【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第四章 白と黒の遭遇

第70話 恐るべき能力

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 シルビアさんと山口美香の戦いに、近くのカフェの店長が巻き込まれた。
シルビアさんの攻撃により急速冷凍され、山口美香のかまいたちにより首が切断される。
オレから見て、もう助からないと判断するが、一応指揮官のバルベロに救援を頼む事にした。
異次元世界での戦闘ならともかく、現実世界での殺人はやはり心に応える。

せめて被害を拡大させないようにしなければならない。
しかし、シルビアさんも山口美香も冷静さを欠いており、他人の事まで考えている余裕がない。
オレが他の人間を守らなければ、この辺一帯の人間が死んでしまうかもしれないのだ。
オレはわらをも掴む思いでバルベロに連絡する。

「バルベロ! カフェの店長が、シルビアさんの攻撃でバラバラに……」

オレは慌てているため、理解できない事を口走っていた。
この状況では、まるでシルビアさんがカフェ店の店長を殺した事になってしまう。
一応、殺したのは山口美香という女性なのだ。
シルビアさんは、一番重い罪でも傷害罪だろう。
バルベロは、オレの焦りを理解し、冷静に対応するように促す。

「落ち着いてください。
シルビアさんの攻撃魔法は、攻撃範囲と攻撃の多様性、破壊力も強いですが、生物を殺傷する能力にある程度の制限があります。
仮に、氷漬けにされ、五体バラバラに成っているとしても、命を助けることは可能です。
昔は不可能でしょうが、今の技術ならば蘇生は可能です。
その為に、シルビアさんを選んだのですから……」

「本当か? かなり絶望的に見えるが……。
首がね、ゴロンと落ちて転がったんだよ!」

「ええ、本当です。
液体窒素で生物を急速に冷凍したとしても、正しい方法と手順で治療すれば、蘇生可能という事を理科の実験なんかでもやっていますよね。
最近では、足の骨に癌がある場合でも、液体窒素で骨の癌細胞を殺せば数時間で退院できるレベルに液体窒素を使った医療技術は進歩しているのです。

今、カフェの店長が氷漬けでバラバラだとしても、氷を解かさずに保存状態を保つ事ができれば、身体縫合手術をして蘇生させる事ができます。
神経なんかも、筋肉との癒着に気を付ければ、ほぼ元通りに戻すことは可能です。

(作者の医学の知識は、指が切断された場合、筋肉との癒着をしなければ元に戻るというところまでです。
神経系が切断された場合は、今の科学技術でも回復は難しいでしょう。
今後の医学の発展に期待しています!)

マモル、まずはカフェの店長をタオルにくるんで、冷凍庫に入れておいてください。
数時間程度ならそれで蘇生できるはずです」

「分かった」

オレは急いでカフェの店長を言われた通りにして、冷蔵庫に保存しておく。
必ず助かると信じて。
オレが店長を助けている頃、シルビアさんと山口美香の戦いは激しさを増していた。
山口美香は、次第に身体のコントロールを理解していたようで、身体を様々な物に変化させて戦っている。
その戦い方が、氷だけを武器として戦うシルビアさんには厳しいようだ。

一旦、氷漬けにして捕らえたと思っても、すぐに火炎に変化して溶かされてしまう。
風や火炎攻撃、水系の攻撃には、シルビアさんの氷の防御で対応できていたが、山口美香が身体を鉄に変化できる事を知って戦況が一変する。
氷の分厚い壁も、身体を鉄に変えた鉄拳お前にはガラスの様にもろくなっていた。
シルビアさんの懸命の防御も、時間を稼ぐくらいしかできず、追い詰められていた。

「ふふふふふ、観念したらどう? 
あなたの氷攻撃は効かないし、あなたには私の攻撃を防ぐ手段も無い。
この勝負、私の勝ちよ! 
マモルさんを私に渡して、負け犬はさっさと他の雄犬を捜しに行きなさい! 
その方が賢明な判断よ!」

「黙りなさい、このクソガキが! 
私の吹雪攻撃を防いだくらいで良い気にならない事ね。
私にはまだまだ隠し技があるのよ!」

「へへーん、負け犬の遠吠えにしか聞こえない。
私を倒せるというのなら、さっさと隠し技とやらを使いなさいよ! 
どうせ、身体を凍らせるだけの単純技でしょ? 私には効果ないわよ!」

「いいえ。私の能力は本来二つ。
一つは、風魔法。もう一つは水魔法。
二つを極めたからこそ、今の氷魔法があるのです。

確かに、鉄は攻撃力も防御力もあり強力ですが、打ち破れない事はありません。
水は強力な圧力をかける事で、世界一硬いダイヤモンドですら切る力があるのです。
鉄も、その力を使えば破壊する事ができます」

「なるほど、でも惜しいわね。
仮に、鉄を切る事ができたとしても、私は身体を水や空気にする事ができるのよ。
多少再生に時間がかかるかもしれないけど、身体を切ることは不可能だわ!」

「確かに、あなたの能力は厄介です。
身体を切っても、また神経を繋ぎ合せて再生する事ができますからね。
何にでも物質変化できる以上、ほぼ無敵の能力と言っても過言ではありません。

しかし、身体を傷付けられればダメージも負うし、再生に精神力を使い切ってしまう。
要は、身体が再生できないだけのダメージを与えれば、精神力が無くなり再生できなくなります。

私の能力と少し違いますが、あなたも同じ精神力を使っている以上、不死身というわけではありません」

「何を言っているのかしら? 精神力? 負け惜しみじゃないのかしら?」

「まだ能力を身に付けたばかりで気付いていないのですね。
精神力が尽きた時の状況を。
魔術師にとって、精神力が尽きる事は死を意味します。

一流の魔術師なら、余力を残しておくものですが、あなたは成りたてでそれが分からないようね。
お姉さんがきついお仕置きをしてあげますよ。覚悟しなさい!」

「お姉さん? おばさんの間違いじゃない?」

「こいつ! 優しくしてあげれば付け上がって! もう手加減しませんよ!」

「来なさいよ、おばさん!」

お互いは、安い挑発により、辺り一帯を南極大陸の様な世界に変えていた。
シルビアさんの手加減無用の攻撃が始まろうとしている。
果たして倒せるのだろうか? 
そして、ほぼ荒れ地と化しているこの辺一帯の住人を救う事ができるのだろうか? 

被害は尋常ではないが、自然災害によりこのような世界になったのだ、とオレは誤魔化そうと思っていた。
住宅が二十軒ほど破壊されているからね。
オレとシルビアさんの稼ぎじゃあ、一軒の家も修繕する事ができない。
荒れ地と化した住宅地のド真ん中で、シルビアさんと山口美香の戦いは激化していた。

「喰らいなさい。まずは、布石の氷の剣!」

シルビアさんは、氷によって剣を無数に作り出していた。
剣の一本一本が、高い純度を誇り水晶の様に透き通っている。

「な、まるでガラスの様に透き通っている美しい氷。
でも、それでも私を傷付ける事は出来ないわ!」

シルビアさんの氷に対抗し、山口美香は身体全身を鉄に変化させた。
これがおそらく最も防御力が高い形態なのだろう。

「確かに、この氷の剣だけではあなたを倒せないでしょうね。
しかし、極限まで磨き上げられた氷。強度は今までとは比べ物にもなりません。
そして……」

シルビアさんの周りで竜巻の様な暴風が発生する。
氷の剣は、その暴風に巻き込まれ、生き物の様に山口美香を切り裂き始めていた。

「くうう、鉄になっているから無駄よ! 
確かに、一撃一撃の威力は上がっているようだけどね!」

暴風と氷の剣の攻撃を受けても、山口美香は無事の様だ。
鉄となった身体に、氷の剣が当たり、氷の剣はガラスの様に細かく削れていく。
やはり、山口美香の能力が上の様だ。

「氷の剣でも倒せませんか……。
しかし、身体をずっと鉄に変えていないと、この暴風の攻撃は防げませんよね。

このままゴリ押しで体力勝負に持ち込めば、精神力の少ないあなたを倒す事は出来ます。でも、私はそんな優しくありませんよ♡」

シルビアさんは恐ろしい笑顔でそう言った。
抑えていたドS心が現れたのだろう。
こうなってしまえば、山口美香は子供も同然だ。
相手の弱点を突いて来て、オレのドM心を満足させてくれるのだ。

ドMではない山口美香には辛いだろうけど……。
山口美香が何とかシルビアさんの攻撃に耐えていると、突然彼女の身体が崩れ始めた。
よく見ると、身体が茶色っぽくなっている。
これは一体……。

「バカな! 私の身体が少しずつ削れていく。
何をしたのよ、この雌犬!」

「ふふふ、犬じゃありませんよ。どちらかと言うと白豹が良いです。
猫の様に可愛く、豹の様に速い。それでいて密林の王者ですからね。
私のイメージにはぴったりかしら?」

「テメ―なんか、白犬で十分だ!」

「あーん、身体を削り取って、ゴミにして欲しいですって? 分かりましたよ」

シルビアさんは風の威力を強めると、急激に山口美香の身体が崩れ始める。
まるで乾燥したビスケットの様だ。

「ちょっと待って! なんで鉄の身体を崩す事ができるのよ。無敵状態のはずなのよ!」

「ハハ―ン、鉄の身体から他の物質に変化できないから焦っていますね。
身体を別の物に変えれば、そこが攻撃されますからね。
最強の防御状態を保たなければなりません。
でも、その状態でも攻撃を耐えきっていないからうろたえ始めた。
あーん、可愛いですよ、美香ちゃん♡」

シルビアさんはゾクゾクして身体を震わせていた。
こうなってしまったら、もう勝負は決まっている。
この状態のシルビアさんに対抗できるのは、オレくらいの者だ。

「風と水、二つを分けて考えれば、なぜあなたの身体が崩れていくか分かるはずですよ。さあ、理科の授業時間です。正解したら、命だけは助けてあげますよ♡」

「くっそう、余裕ぶりやがて……」

「あらあら、貴重な時間がどんどん削れていっちゃうわよ。身体ごと……」

こんな瀬戸際の状況で、まともに考えられるわけもない。
シルビアさんのドSモード全開の攻撃が続いていた。
さっきまでは、怒りの感情に満ちていたが、今は楽しそうに笑っている。
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