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第一章 『秘められた異次元(シークレットディメンション)』への扉!
第3話 オーク襲来!
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異世界の小国アルスター王国。
ここは、モンスターや亜人種が生息しつつも、人間による政府によって統治している王国だ。
モンスターや亜人種達は人間と交渉を持ちつつも、独自の生活を守りつつ、お互いの良い文化を取り入れている王国だと主張している。
偏見をしないように努力しているらしいが、実際はあまり交渉していないだけのようだ。
それでもモンスター同士の接触が少ないなら、問題も無く平和で過ごしやすい。
しかし、たびたびモンスターが攻めて来るという噂が流れるようだ。
そう、この城には噂を本気にするお姫様がいるから困ったものだ。
しかし、中には本当の情報も流れるらしい。
シルビアさんが教えてくれる情報の真意を確かめ、解決する事がオレの仕事になりつつあった。
三ヶ月間は噂話ばっかり流れていたようだったが、ようやく本当に問題が発生している事を付きとめた。
オレが楽しい異世界ライフを満喫していると、シルビアさんがモンスターを倒してください、と言い出して来た。
前は一週間に一回だったが、最近は数週間に一回の頻度になっていた。
別に、この国でモンスターが暴れ回ってもいないのになぜそう言うのだろうか、とオレは疑問に思っていた。
原因は、シルビアさんがモンスター討伐などの問題解決を依頼されているが、どの程度危険なのかを把握できていなかったからだ。
今までずっと別の異次元にいたし、情報整理できていなかったのは仕方ない。
パソコンのメールを見ながらオレにこう語る。
「ほら、ハンター募集中、私達と共にモンスターを討伐しましょうってメールが来ています。
そして、ボタンをクリックすると、モンスターの映像が出ます」
シルビアさんがボタンをクリックすると、電撃を放つドラゴンや吹雪を起こすドラゴンなどが登場した。
あまりにも強く、どうやって倒すのかも分からない強さだ。
屈強そうな兵士が、塵のように吹っ飛ばされている。
「吹雪のモンスターは倒せますけど、他のドラゴンは勝てる気がしない。
特に、この火焔を吐く奴とか、岩を飛ばして来たりする奴とか……」
シルビアさんは冷静に対抗策を考えていたが、空中を悠々と飛ぶ巨大なモンスターを見てこう言った。
「ダメ、勝てるわけがない……」
オレも真剣になって見ていたが、最後にカプコンという文字が出て納得する。
青ざめるシルビアさんにこう宣言する。
「これ、ゲームの宣伝ですよ。
本当にいるモンスターじゃありません!」
「え、こんなにリアルなのに?
ほら、村人を襲っている!」
「ゲームの画面です!」
「ええ、ほら、お婆さんの皺までリアルに……」
「最近のゲームのグラフィックも現実と思うくらい綺麗ですよね。
勘違いするのも分かりますよ!」
オレは、シルビアさんを見て、なんだこの可愛い生き物はと惚気ていた。
ゲームの宣伝映像を本気で信じて心配しているのだ。
「ええ? じゃあ、これもゲームですか?
数ヶ月前の映像ですけど……」
オレは、安心して画面を見ていたが、次に見せられた映像を見て言葉を失いかけた。
黄金のドラゴンが人々を襲っており、数十人の犠牲者が無残にも食べられていた。
これの映像は、この城近くで撮影されており、本物の様だった。
食べられる人の姿や叫び声もやけにリアルだ。
「これは、本物みたいだな……」
「そうでしょう。きっと仲間のドラゴンも近くにいますよ!
この岩を飛ばしてくる奴とか、砂漠の砂の中に潜っている奴とか……」
「それは、いないと願いたいですね……」
巧妙に作られた偽物の情報もあったが、オレとシルビアさんで情報処理をし、ようやく正しいモンスターの被害や危険度が認識できた。
黄金のドラゴンは、存在する様だが、当面被害も出していない様で安堵する。
できればお目にかかりたくないほどの凶暴さだった。
そのドラゴンとは別に、近場で暴れているモンスターがいるらしい。
まずは、城周辺の問題を解決する事にした。
「最近では、オークという亜人種達が街の人を襲い出し、怪我人も出ているそうです」
オレは覚悟していたが、聞いた幻獣がオークと聞き、危険度は低いと判断する。
もう少し手ごわい相手でも良かったのにと思うが、油断はしてはいけないと思い直し、気合を入れる。
多くの冒険者が相手を見くびり、命を落としたのだ。
オレの幼い時もそう、弱いモンスターばかりだからと、ダンジョンを深追いし過ぎた結果、雑魚に殺されるという悲劇で、ゲームオーバーした経験が遭った。
もちろん、オンラインゲームやクエストゲームでの話だ。
しかし、今回は現実の異次元世界、備えはいくらあっても足りない。
いきなり強い敵に遭遇した場合は、ほぼ間違いなく死ぬだろう。
その自信がオレにはあった!
日本人は、戦いのシミュレーションは出来ても、平和な国で育った分、勝つことへの貪欲さや、手段を選ばない態度に乏しい。
超強敵が、奇襲やエグイ戦法を使ってきた場合、対抗のしようがないのだ。
オレもどんな卑怯な手でも良い、生き残ることが優先順位なのだ。
たとえ村人を犠牲にしてでも……。
「ふっ、シルビアさん、オレは人殺しはしない主義だ。
なんでも暴力で解決するなど、野蛮人のする事、それじゃあオークとかいう畜生と同じだ。
オレは自分のペースで事件を解決するぜ。
誰の指図も受けない! 勿論、君の頼みだとしてもだ!」
亜人種とはなるべく戦いたくない。
話し合いで解決できるのならそれに越した事は無い。
種族が違っても、人であるオークを殺すのは気分が良いモノではないからな。
シルビアさんはそれを聞き、オレに涙を流して懇願する。
さすがに美女の涙には弱い、心優しいオレだ。
真剣に聞いて対応する。
「分かっています。素人の口出しほど、危険な物はありません。それは分かっています。
でも、本当に一刻も早く、オーク達を退治してもらいたいのです。これだけは分かってください」
オレは出来る限り努力してみようと思い、いろいろ対策を思い巡らす。
「分かった。オークとかいうブタ野朗達の被害を教えてくれ!
その状況により、そのブタ野朗達が生きる価値のある奴か、死ぬべき奴かを決める!
なるべく分かり易く、丁寧に教えてくれ。
一応、クソ野郎達だとしても、命を奪うかもしれない以上、情報は正確に欲しい。
もしも、オレが見て改善の余地があると判断した場合は、オークとかいうブタ野朗といえど、命を取るようなことはしない! これだけは覚えておいてくれ」
オレは、こんなカッコいい事を言っているが、内心はびくびくものだ。
命のやりとりなのだ、恐れるのは当然の事だ。
オレはそれでも冷静を装う。
シルビアさんに不安を与えるようなことはしてはいけない。
村人の士気のためにも、オレは強くなくてはいけないのだ!
支配者とは、かなりのプレッシャーがかかるなと実感する。
「はい、嘘偽りのないように、正確に情報を入手し、あなた様に教えます!」
シルビアさんはそう言い、オレに一礼をして出て行った。
本当にシルビアさんは礼儀正しい。日本の女子高生にも見習って欲しい物だと思いつつ、作戦を考える。
(ふっ、やはりうまくはいかんか。
シルビアさんと早めにこの異世界を逃げ出し、結婚する予定だったが、異次元の扉というゲートは探し出せないし、日本科学庁の連絡も来ない。
長官の代理人とかいう奴の情報もめっきり入って来ない。
こうなったら、オークとかいう奴と和解するしかないな。
亜人種っていうし、もしかしたら気が合うかもしれない。
オレはナイフくらいしか、武器を扱えないし……。
一応、一通り武器は見てみたが、ナイフくらいが扱える限界だ。
ケンカも弱いし、血も怖いしな……。
何とか和解で済めば、オレは冒険の旅に出ることもなく、シルビアさんと幸福な生活もおくれるのだが……。
ドラゴンとかいう危険な生物は、若い息子世代に倒してもらうってことにすれば良いし、オレはここでのんびり暮らして、帰れる機会があったら、シルビアさんと日本に帰るって決めたんだ。誰の邪魔もさせないぞ!)
オレはそう決意し、オークを倒す算段を付ける。
文字だけは、だいぶ読めるようになっているし、幻獣の資料もバッチリ揃っている。
対策を考えなくても、余裕で勝てる相手だが油断はしない。
「オーク、闇に属する種族のために太陽の光を嫌い、怒鳴るように話す。
圧倒的な数を総動員した力押しの戦闘を好む。なるほど、だから夜にしか行動しないのか。
これなら、村人を使って殲滅できるな!
要は、オレが戦わなきゃいいんだから……。
しかし、ボスとの一騎打ちは当然あるだろう。
日本人の最先端技術を舐めるなよ!」
こうして、シルビアさんの持って来た資料の下、オークの行動範囲を調べ、行動を先読みして奇襲することにした。
オーク達は単純で行動が読みやすいので、すぐに次に襲う場所が特定できる。
以前はお金が目的だったようだが、次は食糧だろうと、当りを付ける。
収穫の時期で、食糧は豊富にある倉庫を狙うはずだ。
シルビアさんの協力で、村人も集まり、作戦の準備も整う。
だいたい二十人ほどが、農業用具で武装する。
オレもナイフなど、いろいろな武器を準備しておいた。
オレとオーク達の戦闘が開始される。
オレとシルビアさん、そして村人で話合い、オーク達が山から街の食糧庫に侵入して来ることが予測された。
オーク達は過去のデータから単純に行動して来ることが分かったため、十人ほどで奇襲し、後の十人で挟み撃ちにする。
オレと村人は奇襲ポイントで、オーク達が来るのをひたすら待つ。
すると、オーク達の話声が聞こえて来た。
オークの行動は、オレの計画通りの道を来たようだ。
この時点で、勝利が確定しており余裕が出て来る。
オレも言語がだいぶ分かるようになったものだと、自分ながらに感心しながらオークの話を聞く。
「ひっひっひ、この前襲った村は、あんまり綺麗な娘がいなかったからな。
今度の村は、十五歳以上の子がいると良いな。
その子と結婚して、マシな顔をした子供を作りたいだ。
オイラ達は醜いから、普通の方法じゃ結婚できねえし、可愛い嫁ももらえねえ。
嫁にはちょっと可哀想だが、無理矢理結婚するしかないべ」
「んだ、んだ、オイラ達の種族じゃ、そうしないと生き残れないべ。
これは弱肉強食の掟だべ!」
「弱肉強食か、良い響きだべ。こんな醜いオイラ達にも、希望を与えてくれるだ。
か弱い女の子でも、オイラ達の生活を守るためだと、言い聞かせる事ができるべ!」
「まあ、若い娘がいない場合は、食糧や綺麗な物を奪うしかないけどな。
お金持ちと知れば、顔はいまいちでも結婚してくれる子はいるからな。
こんな世界なんだ、仕方ないべ」
「んだ、んだ。顔が醜く、お金がないからってさげすまれているオイラ達には、こうする以外に生き残る道がないだ!」
どうやら相当のクソ野郎どもの様だ。
しかし、情状酌量の余地はある。
オレは、彼らの言葉を聞きながら、涙が出ていた。
異世界とはいえ、心が通じ合う奴らはいるものだ。
しかし、道徳的に、奴らの取っている方法は気に入らない。
オレは決死の覚悟で、奴らを止めようと決心する。
村人はオレが指示した通り、オーク達が出て来てから、強い光を彼らに浴びせかける。
オレ達は光で眼をくらまさない様に、サングラスをかける。
このサングラスは、オレが指示して作らせた物だ。
たいまつと凸レンズを組み合わせた光の集中攻撃により、オーク達は目をくらまし、あっけなく捕らえられた。
村人達もオークの話を聞いていたようで、同情により縄で縛る程度に留められた。
オーク達が全て捕らえられ、村人達が安堵したのも束の間、森の奥からものすごい雄叫びが聞こえて来た。
さっきのオーク達の比ではないほどの力強い、野蛮な雄叫びが、森中に木霊していた。
オレは、思わず笑みを浮かべる。
漫画的アオリ
実は、ほのぼの系のモンスター。
唯一の和みキャラか?
オーク達
年齢 18~40歳 男 オーク
職業: 盗賊
称号: ブタ野朗
HP(体力): 80
MP(魔力): 0
攻撃力: 40 (武器により高くなる)
防御力: 50 (精神的強さ20)
スピード: 30
知力: 50 (光を浴びると10になる)
得意技: 人攫い こん棒で叩く 子供には強きで対応
ここは、モンスターや亜人種が生息しつつも、人間による政府によって統治している王国だ。
モンスターや亜人種達は人間と交渉を持ちつつも、独自の生活を守りつつ、お互いの良い文化を取り入れている王国だと主張している。
偏見をしないように努力しているらしいが、実際はあまり交渉していないだけのようだ。
それでもモンスター同士の接触が少ないなら、問題も無く平和で過ごしやすい。
しかし、たびたびモンスターが攻めて来るという噂が流れるようだ。
そう、この城には噂を本気にするお姫様がいるから困ったものだ。
しかし、中には本当の情報も流れるらしい。
シルビアさんが教えてくれる情報の真意を確かめ、解決する事がオレの仕事になりつつあった。
三ヶ月間は噂話ばっかり流れていたようだったが、ようやく本当に問題が発生している事を付きとめた。
オレが楽しい異世界ライフを満喫していると、シルビアさんがモンスターを倒してください、と言い出して来た。
前は一週間に一回だったが、最近は数週間に一回の頻度になっていた。
別に、この国でモンスターが暴れ回ってもいないのになぜそう言うのだろうか、とオレは疑問に思っていた。
原因は、シルビアさんがモンスター討伐などの問題解決を依頼されているが、どの程度危険なのかを把握できていなかったからだ。
今までずっと別の異次元にいたし、情報整理できていなかったのは仕方ない。
パソコンのメールを見ながらオレにこう語る。
「ほら、ハンター募集中、私達と共にモンスターを討伐しましょうってメールが来ています。
そして、ボタンをクリックすると、モンスターの映像が出ます」
シルビアさんがボタンをクリックすると、電撃を放つドラゴンや吹雪を起こすドラゴンなどが登場した。
あまりにも強く、どうやって倒すのかも分からない強さだ。
屈強そうな兵士が、塵のように吹っ飛ばされている。
「吹雪のモンスターは倒せますけど、他のドラゴンは勝てる気がしない。
特に、この火焔を吐く奴とか、岩を飛ばして来たりする奴とか……」
シルビアさんは冷静に対抗策を考えていたが、空中を悠々と飛ぶ巨大なモンスターを見てこう言った。
「ダメ、勝てるわけがない……」
オレも真剣になって見ていたが、最後にカプコンという文字が出て納得する。
青ざめるシルビアさんにこう宣言する。
「これ、ゲームの宣伝ですよ。
本当にいるモンスターじゃありません!」
「え、こんなにリアルなのに?
ほら、村人を襲っている!」
「ゲームの画面です!」
「ええ、ほら、お婆さんの皺までリアルに……」
「最近のゲームのグラフィックも現実と思うくらい綺麗ですよね。
勘違いするのも分かりますよ!」
オレは、シルビアさんを見て、なんだこの可愛い生き物はと惚気ていた。
ゲームの宣伝映像を本気で信じて心配しているのだ。
「ええ? じゃあ、これもゲームですか?
数ヶ月前の映像ですけど……」
オレは、安心して画面を見ていたが、次に見せられた映像を見て言葉を失いかけた。
黄金のドラゴンが人々を襲っており、数十人の犠牲者が無残にも食べられていた。
これの映像は、この城近くで撮影されており、本物の様だった。
食べられる人の姿や叫び声もやけにリアルだ。
「これは、本物みたいだな……」
「そうでしょう。きっと仲間のドラゴンも近くにいますよ!
この岩を飛ばしてくる奴とか、砂漠の砂の中に潜っている奴とか……」
「それは、いないと願いたいですね……」
巧妙に作られた偽物の情報もあったが、オレとシルビアさんで情報処理をし、ようやく正しいモンスターの被害や危険度が認識できた。
黄金のドラゴンは、存在する様だが、当面被害も出していない様で安堵する。
できればお目にかかりたくないほどの凶暴さだった。
そのドラゴンとは別に、近場で暴れているモンスターがいるらしい。
まずは、城周辺の問題を解決する事にした。
「最近では、オークという亜人種達が街の人を襲い出し、怪我人も出ているそうです」
オレは覚悟していたが、聞いた幻獣がオークと聞き、危険度は低いと判断する。
もう少し手ごわい相手でも良かったのにと思うが、油断はしてはいけないと思い直し、気合を入れる。
多くの冒険者が相手を見くびり、命を落としたのだ。
オレの幼い時もそう、弱いモンスターばかりだからと、ダンジョンを深追いし過ぎた結果、雑魚に殺されるという悲劇で、ゲームオーバーした経験が遭った。
もちろん、オンラインゲームやクエストゲームでの話だ。
しかし、今回は現実の異次元世界、備えはいくらあっても足りない。
いきなり強い敵に遭遇した場合は、ほぼ間違いなく死ぬだろう。
その自信がオレにはあった!
日本人は、戦いのシミュレーションは出来ても、平和な国で育った分、勝つことへの貪欲さや、手段を選ばない態度に乏しい。
超強敵が、奇襲やエグイ戦法を使ってきた場合、対抗のしようがないのだ。
オレもどんな卑怯な手でも良い、生き残ることが優先順位なのだ。
たとえ村人を犠牲にしてでも……。
「ふっ、シルビアさん、オレは人殺しはしない主義だ。
なんでも暴力で解決するなど、野蛮人のする事、それじゃあオークとかいう畜生と同じだ。
オレは自分のペースで事件を解決するぜ。
誰の指図も受けない! 勿論、君の頼みだとしてもだ!」
亜人種とはなるべく戦いたくない。
話し合いで解決できるのならそれに越した事は無い。
種族が違っても、人であるオークを殺すのは気分が良いモノではないからな。
シルビアさんはそれを聞き、オレに涙を流して懇願する。
さすがに美女の涙には弱い、心優しいオレだ。
真剣に聞いて対応する。
「分かっています。素人の口出しほど、危険な物はありません。それは分かっています。
でも、本当に一刻も早く、オーク達を退治してもらいたいのです。これだけは分かってください」
オレは出来る限り努力してみようと思い、いろいろ対策を思い巡らす。
「分かった。オークとかいうブタ野朗達の被害を教えてくれ!
その状況により、そのブタ野朗達が生きる価値のある奴か、死ぬべき奴かを決める!
なるべく分かり易く、丁寧に教えてくれ。
一応、クソ野郎達だとしても、命を奪うかもしれない以上、情報は正確に欲しい。
もしも、オレが見て改善の余地があると判断した場合は、オークとかいうブタ野朗といえど、命を取るようなことはしない! これだけは覚えておいてくれ」
オレは、こんなカッコいい事を言っているが、内心はびくびくものだ。
命のやりとりなのだ、恐れるのは当然の事だ。
オレはそれでも冷静を装う。
シルビアさんに不安を与えるようなことはしてはいけない。
村人の士気のためにも、オレは強くなくてはいけないのだ!
支配者とは、かなりのプレッシャーがかかるなと実感する。
「はい、嘘偽りのないように、正確に情報を入手し、あなた様に教えます!」
シルビアさんはそう言い、オレに一礼をして出て行った。
本当にシルビアさんは礼儀正しい。日本の女子高生にも見習って欲しい物だと思いつつ、作戦を考える。
(ふっ、やはりうまくはいかんか。
シルビアさんと早めにこの異世界を逃げ出し、結婚する予定だったが、異次元の扉というゲートは探し出せないし、日本科学庁の連絡も来ない。
長官の代理人とかいう奴の情報もめっきり入って来ない。
こうなったら、オークとかいう奴と和解するしかないな。
亜人種っていうし、もしかしたら気が合うかもしれない。
オレはナイフくらいしか、武器を扱えないし……。
一応、一通り武器は見てみたが、ナイフくらいが扱える限界だ。
ケンカも弱いし、血も怖いしな……。
何とか和解で済めば、オレは冒険の旅に出ることもなく、シルビアさんと幸福な生活もおくれるのだが……。
ドラゴンとかいう危険な生物は、若い息子世代に倒してもらうってことにすれば良いし、オレはここでのんびり暮らして、帰れる機会があったら、シルビアさんと日本に帰るって決めたんだ。誰の邪魔もさせないぞ!)
オレはそう決意し、オークを倒す算段を付ける。
文字だけは、だいぶ読めるようになっているし、幻獣の資料もバッチリ揃っている。
対策を考えなくても、余裕で勝てる相手だが油断はしない。
「オーク、闇に属する種族のために太陽の光を嫌い、怒鳴るように話す。
圧倒的な数を総動員した力押しの戦闘を好む。なるほど、だから夜にしか行動しないのか。
これなら、村人を使って殲滅できるな!
要は、オレが戦わなきゃいいんだから……。
しかし、ボスとの一騎打ちは当然あるだろう。
日本人の最先端技術を舐めるなよ!」
こうして、シルビアさんの持って来た資料の下、オークの行動範囲を調べ、行動を先読みして奇襲することにした。
オーク達は単純で行動が読みやすいので、すぐに次に襲う場所が特定できる。
以前はお金が目的だったようだが、次は食糧だろうと、当りを付ける。
収穫の時期で、食糧は豊富にある倉庫を狙うはずだ。
シルビアさんの協力で、村人も集まり、作戦の準備も整う。
だいたい二十人ほどが、農業用具で武装する。
オレもナイフなど、いろいろな武器を準備しておいた。
オレとオーク達の戦闘が開始される。
オレとシルビアさん、そして村人で話合い、オーク達が山から街の食糧庫に侵入して来ることが予測された。
オーク達は過去のデータから単純に行動して来ることが分かったため、十人ほどで奇襲し、後の十人で挟み撃ちにする。
オレと村人は奇襲ポイントで、オーク達が来るのをひたすら待つ。
すると、オーク達の話声が聞こえて来た。
オークの行動は、オレの計画通りの道を来たようだ。
この時点で、勝利が確定しており余裕が出て来る。
オレも言語がだいぶ分かるようになったものだと、自分ながらに感心しながらオークの話を聞く。
「ひっひっひ、この前襲った村は、あんまり綺麗な娘がいなかったからな。
今度の村は、十五歳以上の子がいると良いな。
その子と結婚して、マシな顔をした子供を作りたいだ。
オイラ達は醜いから、普通の方法じゃ結婚できねえし、可愛い嫁ももらえねえ。
嫁にはちょっと可哀想だが、無理矢理結婚するしかないべ」
「んだ、んだ、オイラ達の種族じゃ、そうしないと生き残れないべ。
これは弱肉強食の掟だべ!」
「弱肉強食か、良い響きだべ。こんな醜いオイラ達にも、希望を与えてくれるだ。
か弱い女の子でも、オイラ達の生活を守るためだと、言い聞かせる事ができるべ!」
「まあ、若い娘がいない場合は、食糧や綺麗な物を奪うしかないけどな。
お金持ちと知れば、顔はいまいちでも結婚してくれる子はいるからな。
こんな世界なんだ、仕方ないべ」
「んだ、んだ。顔が醜く、お金がないからってさげすまれているオイラ達には、こうする以外に生き残る道がないだ!」
どうやら相当のクソ野郎どもの様だ。
しかし、情状酌量の余地はある。
オレは、彼らの言葉を聞きながら、涙が出ていた。
異世界とはいえ、心が通じ合う奴らはいるものだ。
しかし、道徳的に、奴らの取っている方法は気に入らない。
オレは決死の覚悟で、奴らを止めようと決心する。
村人はオレが指示した通り、オーク達が出て来てから、強い光を彼らに浴びせかける。
オレ達は光で眼をくらまさない様に、サングラスをかける。
このサングラスは、オレが指示して作らせた物だ。
たいまつと凸レンズを組み合わせた光の集中攻撃により、オーク達は目をくらまし、あっけなく捕らえられた。
村人達もオークの話を聞いていたようで、同情により縄で縛る程度に留められた。
オーク達が全て捕らえられ、村人達が安堵したのも束の間、森の奥からものすごい雄叫びが聞こえて来た。
さっきのオーク達の比ではないほどの力強い、野蛮な雄叫びが、森中に木霊していた。
オレは、思わず笑みを浮かべる。
漫画的アオリ
実は、ほのぼの系のモンスター。
唯一の和みキャラか?
オーク達
年齢 18~40歳 男 オーク
職業: 盗賊
称号: ブタ野朗
HP(体力): 80
MP(魔力): 0
攻撃力: 40 (武器により高くなる)
防御力: 50 (精神的強さ20)
スピード: 30
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