【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

文字の大きさ
12 / 302
第一章 『秘められた異次元(シークレットディメンション)』への扉!

第11話 ドワーフの剣闘士試練!

しおりを挟む
エルフ達が正気に戻り、村の状況を見て愕然としていた。
大半は自分達が壊したわけだが、大切にしていた村を無くしては、住む場所さえもない。
捨てられた子犬のような目で美女達がオレに助けを求めて来た。
あんな凶悪な顔を見た後では、惚れることさえありえないが、資金を集めるには丁度良い条件だ。
村を復興するのを手伝いつつ、オレの経営する店も作る事にした。
オーガとエルフ達が仲良くなれば、オレが働かずとも資金が入ってくるのだ。
エルフの村の復興を少し手伝いながら、オーガとリーダーエルフが戻って来るのを待つ。

しばらくエルフ達も協力的でなかったが、オレ達に害が無い事を悟ると、次第に協力的になって来る。
しかし、復興が終わっても、オーガは姿を見せなかった。
まあ、オークにこの場所を提供する事で問題を解決する。
媚薬などを調達できるオークだ。

この場所でもうまくやっていけるだろう。
幸い、エルフの一人と徐々に仲良くなっているようだ。
賢い男は、顔がイマイチでもモテることはできる。
村のエルフ達は、自分達の経験を元に推測して言う。

「すいません。ウチら、怒ると我を忘れて攻撃してしまう種族なんです。
本来は、聡明で賢い種族なんですけど、恋愛や嫉妬などに燃えると、周りが見えなくなってしまうんです。

ウチらは、全員が良い男共を手に入れて、子孫を繁栄させる事ばかりを考えているので、望まない男に襲われたり、身体を弄ばれたりした場合は、その男共を殺して、関係者も皆殺しにする。

そこまで、ようやく怒りを抑えることができるのです。
結果的にオーガさんは、リーダーを守ったので、生きていると思うのですが……」

そう説明するエルフに、オレは優しく言う。
ここで関係をこじらせるのは嫌だ!

「一部の者(ここでエルフ全部が悪いと決めつけると、偏見があると思われて嫌われるので注意!)は、相当恐ろしい行動をする種族なんですね。
じゃあ、あなたが分析するに、オーガがあのエルフに連れ去られたのは?」

「うーん、何とも言えませんが、もしかしたら惚れたのかもしれません。
男は必ずしも顔で選んでいるわけではありません。
顔、体格、性格、度胸等、エルフ達の好みも様々で、別れますからね。
私のように、賢いオークに惚れる人もいます。
惚れた場合にも、あのような行動を取ります。
もちろん、全ての怒りがあのオーガに集中し、無残に殺されている場合もありますけど……」

エルフは不安そうにそう語る。
それを聞き、オレなりに要約して解釈する。

「つまりオーガが受け入れられたか、または死んだかのどちらかなんですね?」

「はい。どちらにしても、しばらくは姿を現さないでしょう。
怒りの場合は、どこにぶつければいいか分からなくなり、破壊衝動によって見かけた人や動物を狩ります。愛情の場合は、子孫繁栄に励み、気が済むまで作業を続けますから……」

若いエルフは少し恥ずかしながらそう言った。
オレ達はそれを聞き、オーガの幸せが訪れたのだろうと勝手に判断し、お城に引き揚げて行った。
どの道、居ても状況は変わらない。
オークがオーガの役割を果たしてくれる以上、オレには何の問題もなかった。
オーガ、幸せに生きろと願う!

「しかし、すごい種族だな。何とも極端な行動だ」

オレが驚きながらそう言うと、シルビアさんは恥ずかしそうにしながら言う。

「愛する人とのいとなみは、女の子にとってもとても重要ですから……」

恥ずかしそうにするシルビアさんだったが、オレが目を見て話をしようとすると、冷静になって聞いてくれる。
オレは、シルビアさんを安心させるように語りかける。

「まずは、オレ達、結婚式をあげないとな!」

シルビアさんは、オレの言葉を聞き、はっきりとこう返事をした。

「はい!」

オレ達が結婚の計画を話していると、オークがそれを聞き、重要な事を教えてくれた。

「指輪がいるでねえか! 
マモルの世界はどうか知らねえが、この世界じゃ、指輪は高価で、手に入りにくいだ。
ドワーフの工場まで行って、指輪の依頼をせんと行かねえぞ!」

オレはそれを聞き、オークに相談する。

「え? そうなの? じゃあ、ドワーフの工場に行こう!」

エルフ村の作業が終わったのは、昼過ぎだったので、馬車の運転手に行き先の変更を告げる。
オレとシルビアさんで、ドワーフの工場に向かう事にした。
オークは、エルフ村の彼女と一緒に生活するようだ。
彼女を作るのに最も必要なのは、本人のやる気だ。
それが出た以上、オークはもう大丈夫だろう。
エルフ村でデートを重ね、結婚するようにしたようだ。
オークとは、ここで別れる事にした。

「すいません。ドワーフの工場までお願いします」

オレが運転手にそう告げると、馬車はドワーフの工場へと進路を変えた。
シルビアさんは心配してドワーフ達の事を教えてくれる。

「ドワーフは、確かに優秀な金属加工人ですが、気に入った者にしか商品を作ってくれませんよ。人を選んで商売しているようです。

噂では、ドワーフ達は相当の剣の達人で、勝った者にしか金属細工品を差し上げないそうです。たとえどんなに金を積まれても、気に入った者にしか売ってくれないのだとか。金は、この世界で高級品なので、力の無い者が持つと、命さえ奪いかねない代物なんです。

その辺が関係して、強い人に渡すようにしているのでしょう。
もちろん、悪い人にも渡らない様にしての二重の予防でしょうけど……」

オレは、シルビアさんの話を聞くが、安心させるためにこう言う。

「オレの腕なら大丈夫だ!」

「あーん、ダーリンは頼もしい!」

言った後で、オレは後悔し始める。剣の実力など無いのだ。
オレの言葉を信頼し、抱き付くシルビアさんだが、オレはどうやってドワーフを倒そうかと考えていた。

剣なんて、重くて持てないよ! さて、どうしようか? 
そう考えているうちに、ドワーフの工場に辿り着いた。

ドワーフの工場は、一つの街を形成しており、金属加工場は至る所にあり、更に他の街と同じような市場もある。街は活気にあふれていた。

その街の中心に、闘技場のようなドームが建てられている。
その建物から、剣と剣を打ち合うような激しい音がしている。

シルビアさんは、この街も良く知っているようで、行きつけのお店に顔を出す。
オレが見ると、そこはどう見ても普通の金属加工場だった。
規模は大きいが、他の金属加工場とさほど変わらない。

ただ、工場の隣に闘技場があるのを除いては……。
この闘技場で、この店のドワーフ達は、客の善し悪しを決めているらしい。



オレがそこを見に行くと、すでに戦っている人の姿がある。若い男のようだ。
その人もどうやら指輪を手に入れようと、奮闘している。しかし、差は歴然だった。

「この!」

男が力任せに剣を振るう。

「無駄だ! 姿勢がなってねえ!」

ドワーフと見られる年輩の男は、若者の剣を軽くいなす。

「これならどうだ!」

若者が、年配ドワーフの死角を突く攻撃をする。
いかに剣の腕が上といっても、力は若い男性の方がある。

年配ドワーフが剣を受けた瞬間、わずかに隙ができたような感じになる。
しかし、それはオレの勘違いであり、上手い事処理されてしまった。

「それじゃあ、奇襲にもならねえ! ここまでで終いだ!」

若者の攻撃を読んでいたようで、まるで後ろに目があるかのようにして、年配ドワーフは受け流した。
若者の剣を持つ握力が弱まり、剣は若者の手を離れて転がる。

「ああ!」

剣が地面に落ちた所を、年配ドワーフは男の剣を脚ではじき飛ばし、勝利した。
若者は負けを認め、うなだれる。

「ふん! まあ、悪くはなかった。剣の腕を磨いて、二年後に出直してこい! 
女の子を守るには、そのくらいの力量がねえといけねえぜ!」

年配ドワーフは、剣を肩に置き、男を励ましている。
どうやら、何回でも挑戦はできるようだ。

年配ドワーフは、現実の厳しさを良く知っているため、若者達を鍛えているのだろう。
その証拠に、倒れている若い男性を手で支える等、優しい一面を持っているようだ。

「ふーむ、安定した剣の扱い方、かなりの腕ですね。どっしりとした強さを感じさせます」

シルビアさんは、ほほ笑みながらそう分析していた。
オレの眼から見ても、年配でありながら強そうなドワーフの剣士だった。

「おっと、新しい客か?」

年配ドワーフは、気配を感じ、オレの方を見る。
年配ドワーフはまだまだ余裕がある様で、オレとシルビアさんを見回してから、オレに笑いながらこう語りかける。

「うーん、続けて挑戦しても良いぜ! 兄ちゃんも指輪が欲しい口だろ! 
ただ、美人さんの彼氏だから、よほど強くなきゃいけねえ。

俺も手加減はできんぜ。この世の中には、責任を果たさなきゃならねえ時がある。
俺はその選別を勝手にしているだけだ。だが、評判はなかなか良いぞ!」

年配ドワーフは屈託のない笑顔で、オレに笑い掛ける。
オレは笑い返すが、内心はこう思っていた。

(ちっ、余計なことを……)

オレは対策がする時間が欲しいと考え、年配ドワーフにこう言う。

「あんたはたった今、戦ったばかりだろ! 
そんな疲れているおっさんを相手に戦って勝っても、試験をパスしたとは思えない。
一週間後だ! 一週間もあれば、あんたの身体も回復するだろ! その時に俺と勝負だ!」

オレはそう宣言する。
年配ドワーフも乗り気になり、こう返した。

「ほう、いいね! 一週間後には、この街の最強剣士が帰って来る。
面白い勝負になりそうだ!」

そう言って笑うドワーフに、シルビアさんが驚いたように言う。

「これほどの剣士以上がいるとは……。見た感じ、剣の先生くらいの腕前なのに……。
上には、上がいるものなんですね」

オレはやばいと考えたが、もう遅い。
オレと、謎の最強剣士との対決が開始される。
果たして、勝負になるのだろうか?

オレは、対戦相手に毒でも盛って、体調不良にさせた上で戦おうかなと、真剣に考え始めていた。
いずれにしろ、オレの発言により、勝負は一週間後に延期された。

シルビアさんは帰りの馬車の中で心配そうにオレにこう言う。

「おそらく剣の腕は最強格の相手、こちらも相当訓練しないと勝てませんよ!」

オレは冷静に答える。
すでに、オレの脳裏には、最強の剣士を倒す方法のアイデアが浮かんでいた。

後は、それを訓練し、自分の戦闘スタイルにするだけだ。
オレには、前々から考えていた戦い方を実行しようとする。

「そうだな。最強に等しいこのオレも、何かしらの訓練がいるだろうな。
シルビアさん、オレが必要とする物を買って来てくれ!」

オレはそう言って、シルビアさんにメモの紙を渡す。
技術者には、技術で対抗しようと考えていた。はたして、うまくいくのだろうか。
オレの特訓が始まろうとしていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...