【オススメネット小説】秘められた異次元( シークレットディメンション) ムッツリスケベは異世界を救う!?

猫パンチ

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第四章 白と黒の遭遇

第71話 女の戦い? 激戦決着!

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 シルビアさんの攻撃により、山口美香は追い込まれていた。
質問に回答しなければ、命までも奪われてしまうかもしれない。
シルビアさんのドSモードは、山口美香にそう思わせるほどのプレッシャーを与えていた。

「ぐうう、無理……」

「え? 何ですって? 聞こえないですよ。風が強いですからね!」

シルビアさんは容赦しない。次は言葉で攻めるつもりだ。
山口美香の精神は、身体もろともボロボロだった。
シルビアさんは、相手の身体を気遣いながら攻撃しているのだろう。
徐々に攻撃していき、相手が降参した場合に攻撃の手を止めるのだ。

「ごめんなさい。許して……」

「は? 正解を結わなきゃ止めてあげる気が無いんですけど……」

山口美香は、口ではこう言っているが、心はまだ降参していないのだろう。
彼女の目から、戦う意思がなくなっていくのがわかる。
シルビアさんは更に焦らしながら攻撃していると、シルビアさんの攻撃を打ち消すかのような突風が吹き荒れた。

「さすがに、従業員の山口美香ちゃんを見捨てるのは忍びないわ。
正解は、水と風の力を使い、急激に鉄を酸化させているからでしょう。
いくら鉄が強くても、酸素と結びついてしまえば脆くなる。

攻撃力だけにとらわれない、柔軟な攻撃は見事ね。
あなたなら、私のライバルになり得るかも……。
強敵と書いて友達とも読める、そんなライバルに……」

黒沢エレンが、シルビアさんの風を止めていた。
どうやら異次元空間に潜んでいたらしい。

「この友達のいない悲しい女が! 
お茶飲み友達なら他を捜しなさい! 
強敵と書いて友達と呼び様な奴は、孤独な悲しい奴って決まっているのよ!」

「くう、私の痛い所をピンポイントで……。この子、私以上のドSだわ!」

「ふん、自分をドSとか、天然系とか言っている奴は、そういうキャラクターを作っている子供なのよ! 
それに、私のどこがドSよ。
私は子供にも優しいお姉さんキャラなんだよ」

「相手をじわじわ殺すようなタイプのどこが優しいお姉さんなのよ。
キャラクターになり切っていないじゃない」

シルビアさんと黒沢エレンの攻撃は、互角であり相殺していた。

「ちい、互角か……。こっちはもう精神力が無いって言うのに……。これ以上は……」

シルビアさんがそう弱音を吐くと、黒沢エレンは戦わない事を誓う。

「今ここでは決着を付ける気はないわ。
ただ、山口美香ちゃんを助けたかっただけ。
ほら、山口美香ちゃんは精神力が尽きて眠っているでしょう。

これ以上攻撃したら死んでしまうわ! 
丁度身体が再生し、眠り状態になった所を止めてあげたのよ。
二、三日は目覚めないけど、目覚めたらまた暴れ出すわよ。
今度はどうするつもりかしら?」

黒沢エレンはそう言い残して消えた。
オレの目の前にあるのは、白銀の世界と眠っている少女。
疲れて動くのがやっとの愛する妻だけだった。
しばらくボーっと眺めていたオレだったが、カフェの店長の事を思い出し救出に向かう。
一番の被害者だったが、果たして蘇生できるのだろうか? 

バルベロに言われた措置をとり、カフェの店長、山口美香を連れてバルベロのいる巨大な施設まで連れて来た。
ここなら、最新医療も備わっているし、バルベロと一緒に山口美香の状態も観察する事ができる。

バルベロは、悟をシルビアさんに返し、本来の仕事に戻る。
バルベロは、今回オレ達が山口美香を連れて来た事はかなりの成果だと言う。
バルベロは、山口美香を観察しながら語り出した。

「黒沢エレン。そいつこそが、私達日本政府が警戒している人物です。
数十年前に日本の村を崩壊させ、ある出来事をきっかけにより異次元空間を作り出す事に成功。
以来、日本政府はこいつの事を毛嫌いしているのです。
見た目は普通のハーフのお姉さんですが、中身は凶悪な犯罪者扱いとなっています。
まあ、能力だけでも警戒されて当然ですけど」

「ほう、それでオレ達が調査していたわけか。
アジトの場所だいたいも分かったし、十分な準備すれば迎え撃てるわけだな!」

「そうですが、彼女はかなりのキレ者なんです。
私の情報収集能力でも上手く掻い潜られてしまったり、見つけても逃げられてしまったり……。
存在自体が神出鬼没に等しいのです。
しかし、この山口美香は、エレンの能力の一部を得ています。
それを調べる事ができれば、彼女の能力も分かるはずです」

「時間はかなり短いぞ。山口美香が起きたらまた暴れ出すかも……。
物質変化能力を使われたら、拘束は困難だと思う」

「そうですね。でも、こちらも対策を取っていないわけではありません。
今、カフェの店長の蘇生手術をしている人物は、黒沢エレンと同等以上の天才科学者ですから。
彼と協力すれば、山口美香をただの人間に戻す事も出来ますよ。
それができるようになれば、黒沢エレンを捕らえる事も出来るかもしれません」

「手術が終わるまでどのくらいかかる?」

「せいぜい三時間くらいでしょう。
首と胴体を繋げば、後は他の人物でも何とかできますから」

「そうか、よくなってくれると良いけど……」

カフェの店長は、バルベロの手配した医師の手により、無事に蘇生し、リハビリをした結果、数日後に仕事に再開できたという。
ただ、元々人気が無かった店だった為、数週間後に潰れてしまったそうだが……。
シルビアさんの特訓により、何とか生計を立てられるようになったのは別の機会にしよう。

カフェの店長の治療手術も無事に終了し、数十時間後にバルベロからその人物を紹介された。
どうやら山口美香の調査も終わり、彼女を元に戻す薬の試作品も完成したらしい。
オレとシルビアさん、バルベロとその科学者で話し合う事になった。

「マモル、シルビア、こちらが天才科学者兼名医のジ―クです。
お二人とも、面識はないのでしょうが、間接的に知り合っています。
シルビアさんの妹・キーリアが巨大なドラゴンを作り出しましたけど、その怪しい薬を作ったのが彼なのです。

生物学の天才科学者『ジ―ク・ブラットソン』です。
彼は黒沢エレンの知り合いでもあり、彼女以上に生物学に詳しいのです。
キーリアと幸せな家庭を作るという事を条件に、彼と協力する事ができました。

うまく薬が完成していれば、あなた達の義理の弟になります。
キーリアも惚れていたようですし、何の問題も無いかと……」

「いや、嵐山火焔とかの問題があるだろ。
彼はキーリアの為に変態のロリコンにまで成り下がったんだぞ!」

キーリアと嵐山火焔は付き合っていた。
それを無理矢理引き離すのは忍びない。
それでオレはそう抗議した。
しかし、バルベロは残念な結果を教えてくれる。

「嵐山火焔なら問題ありません。
最近知り合ったロリコン殺しのエルフ・メノウ(元レッドキャップと言う敵だった)と結婚の約束をしていましたから。

ふふ、嵐山の様な堅気で誠実な奴は、肉体関係を持ったと疑うと責任を取らなきゃいけないと結婚を真面目に考えるから、操るのに楽なのよね。
あっさりと信じちゃって可愛いわ。

結婚式は二週間後よ!
キーリアとジ―ク、嵐山とメノウ、オーガとアビナの三人同時結婚式よ。
安上がりだし、予定も一度で便利よね!」

「一気に終わらせる気だな。まあ、準備が楽で助かるけど……」

オレとバルベロが話し合っていると、ジ―クが話しかけて来た。

「では、そろそろキーリアとお茶タイムなので失礼するよ。
完成した薬はこれだ。山口美香に飲ませて様子を見る事だ。
身体が変化しなければ完成だ。じゃあ、私はここで失礼するよ!」

ジ―クは急いで帰って行った。若さ溢れる彼女とのデートだ。
ジ―クは見た目二十代後半、キーリアは十六歳前後。
デートが待ち遠しいのも頷ける話だ。

 ジ―クが部屋を出て行き、オレとシルビアさん、バルベロだけになった。
山口美香はまだオレ達の前で眠っている。相当疲労したのだろう。
二日間は眠りっぱなしだ。しばらく沈黙が続いていたが、シルビアさんがそれを破った。

「山口美香さんは、大丈夫なんですよね。
そろそろ起こして、いろいろ訊き出した方が良いのではないでしょうか? 
体力が完全に回復した上、薬が失敗したとなれば、この研究所も危険に成りますから。
ある程度体力がない状態の方が戦闘においても有利ですし……」

「まあ、戦闘になる事はないと思いますけど。
彼女がマモルを誘惑したのも、元に戻ろうとしていた事が原因のようですし。
仲間に引き入れたいけど、彼女の性格が分からない事には何とも言えないし……」

「とりあえず叩き起こしてみますか?」

「お手柔らかにお願いします!」

シルビアさんは言葉とは裏腹に、優しく山口美香を起こす。

「うう、ここは……」

「秘密の研究所よ。喋ってはダメ!」

そう言うと、シルビアさんは山口美香の服の胸を開ける。
なんで、そんなことするんだ?

「こ、これは……」

シルビアさんは、平らな荒野を見て愕然としている。

「Aカップか……。やけに小さいから男かと思ったけど、女の子だったわね」

シルビアさんは、山口美香を男と疑っていたようだ。
童顔であり、一見すると男の様なショートカット。
胸も無いから、男の子と見間違えても無理はない。

この容姿が、山口美香が就職できない最大の理由だった。
年齢と性別不詳は、警察のご厄介になる危険も高い。
多くの企業がそれを危惧し、起用に踏み出せないでいたのだ。

おそらく履歴書もまともに書かれていない事も原因だろう。
学校の試験で履歴書の書き方なんて少ししか習わないし、書けて当然という流れだから仕方ない。
自分を正直に書けば落とされ、マニュアル通りの書き方を強いられる世の中が悪いのだ。
この問題を解決するには、ハローワークの就職支援学校に三カ月行くしか方法がない。

以前は人が一杯で入る事さえ難しかったが、今ではニートは優先で入れる世の中になっている。
少しでも生活を変えたいと思うニートは、ここを申し込んでみて欲しい。
思わぬ出会いがあるかもしれないのだから。
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