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第一章 『秘められた異次元(シークレットディメンション)』への扉!
第4話 首領オーガと一騎打ち!
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森を揺るがすかと思うほどの雄叫びが、オレ達の近くで聞こえ始めた。
声の大きさと高さからするに、相当の肺活量を持っているはずだ。
オークがあっさり捕まったこともあり、オレはつまらなさを感じていた。
だが、オレの退屈を埋め合わせしてくれるほどの奴が現れたのだ。
声の調子からするに、日頃訓練している運動量は半端ないはずだ。
オレと互角とは行かなくても、相手がオレの技を使わせてくれるレベルがある事を願う。
恐ろしい雄叫びを上げていた者は、すぐにオレ達の前に姿を現した。
その姿は、オークよりも二回りほどもでかい巨体をしている。
顔はオークよりも整っており、豪華な衣装を身に付けていた。
何よりも太鼓腹が良く目立っている。
檻の中から抜け出した熊と同じくらいの巨体だ。
木の太さくらいの腕を持ち、並みの人間では勝つことが出来ないと思わせるほどの腕力を秘めていた。
ゲームで言えば、強敵出現と言ったところだ。
オレの顔に、思わず笑みがこぼれる。
現実世界ではお目にかかることの出来ない生物を見て心が喜んでいた。
オレが、あれは何者かを思案していると、近くに来ていたシルビアさんが分析して言う。
「あの太鼓腹、間違いなく人食い鬼のオーガですね。
可哀想なオーク達を操り、村人を襲って私腹を肥やしていたんですよ。
日本風に言うなら、ブラック企業の社長といったところでしょうか」
「そうですか。なんて嫌な敵だ」
もしもオーガに奇襲されていたら、村人達はピンチだっただろう。
何人かがオーガの攻撃にやられ、オレに助けを求めて来る姿が想像できる。
オーガを見た瞬間、村人達の顔が悲嘆に変わるのを確認した。
確かに、人間を戦慄させるほどの強さを秘めているのだ。
しかし、オーガは隠れて攻撃して来ることも無く、男らしく出て来た。
どうやら、一対一の勝負がお好みらしい。
その覚悟に免じ、オレが直々に相手をしてやろうと思う。
正攻法でも倒せるだろうが、オーク達の襲撃を受けた村人達を活気付かせるためにも、人間でも勝てるというパフォーマンスが必要なのだ。
オレは一瞬どうやって倒そうかを考え込むが、シルビアさんが近くにいる事に気が付き、突っ込みを入れる。
「ちょっと!
何で、ここにいるんですか?
危ないから、城で待っていて下さいよ!」
「だって、私はこの国の領主の娘ですもの。
一人だけ戦闘から逃れて、おちおち寝ていることはできません!
それで、夜食にケーキとコーヒーをお持ちしました!」
これはチャンスだ!
強敵出現によって、村人達は気持ちが萎縮していたが、ケーキとコーヒーというアイテムによって空気を和ませる効果がある。
オレが、オーガが作り出した緊張感を壊せば、勝負の流れは一気にオレに転がり込むのだ。
混沌という空気は、弱い者にとっては恐怖だが、オレのような強者には勝負を決する前段階なのだ。
全員がオレの強さに驚愕すれば、それだけで戦いは収まる。
しかしの今回は、村人達を強めることによって、些細な戦闘を回避させることにした。
オーク達が憐れな弱い生き物だと悟れば、自然と優しく接しようと感じるはずだ。
オレは、シルビアさんお手を取り、こうお願いする。
「シルビアさん、ケーキを人数分切り分けてくれ!
今、ここでピクニックをすることに決めた!
自然の空気は美味しいし、星の観察には良い天気だ」
「はい!
ちょうどピクニックシートを用意していて良かったです!
実は、果物も切って来たんですよ」
シルビアさんは、ピクニックシートを広げ、ケーキと果物の林檎を並べながら、腰を下ろした。
オレもその隣に座る。ケーキが人数分切り分けられ、村人とオーク達の分が用意されていた。
村人とオーク達を同じように扱う。
シルビアさんのその作業姿を見て、抱きしめたくなった。
肩を抱き、感謝の言葉を述べる。
「オレの為にこんなに準備してくれて嬉しいよ!」
「あん、マモルさんの恋人として当然のことをしているだけですわ!
でも、よろこんでくれてうれしいです!
さあ、ケーキを食べてください!」
その言葉を聞き、村人とオーク達はシルビアさんの近くに群がる。
焼き立てのケーキと温かいコーヒーの登場により、戦場は一気に和やかなムードになった。
村人とオーク達にケーキとコーヒーが行き渡り、喜ぶ姿が見られる。
オーガの存在など忘れてしまったと思うほどの変わりようだ。
「いやー、丁度お腹が空いていた所です。
シルちゃんは、本当に気が利くなあ」
「うまい、うまいぞ!」
「日本食とかいうのは、ダシがきいてなくていまいちだったが、こういう洋菓子は絶品だよな!」
村人達が年甲斐もなく、シルビアさんを誉めるため、オレは少し不安になる。
「おいおい、オレの嫁だぞ! 手を出すんじゃないよ、おっさん共!」
「いやー、オラ達も後二十年若ければ、シルちゃん目当てに、ドラゴン退治に乗り出したんだろうけど、もう年だからね。
シルちゃんの将来は兄ちゃんに任せるよ!」
「本当に、あの代理人は見る目がないねえ。
シルちゃんを捨てて、幼女のお姫様を選ぶなんて……」
「全くだ!」
オーク達も夢中でケーキを頬張っていた。
オレ達が和やかにケーキを食べていると、オーガが騒ぎ出す。
「おい! 何、俺様を無視しているんだ!
誰か怖がったりとか、びびって逃げたりとかしないのかよ!」
オレは冷静にオーガに答える。
ここで取り乱しては、折角のシルビアさんのケーキが無駄になってしまう。
村人とオーク達が大人しくなり、和んでいるからこそ無駄な怪我もしていないのだ。
オレが少しでも恐怖すれば、一気に乱闘が起きるだろう。
本当にいざという時は度胸が据わっているなあ、と我ながら思う。
この自信が戦闘で大きな差となるのだ。
そう自分に言い聞かせていた。
大して自信の根拠はないが……。
「いや、びっくりしたけど、別に……。
あんたより、オレの方が強い!
慌てる必要も、逃げ出す必要もないね。
もう、夜も晩い。
お母さんが心配する前に帰れ!」
「いや、夜晩いからこそ、街を襲いに来たんだけど……」
オーガは意外にも、真面目にオレの言葉に答えてくれる。
根は良い奴なのだろうか?
「そうか、ならば仕方ない!
オレがお前を倒して、この事件は終了だ!」
オレはそう言って、槍を構える。
槍の方が、オーガの包丁より攻撃範囲が長い。
以前に本で、戦争において剣はそれほど役に立たないというのを聞いたことがある。
主な主力は弓矢と槍。特に槍は、戦争において画期的な武器だったという。
その知識から、オレはオーガに槍で戦いを挑む。
そして、シルビアさんの応援により、オレの士気は上がっていく。
「マモル様、ステキ! やはりやる時はやる男ですのね!
こんな大男の前に、槍で戦いに挑むなんて、先っぽが戦う前からもう無くなっているのに……」
シルビアさんの声援を聞き、オレは槍の先を見る。
シルビアさんの言う通り、槍の先っぽが無くなっていた。
オーガの包丁のような剣に切られたのだ。
全て鉄製の槍は重くて持てなかったから仕方ないね……。
「はっはっは、どうした小僧? 俺様の剣が速過ぎて見えなかったか?」
オーガは調子に乗り、オレに突撃して来る。
オレは焦りまくっているように、オーガに問いかける。
「待って、タンマ、お願い!」
オーガは容赦なくオレに攻撃して来る。
「そんな言葉で俺様が待つと思ったか? 死ね!」
目の前にいる人達が、オレがオーガにやられると思っていたようだ。
シルビアさんも、オーガ自身も……。しかし、悲鳴を上げたのはオーガの方だった。
オーガは何が起きたのかも分からず、地面に倒れて叫ぶ。
意外と打たれ弱い奴だ。まあ、それがオーガの命を救ったのだ。
日本人の大好きな隠し武器が、見事にオーガを攻撃したのだ。
足から飛び出すナイフの蹴り。
実際に作ってみると、かなりの威力があって、オレ自身もびっくりする。
オーガは、駄々っ子の子供のように転げまわった。
オレも、オーガの首が飛んだかと思って焦る。
「ふっ、足に武器を仕込んでいたのさ。丸腰の相手だと思って油断したようだな。
お母さんに習わなかったのか? どんな相手にも油断するなと……」
オレは平常心を保っているようだが、内心はドキドキしていた。
オーガが無駄な抵抗をした場合、第二、第三の兵器が飛び出す所だった。
そうなった場合、さすがの巨体のオーガも、生命の危機に陥っていた事だろう。
オレはとりあえず叫ぶオーガを、槍の柄で殴って気絶させた。
長い分、かなりの威力がある。
オーガのような巨体にも、十分過ぎる威力を発揮した。
「こんなクソ野郎でも心を入れ替える可能性はある。
経営能力を身に付けさせ、オーク達を立派な男にするならば、こんな悲しい事件も起きないだろう。
オレが少し、オーガやオークを説得してみよう!
成功するかどうかは分からないが……」
「ステキ! 本当に殺さずに解決する気なんですね!」
「全て、オレの作戦通りだよ。
オーク達と村人が仲良くなり始める。
アクシデントを装って、オーガが攻撃して来たところをカウンターでねじ伏せる。
オレの強さと作戦を見せ付け、オーガに勝ち目のない事を体に刻みつける。
全てがオレの計画通りさ!
槍が切られた時は、びっくりしたか?」
オレは、切られた槍を見せ、シルビアさんに感想を訪ねる。
「ああ、槍が切られたんですね。
あまりにも綺麗に切れたので、そういうワンタッチ式の武器なのかと思いましたよ。
別の武器に変えるぞ的な……」
「実は、足こそがオレの本当の槍だったのさ!」
「ええ、オーガが死んだと思ってビビりましたよ。
痛がったから死んでないと確認できましたけど。
見えない首が飛んだように錯覚しました!」
「ドッキリ演出さ!
シルビアさんの角度では、首の位置が確認できないだろうと思ってね」
「まあ、意地悪なマモルさん!」
シルビアさんは危険が無くなったのを確認すると、オレに抱き付いてくる。
オッパイが腕に当たり、とても気持ち良かった。全く、出来る男ってのも辛いね。
そう思いつつも、オレの顔は緩んでいた。
漫画的アオリ
デブ専にはたまらない可愛さ!
実は、経営業が得意なやり手社長!
飼い慣らせば、金が入って来るぜ!
オーガ
年齢 25歳 男 オーガ
職業: 盗賊のボス
称号: 恐るべきブタ野朗
HP(体力): 100
MP(魔力): 0
攻撃力: 80 (武器により高くなる)
防御力: 70 (精神的強さ10)
スピード: 40
知力: 70 (女性の前だと、照れて20になる)
得意技: 人攫い こん棒で叩く 子供には強きで対応
声の大きさと高さからするに、相当の肺活量を持っているはずだ。
オークがあっさり捕まったこともあり、オレはつまらなさを感じていた。
だが、オレの退屈を埋め合わせしてくれるほどの奴が現れたのだ。
声の調子からするに、日頃訓練している運動量は半端ないはずだ。
オレと互角とは行かなくても、相手がオレの技を使わせてくれるレベルがある事を願う。
恐ろしい雄叫びを上げていた者は、すぐにオレ達の前に姿を現した。
その姿は、オークよりも二回りほどもでかい巨体をしている。
顔はオークよりも整っており、豪華な衣装を身に付けていた。
何よりも太鼓腹が良く目立っている。
檻の中から抜け出した熊と同じくらいの巨体だ。
木の太さくらいの腕を持ち、並みの人間では勝つことが出来ないと思わせるほどの腕力を秘めていた。
ゲームで言えば、強敵出現と言ったところだ。
オレの顔に、思わず笑みがこぼれる。
現実世界ではお目にかかることの出来ない生物を見て心が喜んでいた。
オレが、あれは何者かを思案していると、近くに来ていたシルビアさんが分析して言う。
「あの太鼓腹、間違いなく人食い鬼のオーガですね。
可哀想なオーク達を操り、村人を襲って私腹を肥やしていたんですよ。
日本風に言うなら、ブラック企業の社長といったところでしょうか」
「そうですか。なんて嫌な敵だ」
もしもオーガに奇襲されていたら、村人達はピンチだっただろう。
何人かがオーガの攻撃にやられ、オレに助けを求めて来る姿が想像できる。
オーガを見た瞬間、村人達の顔が悲嘆に変わるのを確認した。
確かに、人間を戦慄させるほどの強さを秘めているのだ。
しかし、オーガは隠れて攻撃して来ることも無く、男らしく出て来た。
どうやら、一対一の勝負がお好みらしい。
その覚悟に免じ、オレが直々に相手をしてやろうと思う。
正攻法でも倒せるだろうが、オーク達の襲撃を受けた村人達を活気付かせるためにも、人間でも勝てるというパフォーマンスが必要なのだ。
オレは一瞬どうやって倒そうかを考え込むが、シルビアさんが近くにいる事に気が付き、突っ込みを入れる。
「ちょっと!
何で、ここにいるんですか?
危ないから、城で待っていて下さいよ!」
「だって、私はこの国の領主の娘ですもの。
一人だけ戦闘から逃れて、おちおち寝ていることはできません!
それで、夜食にケーキとコーヒーをお持ちしました!」
これはチャンスだ!
強敵出現によって、村人達は気持ちが萎縮していたが、ケーキとコーヒーというアイテムによって空気を和ませる効果がある。
オレが、オーガが作り出した緊張感を壊せば、勝負の流れは一気にオレに転がり込むのだ。
混沌という空気は、弱い者にとっては恐怖だが、オレのような強者には勝負を決する前段階なのだ。
全員がオレの強さに驚愕すれば、それだけで戦いは収まる。
しかしの今回は、村人達を強めることによって、些細な戦闘を回避させることにした。
オーク達が憐れな弱い生き物だと悟れば、自然と優しく接しようと感じるはずだ。
オレは、シルビアさんお手を取り、こうお願いする。
「シルビアさん、ケーキを人数分切り分けてくれ!
今、ここでピクニックをすることに決めた!
自然の空気は美味しいし、星の観察には良い天気だ」
「はい!
ちょうどピクニックシートを用意していて良かったです!
実は、果物も切って来たんですよ」
シルビアさんは、ピクニックシートを広げ、ケーキと果物の林檎を並べながら、腰を下ろした。
オレもその隣に座る。ケーキが人数分切り分けられ、村人とオーク達の分が用意されていた。
村人とオーク達を同じように扱う。
シルビアさんのその作業姿を見て、抱きしめたくなった。
肩を抱き、感謝の言葉を述べる。
「オレの為にこんなに準備してくれて嬉しいよ!」
「あん、マモルさんの恋人として当然のことをしているだけですわ!
でも、よろこんでくれてうれしいです!
さあ、ケーキを食べてください!」
その言葉を聞き、村人とオーク達はシルビアさんの近くに群がる。
焼き立てのケーキと温かいコーヒーの登場により、戦場は一気に和やかなムードになった。
村人とオーク達にケーキとコーヒーが行き渡り、喜ぶ姿が見られる。
オーガの存在など忘れてしまったと思うほどの変わりようだ。
「いやー、丁度お腹が空いていた所です。
シルちゃんは、本当に気が利くなあ」
「うまい、うまいぞ!」
「日本食とかいうのは、ダシがきいてなくていまいちだったが、こういう洋菓子は絶品だよな!」
村人達が年甲斐もなく、シルビアさんを誉めるため、オレは少し不安になる。
「おいおい、オレの嫁だぞ! 手を出すんじゃないよ、おっさん共!」
「いやー、オラ達も後二十年若ければ、シルちゃん目当てに、ドラゴン退治に乗り出したんだろうけど、もう年だからね。
シルちゃんの将来は兄ちゃんに任せるよ!」
「本当に、あの代理人は見る目がないねえ。
シルちゃんを捨てて、幼女のお姫様を選ぶなんて……」
「全くだ!」
オーク達も夢中でケーキを頬張っていた。
オレ達が和やかにケーキを食べていると、オーガが騒ぎ出す。
「おい! 何、俺様を無視しているんだ!
誰か怖がったりとか、びびって逃げたりとかしないのかよ!」
オレは冷静にオーガに答える。
ここで取り乱しては、折角のシルビアさんのケーキが無駄になってしまう。
村人とオーク達が大人しくなり、和んでいるからこそ無駄な怪我もしていないのだ。
オレが少しでも恐怖すれば、一気に乱闘が起きるだろう。
本当にいざという時は度胸が据わっているなあ、と我ながら思う。
この自信が戦闘で大きな差となるのだ。
そう自分に言い聞かせていた。
大して自信の根拠はないが……。
「いや、びっくりしたけど、別に……。
あんたより、オレの方が強い!
慌てる必要も、逃げ出す必要もないね。
もう、夜も晩い。
お母さんが心配する前に帰れ!」
「いや、夜晩いからこそ、街を襲いに来たんだけど……」
オーガは意外にも、真面目にオレの言葉に答えてくれる。
根は良い奴なのだろうか?
「そうか、ならば仕方ない!
オレがお前を倒して、この事件は終了だ!」
オレはそう言って、槍を構える。
槍の方が、オーガの包丁より攻撃範囲が長い。
以前に本で、戦争において剣はそれほど役に立たないというのを聞いたことがある。
主な主力は弓矢と槍。特に槍は、戦争において画期的な武器だったという。
その知識から、オレはオーガに槍で戦いを挑む。
そして、シルビアさんの応援により、オレの士気は上がっていく。
「マモル様、ステキ! やはりやる時はやる男ですのね!
こんな大男の前に、槍で戦いに挑むなんて、先っぽが戦う前からもう無くなっているのに……」
シルビアさんの声援を聞き、オレは槍の先を見る。
シルビアさんの言う通り、槍の先っぽが無くなっていた。
オーガの包丁のような剣に切られたのだ。
全て鉄製の槍は重くて持てなかったから仕方ないね……。
「はっはっは、どうした小僧? 俺様の剣が速過ぎて見えなかったか?」
オーガは調子に乗り、オレに突撃して来る。
オレは焦りまくっているように、オーガに問いかける。
「待って、タンマ、お願い!」
オーガは容赦なくオレに攻撃して来る。
「そんな言葉で俺様が待つと思ったか? 死ね!」
目の前にいる人達が、オレがオーガにやられると思っていたようだ。
シルビアさんも、オーガ自身も……。しかし、悲鳴を上げたのはオーガの方だった。
オーガは何が起きたのかも分からず、地面に倒れて叫ぶ。
意外と打たれ弱い奴だ。まあ、それがオーガの命を救ったのだ。
日本人の大好きな隠し武器が、見事にオーガを攻撃したのだ。
足から飛び出すナイフの蹴り。
実際に作ってみると、かなりの威力があって、オレ自身もびっくりする。
オーガは、駄々っ子の子供のように転げまわった。
オレも、オーガの首が飛んだかと思って焦る。
「ふっ、足に武器を仕込んでいたのさ。丸腰の相手だと思って油断したようだな。
お母さんに習わなかったのか? どんな相手にも油断するなと……」
オレは平常心を保っているようだが、内心はドキドキしていた。
オーガが無駄な抵抗をした場合、第二、第三の兵器が飛び出す所だった。
そうなった場合、さすがの巨体のオーガも、生命の危機に陥っていた事だろう。
オレはとりあえず叫ぶオーガを、槍の柄で殴って気絶させた。
長い分、かなりの威力がある。
オーガのような巨体にも、十分過ぎる威力を発揮した。
「こんなクソ野郎でも心を入れ替える可能性はある。
経営能力を身に付けさせ、オーク達を立派な男にするならば、こんな悲しい事件も起きないだろう。
オレが少し、オーガやオークを説得してみよう!
成功するかどうかは分からないが……」
「ステキ! 本当に殺さずに解決する気なんですね!」
「全て、オレの作戦通りだよ。
オーク達と村人が仲良くなり始める。
アクシデントを装って、オーガが攻撃して来たところをカウンターでねじ伏せる。
オレの強さと作戦を見せ付け、オーガに勝ち目のない事を体に刻みつける。
全てがオレの計画通りさ!
槍が切られた時は、びっくりしたか?」
オレは、切られた槍を見せ、シルビアさんに感想を訪ねる。
「ああ、槍が切られたんですね。
あまりにも綺麗に切れたので、そういうワンタッチ式の武器なのかと思いましたよ。
別の武器に変えるぞ的な……」
「実は、足こそがオレの本当の槍だったのさ!」
「ええ、オーガが死んだと思ってビビりましたよ。
痛がったから死んでないと確認できましたけど。
見えない首が飛んだように錯覚しました!」
「ドッキリ演出さ!
シルビアさんの角度では、首の位置が確認できないだろうと思ってね」
「まあ、意地悪なマモルさん!」
シルビアさんは危険が無くなったのを確認すると、オレに抱き付いてくる。
オッパイが腕に当たり、とても気持ち良かった。全く、出来る男ってのも辛いね。
そう思いつつも、オレの顔は緩んでいた。
漫画的アオリ
デブ専にはたまらない可愛さ!
実は、経営業が得意なやり手社長!
飼い慣らせば、金が入って来るぜ!
オーガ
年齢 25歳 男 オーガ
職業: 盗賊のボス
称号: 恐るべきブタ野朗
HP(体力): 100
MP(魔力): 0
攻撃力: 80 (武器により高くなる)
防御力: 70 (精神的強さ10)
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