天才魔術師の秘書をしてます

みちこ

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 カイル様から渡された紙を一度全部読んでから、必要な部分を選ぶことから始める。

 こんなに大量にあったら必要ない部分もあるはず、一度全部読まないと判断が難しい。

 必要ないと思ってた部分が読んでるうちに必要だったとかだと、二度手間になってしまう。

 これを全部読むだけでどれぐらいの時間が必要かな?

 黙々と読み進めると、今回のカイル様の研究は新作の魔法薬の研究みたいね。

 それぞれに特化した魔法薬を作るつもりなのがわかった。

 移動の速度を高める魔法薬、魔法の威力を高める魔法薬、物理攻撃を高める魔法薬、筋力を高める魔法薬、防御力を高める魔法薬など色々とある。

 今までそんな魔法薬はなかったから、もしもこれが完成したらすごい話題になる。

 今ある魔法薬は、魔力の回復出来る物と怪我の治療が出来る魔法薬だけ、もしもこの魔法薬が完成したら、事故現場や討伐に出てる現場の人達の希望になる。 

 全て読み終わるのに3時間使ってしまった。

 魔法薬はとても良いものなのは理解出来る、だけどちょっとだけ問題があるんだよね。

「そんなに渋い顔をしてどうした?何か問題があったか?」

「これはまだ完成品ではないんですよね?」

「まだ計画書の段階だ。これを計画書としてまとめて、上に提出してやっと本格的に開始ができる。同じ時期に同じ内容を研究するものが居ないようにする為の工夫だな」

 なら今ならまだ提案の余地があるかな?

 開発したのに誰も飲んでくれないとか損でしかない。

 素晴らしいものなのにそれは勿体ない。

「カイル様は今販売されてる魔法薬を飲んだことありますか?」

「魔法薬を?………そういえば無いな。魔力量が多いから魔力の補充が必要だったことはないし、任務中に怪我をしても、いつも近くに回復出来る魔術師が居るからな」

 天才魔術師は任務でも優遇されてるってことね。

 カイル様みたいな凄い人が任務で亡くなるなんて、塔としても起きてほしくないものね。

 だからってカイル様みたいな実力者を塔に閉じ込めておくには勿体ない。

「記憶にないってことは飲んだことが無いんでしょうね。あれは一度飲んだら忘れられませんから、魔法薬は吐きそうなぐらい不味いんです。初めて飲む人は確実に吐きます」

「そんなになのか?」

「はい。命の危機がない限りは、飲もうとする人は居ません。我慢できる怪我なら街まで我慢して、教会で回復魔法をして貰うぐらいです」

「まさか魔法薬がそんなに不味いものだとは思わなかった」

 見た目だけなら綺麗で美味しそうだからね。

 詐欺ってぐらい見た目だけは良い。

「もしも可能なら味の改良もしたいです。普通の魔法薬と材料が被ってるものも多いですから、味はそんなに変わらないと思うので、このままだと飲んでもらえないと思います」

「そうだな。どんなに効果が良くても飲んでもらえなかったら意味がない。俺もこれからは飲む機会が増えるだろうし、不味いのは飲みたくないな」

 私も興味本位で1回だけ飲んだけど、2度と飲みたくない味なんだよね。

 デニス兄様とお試しで飲んだけど、あまりの不味さに2人で1日寝込んでいた。

 怪我を治す為の魔法薬なのに寝込むって凄いよね。

「酷い味なら改良が難しいだろうな。今も味が変わらずに改良されてないってことは、かなり難しいってことになる」

 確かに簡単に改良出来るなら、もう改良されてるはずだよね。

「美味しいものにして欲しいなんて贅沢は言わないので、トラウマになるような味を何とかしてくれるだけでいいです!!」

「そんなに酷かったんだな………」

 うっ………、カイル様に同情されてしまった。

 私の様子で何か察したのかもしれない。 

「そうですね………、今はこの書類をまとめますね!!」

 気不味さを誤魔化すように仕事に没頭する。
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