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第十ニ章 VS四天王のリーダー・熊童子
第九十一話 子狐丸の次元能力!
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ニ階にいる真槍ちゃんとゆたかも身体が冷えて来ていた。
「まさか、冷菓の能力にこんな罠が仕掛けられているなんてね。
氷の攻撃に注意して避けて、徐々に追い詰めても、寒さに寄って動きを封じられる。
恐ろしいほど考えられた戦い方だわ。
氷による戦い方もバリエーションが豊富だし、ちょっと対抗策も思い付かないわね」
「まあ、ほとんどの敵は、寒さを感じる前にやられるだろうからね。
気付かないのも無理はない! 寒い、寒い、お茶!」
温度は、上から下に冷たくなっていくものだが、オレ達の戦いの規模が大きく、二階にいる真槍ちゃん達も寒さを感じ始めていた。
ゆたかは、自慢のIPETシリーズを出し、寒さ対策をする。
「この猫型IPETウラランには、ヒーター機能が付いている。
近くにいるだけで寒さを防ぐ事が可能!」
「あっ、本当だ! 暖かい」
真槍ちゃんとゆたかは、ウラランによって暖まっていた。
オレにも欲しい能力だが、真槍ちゃん達はオレの状態を気遣ってくれなかった。
熊童子とオレの一騎打ちの戦いだからか、オレに手を貸す事もしない。
オレが寒さで震えているから、熊童子自身も寒いはずなんだ。
そう思ってオレは熊童子を見るが、寒さで震えている様子は無い。
おそらく自分の周りの温度は、変わらない様にしているのだろう。
熊童子は、オレの視線に気が付き、その事を教えてくれる。
オレには、もう動く事が出来ない事を悟っているのだろう。かなり油断していた。
「ふふ、どうやらようやく寒さの恐ろしさに気が付いたようだね。
寒さで手足を動かす事も出来ないでしょう?
でも、ここまで戦えたのは、極少数だけです。
負けても問題ありませんよ、マモル君!」
熊童子は、冷菓の口調と笑顔を使って、オレにトドメを刺そうとしていた。
氷の剣を使い、ゆっくりとオレに近付いて来る。
残念ながら、オレにこの攻撃を避ける力は無かった。
寒さを耐えるだけで精一杯なのだ。オレは、時間稼ぎをする。
無駄だと分かっていても、つい言葉が出てしまった。
「お前は、なぜこの寒さの中を動けるんだ?」
「ふふ、氷が纏わり付いて、完全に動きが封じられたようですね。
呼吸をする事さえ、苦しいでしょう?
時間稼ぎは、あなたを苦しめるだけですからね。
良いですよ、答えてあげます。
私の能力は、風属性も含まれている。
だから、風の能力を使い、冷気を防いでいたんですよ。
例えで言えば、魔法瓶の様な保温層を作りだし、自分の周囲を囲っていたという所でしょうかね。私の次元能力自身は、それほど運動量を必要としない遠距離、中距離が得意の能力なのでね♡」
熊童子は、無邪気に笑い、オレに冷菓を思い出させた。
「では、そろそろ死んでくださいね♡」
熊童子は、氷の剣をオレの首目掛けて振り降ろす。
オレ自身には対策が無く、負けたと覚悟を決めた。目を閉じ、敗北を悟る。
すると、熊童子が騒ぎ始めた。
「何! 氷の剣が当たらない!」
近くで騒ぐ熊童子の声が気になり、オレは目を開ける。
すると、手に軽い火傷をしている熊童子を目撃した。
氷の剣は一瞬で蒸発し、熊童子が手を押さえて熱さに耐えていた。
オレが、何事が発生したかと思って周囲を確認すると、オレの周りの氷も解けていた。
オレの寒さも消え去り、暖かい空気がオレを包み込む。オレの前には、一匹の子狐が出現していた。そいつがオレを暖めてくれたようだ。
「ふう、世話が焼ける。僕を出現させるまで追い詰められるとは……。
本来なら助ける義理もないが、同じ剣同士で負けるのは嫌だからな!
加勢してやるぜ!」
「お前は、何だ?」
「僕は、子狐! まあ、人工精霊の様な物だ。本来は、戦いに加わらない。
今回は、僕の能力が必要みたいだから、特別に加勢してやるよ!
と言っても、温度を操るくらいだけどな!」
「ふん、寒さが防げるなら、大助かりだぜ!」
子狐は、周囲に炎を出し、オレの周りを温かくしていた。
その生物を見て、熊童子は言う。
「はあ、はあ、突然に火が起こる現象、これは狐火!
剣自体に炎属性があったとは……。ぬかったわ!」
熊童子は、オレから離れ、治療石を出す。
自分の手を治療し、火傷を治した。
そして、子狐とオレを挑発する。
「ふふ、不意を突かれたが、狐火は周囲を温める程度の力しかない。
俺の本気の氷攻撃には、大した防御も出来はしまい。
ここからが本当の勝負だな!」
熊童子は、言葉とは裏腹に炎攻撃を仕掛けて来た。
雷によって水を電気分解し、巨大な火炎を作り出す。
そして、風によってその火力を最大限に高めていた。
「ふふ、狐火の火力も合わさった大火炎を喰らって焼け死にするが良い、光宮マモル!」
大火炎は、オレと子狐を包み込み、跡形もなく焼き尽くした。
オレが立っていた場所には、何も無くなっていた。
熊童子は、その事を確認し、勝利の雄叫びを上げる。
「うおおおおお! やった! 勝ったぞ! 俺の勝利だ!」
「何を喜んでいるんだ?」
オレは、大火炎のエネルギーを使い、熊童子の背後へワープしていた。
子狐丸で死角から攻撃する。
「何! しまった、ワープ能力か!」
熊童子は慌てるも、何とかオレの攻撃を拳銃で受け止める。
氷の防御を使い、子狐丸の威力を落とした上で、拳銃によって確実にガードしていた。
例え不意打ちだとしても、氷によってガードされれば、威力は落ちる。
土属性が拳銃だけと侮っていたが、防御力としては厄介だった。
オレが攻撃前に言葉を発していたせいで、熊童子に防がれた事を子狐に注意される。
さすがに、その行動はうかつだった。折角の奇襲が、熊童子にバレバレになっていた。
「はあ、奇襲前に相手へ自分の居場所を知らせるなんて……。
暗殺は、出来ない性格なのかな?」
「すまん! どうしても声が出てしまうみたいだ!
やっぱり不意撃ちは、オレの性分には合わないみたいで……」
「なら、正々堂々と倒せよ!」
「ああ、真正面から打ち破ってやるさ!」
熊童子は、オレの攻撃を分析し、冷菓の記憶から攻撃方法を割り出した。
「なるほど。炎系や雷系は、貴様にワープ能力をされる危険があるという事か。
この場所には、龍脈の様なエネルギー源は無い。だから、ワープ能力はできないと思い込んでいた。
その事に捉われていただけに、突然ワープしたのは驚いたぞ!
だが、ネタがばれれば、防ぐのは簡単だ。要は、エネルギーになりそうな攻撃をしなければ良い。氷と打撃系で攻めれば、貴様はワープ出来まい!」
「ふん、まるでストーカーの様にオレの事を調べているな! オレのファンか?」
「一応、お前の妻だった記憶もあるんだぞ。
その記憶を辿っただけだ! 俺をストーカー呼ばわりするな!」
熊童子は、氷柱で地面を塞ぎ、オレの動きを封じ込めようとしていた。
オレは、子狐丸で周囲の氷を砕き、行動範囲を広げる。
半径ニメートルほどの間合いを確保した。
「ふふ、氷の攻撃は、もはや効かないか。なら、最強最速の攻撃をお見舞いしてやるよ!」
熊童子は、拳銃を構える。凸レンズの様に熊童子の姿が見える。
「ふん、どんな攻撃だろうと、その位置では氷が邪魔してオレには届かないぜ!」
「心配ご無用!」
熊童子の銃が光り、一気に氷を突き抜けて、オレを攻撃する。
オレの腹を突き抜け、後ろの氷も貫通する。
飛んで来た銃弾は、ただの銃弾だったようだが、恐るべきスピードを誇っていた。
爆発による銃弾でも、あそこまで速くなる事は無い。
オレは、腹にダメージを負うも、何とか軌道を見切り、致命傷だけは避けていた。
しかし、長丁場の戦いはできない。
腹からかなりの出血し、オレの意識を保っているのがやっとだった。
オレは、子狐丸を包帯状に変化させ、出血を防ぐ。
熊童子は、かなりの威力に驚きながらも、自分の勝利を確信していた。
オレに標準を定め、冷菓の声口調を真似て、ゆっくりと語り出す。
「ふふ、驚きましたか? これが私の開発した最強最速の攻撃『レールガン』ですよ。
集中力の消費は激しいですが、それに見合った威力です。では、マモル君、さようなら♡」
冷菓を真似た熊童子の攻撃が、オレに迫っていた。
地面にある氷は、銃弾の穴だけが綺麗に開いており、オレに狙いを定めているのがはっきりと分かった。
子狐丸といえど、あの攻撃を喰らえば、砕け散る事になるかもしれない。
オレは、微動もせず、熊童子が攻撃してくる瞬間を狙う。
熊童子は、人間特有の衝動を持っており、氷の穴が開いた場所を再び狙っている。
別の場所を狙っても良いはずなのに、オレが動かない為に全く同じ場所を狙う。
銃使いにとってワンホールショットは理想的な勝ち方なのだ。
オレは、熊童子が引き金を引く瞬間を狙い、子狐丸を細い棒状に変化させた。
氷の開いた穴は、引き込まれる様に子狐丸を通し、熊童子の銃口まで運んでくれる。
熊童子が、銃口が塞がった事を悟ったのは、銃を発射した後だった。
銃が暴発し、オレと熊童子を攻撃する。
超精密射撃が仇となり、熊童子は銃の爆発で後ろに吹っ飛んでいた。
オレは、覚悟していた為、何とか攻撃を避ける事が出来た。
オレは、血を流しながらも、熊童子に近付く。
子狐丸も銃の暴発に巻き込まれた事により、熊童子までの一本道が出来上がっていた。
熊童子は、自分がダメージを受けた事を悟り、治療石を出し、治療に専念していた。
「痛、まさか、銃口をあの距離から塞いで、銃を暴発させるとは思わなかった。
早く、治療しないと、意識が……」
何とか意識を保とうと必死に治療している熊童子を見付け、オレは熊童子を追い詰める。
「ひい! 光宮マモル、無事だったのか?」
血を流し、オレに脅える熊童子を目撃する。
頭では熊童子と分かっていても、血を流して倒れ込んでいるのは、冷菓の姿をしているのだ。オレは、熊童子の治療を優先させた。
「逃げなくて良い。それより、オレにも治療石をよこせ!」
「ひい、もうこれ一つだけだ!」
「くう、ここまでか……」
熊童子の治療石を無理矢理奪う事もできたが、オレはそうしようという気にならなかった。熊童子に倒れ込み、気を失っていた。
熊童子は、元の黒髪の女性に戻っていた。
「マモル君、私の治療を優先させて、自分が倒れるなんて……。
ふふ、光宮冷菓の変化が解けたのに、俺を惚れさせるとはな。
俺もおかしくなったものだぜ」
熊童子も自分の応急処置を終えたが、ダメージがでかく倒れ込んでいた。
オレの出血を止めようと、自分の治療石を使ったが、途中で意識が途切れてしまったようだ。
「まさか、冷菓の能力にこんな罠が仕掛けられているなんてね。
氷の攻撃に注意して避けて、徐々に追い詰めても、寒さに寄って動きを封じられる。
恐ろしいほど考えられた戦い方だわ。
氷による戦い方もバリエーションが豊富だし、ちょっと対抗策も思い付かないわね」
「まあ、ほとんどの敵は、寒さを感じる前にやられるだろうからね。
気付かないのも無理はない! 寒い、寒い、お茶!」
温度は、上から下に冷たくなっていくものだが、オレ達の戦いの規模が大きく、二階にいる真槍ちゃん達も寒さを感じ始めていた。
ゆたかは、自慢のIPETシリーズを出し、寒さ対策をする。
「この猫型IPETウラランには、ヒーター機能が付いている。
近くにいるだけで寒さを防ぐ事が可能!」
「あっ、本当だ! 暖かい」
真槍ちゃんとゆたかは、ウラランによって暖まっていた。
オレにも欲しい能力だが、真槍ちゃん達はオレの状態を気遣ってくれなかった。
熊童子とオレの一騎打ちの戦いだからか、オレに手を貸す事もしない。
オレが寒さで震えているから、熊童子自身も寒いはずなんだ。
そう思ってオレは熊童子を見るが、寒さで震えている様子は無い。
おそらく自分の周りの温度は、変わらない様にしているのだろう。
熊童子は、オレの視線に気が付き、その事を教えてくれる。
オレには、もう動く事が出来ない事を悟っているのだろう。かなり油断していた。
「ふふ、どうやらようやく寒さの恐ろしさに気が付いたようだね。
寒さで手足を動かす事も出来ないでしょう?
でも、ここまで戦えたのは、極少数だけです。
負けても問題ありませんよ、マモル君!」
熊童子は、冷菓の口調と笑顔を使って、オレにトドメを刺そうとしていた。
氷の剣を使い、ゆっくりとオレに近付いて来る。
残念ながら、オレにこの攻撃を避ける力は無かった。
寒さを耐えるだけで精一杯なのだ。オレは、時間稼ぎをする。
無駄だと分かっていても、つい言葉が出てしまった。
「お前は、なぜこの寒さの中を動けるんだ?」
「ふふ、氷が纏わり付いて、完全に動きが封じられたようですね。
呼吸をする事さえ、苦しいでしょう?
時間稼ぎは、あなたを苦しめるだけですからね。
良いですよ、答えてあげます。
私の能力は、風属性も含まれている。
だから、風の能力を使い、冷気を防いでいたんですよ。
例えで言えば、魔法瓶の様な保温層を作りだし、自分の周囲を囲っていたという所でしょうかね。私の次元能力自身は、それほど運動量を必要としない遠距離、中距離が得意の能力なのでね♡」
熊童子は、無邪気に笑い、オレに冷菓を思い出させた。
「では、そろそろ死んでくださいね♡」
熊童子は、氷の剣をオレの首目掛けて振り降ろす。
オレ自身には対策が無く、負けたと覚悟を決めた。目を閉じ、敗北を悟る。
すると、熊童子が騒ぎ始めた。
「何! 氷の剣が当たらない!」
近くで騒ぐ熊童子の声が気になり、オレは目を開ける。
すると、手に軽い火傷をしている熊童子を目撃した。
氷の剣は一瞬で蒸発し、熊童子が手を押さえて熱さに耐えていた。
オレが、何事が発生したかと思って周囲を確認すると、オレの周りの氷も解けていた。
オレの寒さも消え去り、暖かい空気がオレを包み込む。オレの前には、一匹の子狐が出現していた。そいつがオレを暖めてくれたようだ。
「ふう、世話が焼ける。僕を出現させるまで追い詰められるとは……。
本来なら助ける義理もないが、同じ剣同士で負けるのは嫌だからな!
加勢してやるぜ!」
「お前は、何だ?」
「僕は、子狐! まあ、人工精霊の様な物だ。本来は、戦いに加わらない。
今回は、僕の能力が必要みたいだから、特別に加勢してやるよ!
と言っても、温度を操るくらいだけどな!」
「ふん、寒さが防げるなら、大助かりだぜ!」
子狐は、周囲に炎を出し、オレの周りを温かくしていた。
その生物を見て、熊童子は言う。
「はあ、はあ、突然に火が起こる現象、これは狐火!
剣自体に炎属性があったとは……。ぬかったわ!」
熊童子は、オレから離れ、治療石を出す。
自分の手を治療し、火傷を治した。
そして、子狐とオレを挑発する。
「ふふ、不意を突かれたが、狐火は周囲を温める程度の力しかない。
俺の本気の氷攻撃には、大した防御も出来はしまい。
ここからが本当の勝負だな!」
熊童子は、言葉とは裏腹に炎攻撃を仕掛けて来た。
雷によって水を電気分解し、巨大な火炎を作り出す。
そして、風によってその火力を最大限に高めていた。
「ふふ、狐火の火力も合わさった大火炎を喰らって焼け死にするが良い、光宮マモル!」
大火炎は、オレと子狐を包み込み、跡形もなく焼き尽くした。
オレが立っていた場所には、何も無くなっていた。
熊童子は、その事を確認し、勝利の雄叫びを上げる。
「うおおおおお! やった! 勝ったぞ! 俺の勝利だ!」
「何を喜んでいるんだ?」
オレは、大火炎のエネルギーを使い、熊童子の背後へワープしていた。
子狐丸で死角から攻撃する。
「何! しまった、ワープ能力か!」
熊童子は慌てるも、何とかオレの攻撃を拳銃で受け止める。
氷の防御を使い、子狐丸の威力を落とした上で、拳銃によって確実にガードしていた。
例え不意打ちだとしても、氷によってガードされれば、威力は落ちる。
土属性が拳銃だけと侮っていたが、防御力としては厄介だった。
オレが攻撃前に言葉を発していたせいで、熊童子に防がれた事を子狐に注意される。
さすがに、その行動はうかつだった。折角の奇襲が、熊童子にバレバレになっていた。
「はあ、奇襲前に相手へ自分の居場所を知らせるなんて……。
暗殺は、出来ない性格なのかな?」
「すまん! どうしても声が出てしまうみたいだ!
やっぱり不意撃ちは、オレの性分には合わないみたいで……」
「なら、正々堂々と倒せよ!」
「ああ、真正面から打ち破ってやるさ!」
熊童子は、オレの攻撃を分析し、冷菓の記憶から攻撃方法を割り出した。
「なるほど。炎系や雷系は、貴様にワープ能力をされる危険があるという事か。
この場所には、龍脈の様なエネルギー源は無い。だから、ワープ能力はできないと思い込んでいた。
その事に捉われていただけに、突然ワープしたのは驚いたぞ!
だが、ネタがばれれば、防ぐのは簡単だ。要は、エネルギーになりそうな攻撃をしなければ良い。氷と打撃系で攻めれば、貴様はワープ出来まい!」
「ふん、まるでストーカーの様にオレの事を調べているな! オレのファンか?」
「一応、お前の妻だった記憶もあるんだぞ。
その記憶を辿っただけだ! 俺をストーカー呼ばわりするな!」
熊童子は、氷柱で地面を塞ぎ、オレの動きを封じ込めようとしていた。
オレは、子狐丸で周囲の氷を砕き、行動範囲を広げる。
半径ニメートルほどの間合いを確保した。
「ふふ、氷の攻撃は、もはや効かないか。なら、最強最速の攻撃をお見舞いしてやるよ!」
熊童子は、拳銃を構える。凸レンズの様に熊童子の姿が見える。
「ふん、どんな攻撃だろうと、その位置では氷が邪魔してオレには届かないぜ!」
「心配ご無用!」
熊童子の銃が光り、一気に氷を突き抜けて、オレを攻撃する。
オレの腹を突き抜け、後ろの氷も貫通する。
飛んで来た銃弾は、ただの銃弾だったようだが、恐るべきスピードを誇っていた。
爆発による銃弾でも、あそこまで速くなる事は無い。
オレは、腹にダメージを負うも、何とか軌道を見切り、致命傷だけは避けていた。
しかし、長丁場の戦いはできない。
腹からかなりの出血し、オレの意識を保っているのがやっとだった。
オレは、子狐丸を包帯状に変化させ、出血を防ぐ。
熊童子は、かなりの威力に驚きながらも、自分の勝利を確信していた。
オレに標準を定め、冷菓の声口調を真似て、ゆっくりと語り出す。
「ふふ、驚きましたか? これが私の開発した最強最速の攻撃『レールガン』ですよ。
集中力の消費は激しいですが、それに見合った威力です。では、マモル君、さようなら♡」
冷菓を真似た熊童子の攻撃が、オレに迫っていた。
地面にある氷は、銃弾の穴だけが綺麗に開いており、オレに狙いを定めているのがはっきりと分かった。
子狐丸といえど、あの攻撃を喰らえば、砕け散る事になるかもしれない。
オレは、微動もせず、熊童子が攻撃してくる瞬間を狙う。
熊童子は、人間特有の衝動を持っており、氷の穴が開いた場所を再び狙っている。
別の場所を狙っても良いはずなのに、オレが動かない為に全く同じ場所を狙う。
銃使いにとってワンホールショットは理想的な勝ち方なのだ。
オレは、熊童子が引き金を引く瞬間を狙い、子狐丸を細い棒状に変化させた。
氷の開いた穴は、引き込まれる様に子狐丸を通し、熊童子の銃口まで運んでくれる。
熊童子が、銃口が塞がった事を悟ったのは、銃を発射した後だった。
銃が暴発し、オレと熊童子を攻撃する。
超精密射撃が仇となり、熊童子は銃の爆発で後ろに吹っ飛んでいた。
オレは、覚悟していた為、何とか攻撃を避ける事が出来た。
オレは、血を流しながらも、熊童子に近付く。
子狐丸も銃の暴発に巻き込まれた事により、熊童子までの一本道が出来上がっていた。
熊童子は、自分がダメージを受けた事を悟り、治療石を出し、治療に専念していた。
「痛、まさか、銃口をあの距離から塞いで、銃を暴発させるとは思わなかった。
早く、治療しないと、意識が……」
何とか意識を保とうと必死に治療している熊童子を見付け、オレは熊童子を追い詰める。
「ひい! 光宮マモル、無事だったのか?」
血を流し、オレに脅える熊童子を目撃する。
頭では熊童子と分かっていても、血を流して倒れ込んでいるのは、冷菓の姿をしているのだ。オレは、熊童子の治療を優先させた。
「逃げなくて良い。それより、オレにも治療石をよこせ!」
「ひい、もうこれ一つだけだ!」
「くう、ここまでか……」
熊童子の治療石を無理矢理奪う事もできたが、オレはそうしようという気にならなかった。熊童子に倒れ込み、気を失っていた。
熊童子は、元の黒髪の女性に戻っていた。
「マモル君、私の治療を優先させて、自分が倒れるなんて……。
ふふ、光宮冷菓の変化が解けたのに、俺を惚れさせるとはな。
俺もおかしくなったものだぜ」
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