【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

文字の大きさ
45 / 302
第二章 クラン街の悪夢

第42話 バルベロの休日

しおりを挟む
 オレ達がバルベロの住む施設に着くと、バルベロは案の定機嫌が悪かった。
二時間以上の遅刻だから無理もない。

本当ならば、朝の九時くらいには着いている予定だったのに、コミケに寄ったせいで昼近くになっていた。

「遅い! 何時間待たせるのよ。
遅くなるなら連絡くらい入れなさい、最低限のマナーでしょ?」

「めんご、めんご。コミケが意外と込んでいたから、ついつい見入ってしまって……。
とりあえず、お詫びとしてこの衣装を買って来たから、早速キーリアと一緒に着なさい! 
今日はその衣装のまま、デートしてもらうからね」

そういう嵐山を尻目に、オレは物思いにふけっていた。
オレとナイフを使って死闘を繰り広げた嵐山はもういないんだなと……。

平和な世界を望んでいたオレにとっては喜ばしい事だが、男として嵐山を尊敬していたオレにとっては悲しい事だった。
友人と仲良くなっていくと、こういう矛盾は良くあることだ。

大切なのは相手を理解し、敬意を示し続ける事なのだ。
たとえ、その趣味が理解し難いモノだとしても……。

 バルベロとキーリアが美少女戦士の衣装に変わると、嵐山はシルビアさんにも衣装を変えるように勧めて来た。
オレは間違っていた。

全ての女性に素晴らしい衣装を平等に与える嵐山は、やはり男の中の男であり、紳士なのだ。

たとえシルビアさんが少し引いているとしても、コスプレという一大イベントを見逃してはいけない。
そう、人は本来、コスプレして生きていく生き物なのだ。

セーラー服、婦人警官、看護服(ナース服)等、服の機能も仕事をする上で大切なモノだが、やはり一番重要視されるのは気持ちの問題だろう。
制服一つ着替える事で、素人のクズがプロフェッショナルになるのである。

気持ちが変わるという事は、仕事に対する姿勢、勤務態度、お客様への対応等、全ての能力を向上させてくれるのだ。
人は、衣装一つでおのれの限界さえも超える事ができるのである。

もちろん、通販やお店で買える安っぽいコスプレ衣装でもそれなりの効果はあるだろうが、オリジナルの制服には敵わない。
もしもオリジナルを買う機会が訪れたら、たとえ少し高くても買う事をお勧めしたい。

そのオリジナルの制服を着た女の子のサービスも、偽物とは比べる事も出来ないほど向上しているのだから……。
(注意:これはあくまでも主観であり、実際に実験したわけではありません)

 バルベロ、キーリア、シルビアさんの三人は美少女戦士にコスプレし、ショッピングモールを歩き回る。

オレも何かコスプレした方が良いかと提案するものの、オレに合ったサイズの衣装は存在しなかった。
嵐山は、自分はコスプレしない派のため、男性用の衣装は無い。

オレはコスプレをあきらめて、どこかでおしゃれな服を買い漁ろうと考えていた。
しかし、もう昼近く、食事をするのが優先だ。

バルベロのお勧めの店を紹介してもらい、その店で食事をする事にする。
バルベロはアンドロイドであるが、味覚探知機能を備えており、普通に美味しい物と不味い物を数値化して識別する事ができるのだ。

もはや、日本の科学技術は、機械だから物を食べる事ができないという常識を打ち破っていた。
味も味わう事ができ、食物をエネルギ―に変換する事もできる。

燃費が良いかは別にして、機械は限りなく人間に近づいていたのだ。
多くの人間が、このようなアンドロイドの存在を認めるならば、表舞台に出て来ることも出来るだろう。

しかし、今のところは、アンドロイドの存在を脅威と感じる人が多く、秘密裏に開発するしかない。

どんなに機械やロボットが人間に近づこうとも、人間がアンドロイドを認めなければ、分かり合える事は永遠に無いのである。

バルベロはお寿司屋を紹介してくれる。
月一に、仕事が暇になった時に来るという行きつけのお店だ。

専門の寿司職人がいるため、とても美味しいが、当然に値段も高い。
オレはバルベロに頼んでおいた割引を請求する。

「ここは、私が払っておくから大丈夫よ!」

バルベロはそう言って、カードで先払いをしてくれた。
どれだけ食べてもタダだという。

そう、バルベロのような優秀なアンドロイドは仕事も出来るため、給料もプロ野球選手や横綱レベルなのだ。
その分、二十四時間働き詰という過酷な労働条件でもあるのだが……。

せめて、無職やニートの働き口を取らない程度には頑張って欲しい。
これ以上労働条件が厳しくなると、無職やニートは餓死してしまうのだから……。
そう、問題なのは、アンドロイドではなく、雇う側の人間なのだ。

もしも優秀なアンドロイドを雇って、人間をゴミのように扱うのなら、いずれはその企業ごとゴミになるという事を肝に銘じておいて欲しい。

アンドロイドと人間、二つが仲良くしていくには、他人を思いやる気持ちが今よりも一層に必要なのだ。
オレ達はバルベロに感謝をし、食事をする事になった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

最後の女

蒲公英
恋愛
若すぎる妻を娶ったおっさんと、おっさんに嫁いだ若すぎる妻。夫婦らしくなるまでを、あれこれと。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている

井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。 それはもう深く愛していた。 変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。 これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。 全3章、1日1章更新、完結済 ※特に物語と言う物語はありません ※オチもありません ※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。 ※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。

処理中です...