、ミカエル様はあんな風に育ったのか本当に不思議だわ。
「それでは婚約について話し合いをしましょう。そちらの希望は金銭の援助でしたね」
「はい。恥ずかしい話ですが、我が家は裕福ではなくて、私も今の現状を維持するのに精一杯で、先代みたいに商売を広げることが出来ませんでした」
「リカルド殿の父上やお祖父様が凄かったのは私も知ってます。先々代の時に仕事が評価されて、男爵から子爵に上がったのは有名ですから」
そんなにお祖父様や曽祖父様が凄かったなんて知らなかった。
お父様は自分の父親やお祖父様の話をするのを嫌がっていたけど、劣等感があったってことなのね。
エルガー伯爵はお父様のお祖父様を褒めながら、鞄から紙を2枚取り出した。
「契約書を作ってきたので確認してください。2枚とも同じ内容です。2枚にお互いにサインを書いて、1枚ずつ保管する形になります」
エルガー伯爵は私とお父様に1枚ずつ渡してくる。
お父様は内容を確認しないでサインを書こうとするけど、横で私がちゃんと内容を読んでるのを見て、慌てて自分も契約の内容を確認する。
当主としてそれで大丈夫なのかしら?
あの行動をみる感じだと、普段から内容を確認しないでサインとかしてるんじゃないかしら?
我が家が財政難なのって、もしかして騙されて借金とかしてないわよね?
後で確認しよう。
この家を捨てるつもりだけど、私が勝手に連帯責任とかされたら困る。
今は契約の内容を確認する必要があるわね。
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