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第十四章 過去と現在の対決!
第百七話 恐るべき怪物モロクとの決戦!
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重々しい足音を立て、威圧感を出しながら確実にオレ達の近くへ迫って来ていた。
オレ達は息をひそめ、壁の角から来る人物に注意を集中する。
壁越しでも重苦しい空気を感じ取れる。
角を曲がり出会ったのは、背の高い老人だった。優に八十歳は超えているだろう。
にこやかな表情をしてゆっくりと歩いている。
冷菓の状態を確認し、こう喋り出した。
「おや、その女性は怪我をしているのかね?
どれどれ、わしが手当てしてあげようか?」
オレは、思いもがけない人物の登場により、完全に面喰らっていた。
こんな老人では、オレ達に危害を加えるはずもないと……。
老人は、よろけつつ、オレにおぶさっている冷菓に近寄ってきた。
親切心で冷菓に近付くのは良いが、このヨボヨボ具合では、頼りになりそうもないし、不安が増すばかりだ。
「爺さん、助けてくれようとしている心使いは嬉しいが、オレ達はもう帰るところなんだ。帰って、冷菓をちゃんとした医者に見せて治療してもらうよ。心配しなくて良いよ」
「そんな、わしを無下にせんでくれよ。これでも名医だったんじゃぞ!
少し茶でも飲んで、ゆっくりしていきなさい」
「いや、やっぱり帰りますよ」
相手は爺さんだけに、強く断る事ができない。
しかし、あまりのしつこさに不安を抱いた。
姫状瑠璃が、爺さんを見て警告する。ゆっくりとだが、強い口調でこう言った。
「離れなさい、マモル。こいつこそが、キメラカンパニーの社長・黒沢勝昭よ。
見た目は、ヨボヨボの爺だけど、中身は醜悪なケダモノよ。
(実際のモデルは、立派で優秀な校長先生だったよ。
普段は、学校で見かける事もなく、朝礼の時だけ現れるミステリアスな存在。
校長を倒して、その椅子に座ろうとするのは、小学生なら誰もが考える事だ。
その為、今回のボスにしました。
本物の勝昭さんは、良い人だから攻撃すると、君が警察に捕まるから注意!)」
黒沢勝昭は、瑠璃の声を聞き、醜悪なオ―ラを纏い始めた。
オレは、さっきまで感じた邪悪なオーラが、黒沢勝昭の物である事を知る。
自然と空間を保たなければならないと思うほど、空気の変わりが明確だった。
オレは、警戒しながら勝昭と話し始める。
「こいつがキメラカンパニーの社長だったのか。
動物達を虐待して、亜人種を残虐に扱う会社を産み出した人物なのか。
よくも平気でそんな事できるな?」
勝昭は開き直った態度を取る。
そこには、ヨボヨボの善良なお年寄りの姿は無い。
「ふん! ばれてしまっては、惚ける演技も意味がいないな。仕方ない。
そうだ、俺がキメラカンパニーの社長・黒沢勝昭だ。
この会社の方針が気に入らないようだが、それは仕方のない事ではないか?
全ての人物の主要を満たす会社などできるはずはない。
ある特定の顧客を対象に、必要な商品や情報を提供するだけだ。
医療関係や生物学方面では、大変喜ばれているぞ。
君達も、直に飛行機や自動車に乗るだろう。
その乗り物でさえ、俺の会社で開発された技術を用いているのだ。
いわば、少しの顧客の主要を満たした事で、全世界の主要も満たす事ができたのだ。
俺に意見するのなら、それなりの成果を上げてもらわねばなるまいな。
お前は、何億人の主要を満たしているのだ?」
「ふふ、オレとオレの家族だけだ。でも、それで良いと思っている。
その幸せを阻む物は許さないけどな。妻の冷菓が、お前の会社で深く傷付いた。
身体の傷じゃない、心の傷になったんだ。だから、お前の会社に改善を願い求める!」
「ふん、その背負っている娘か?
俺の憎い女によく似ているわ。
俺は、その娘を傷付けて、傷付けて、壊してしまいたいとさえ考えている。
まあ、憎い女の代用品としてな。
どうせ無関係ではあるまい?
そこのアンドロイドも、俺の愛した妻にそっくりだしな!」
「お前は、何を言っている?」
意味が分からず、戸惑っているオレに、姫状瑠璃は説明しながら語り出した。
「黒沢勝昭の言う憎い女とは、黒沢エレンの事です。
実は、キメラカンパニーの初期ともなる小さな研究所で、黒沢エレンのDNAを使ったクローン人間を誕生させようとしていたのです。
利用目的は様々ですが、姿形の似た人間を作り出し、残虐に扱うつもりだったのでしょう。私が研究員からDNAと研究技術を取り上げましたが、すでに数体のクローン達が出来上がっていました。
そこで仕方なくアルスター王国を作り、異次元世界で子孫を繁栄するようにさせたのです。クローン達は、様々な自然を操るすべを会得していましたからね。
少なからず、黒沢エレンの知識と頭脳を得ていたのでしょう。
そして、クローンと王族との間に生まれたのが、シルビアさん(光宮冷菓)とキーリア(光宮光子)だったわけです。
よって、冷菓が黒沢エレンと似ていても問題はありませんよ。
事実上の祖母みたいな者ですから……。
まあ、黒沢エレンは、姉妹に思われたいとほざいていましたけど……」
黒沢勝昭は、瑠璃の言葉を聞き、勝手に納得していた。
オレと冷菓は、状況がいまいち呑みこめていない。
「なるほどな。王族とクローンでは、次第に血が濃くなり危険となる。
だから光宮マモルを連れて来たわけか?」
「何の事かしら?」
姫状瑠璃は、オレから視線を逸らして黙り始めた。
状況はよく分からないが、要は黒沢エレンが嫌いで、様々な動物や人間を酷く扱っている事は事実だった。
オレは、冷菓を背中から下ろし、黒沢勝昭に勝負を挑む事にした。
こいつをここで野放しにしておいては、また多くの生物達が無残に殺される。
そして、黒沢エレンと冷菓にも危険が及ぶかもしれない。
「オレは、お前をここで倒し、くだらない研究をストップさせてやる。
今日がお前の退職日だ!」
黒沢勝昭は、オレの挑発を受け、勝負する気になったようだ。
「ふん、若造が……。丁度良い、実験の腕試しをしてやるわい。見るが良い!
俺の体は、もはや生物を超越した幻想世界のモンスターとなったのだ!」
黒沢勝昭は、四つの腕と牛の頭を持つ怪物に変化していた。
筋肉も若々しくなり、一撃でも殴られれば、人間の命を奪ってしまうかもしれないと思わせるほどの腕力を有していた。
「ふふふ、これは、モアブ人が崇拝したモロクという古代の神だ。
聖書の中では、宇宙の創造者にその崇拝行為自体さえ毛嫌いされ、嫌悪すべき敵として登場していたが、次第にイスラエル人に崇拝されるようになった。
長子の命と引き換えに、信者に力を与えられると考えられていたそうだ。
古代のイスラエル王達でさえ、こいつに犠牲として子供を捧げたそうだ。
なぜ、大切な長子を犠牲として捧げたのであろうか?
俺が思うに、俺とエレンの様な関係だと考え出した。
エレンは、俺の妻の子だが、俺の子供ではない。
不義によって生まれ出た子供だ。
そういう疑惑が度々起こり、最初は習慣として長子を捧げるようになった。
つまり、俺がエレンを殺したいほど恨むのは当然という事なんだ!
そして、そこにいる女も、アンドロイドも共に始末する。
まあ、殺す必要はない。俺の玩具として研究資料になってもらおう。
光宮マモルと黒沢弘毅は、俺が実験や改造するところを黙って見ているが良い。
それこそが俺の求めた復讐なのだ!」
「ふん、神の名を語ったモンスターになったところでオレに勝てるはずもない。
爺さんは、研究を若者に引き継いで、引退した方が身のためだぜ。
どうせ耄碌して、良い考えも浮かんでは来ていないだろう?
アルファベットや英語読みの単語が分からないんじゃないのか?」
「ふん、研究者とは、生涯現役で居続け、常に新しい事を求める者だ。
俺を引退させたいなら、死ぬほどのダメージを与えるしかないな。
もっとも、それができたらの話だが……」
「やってやるぜ。オレも丁度新技を試してみたかったところだしな!」
オレと黒沢勝昭のバトルが始まろうとする中、姫状瑠璃だけがオレの発言を聞き、同情を現していた。
「マモル、最近は、英単語やカタカナ言葉に弱くなっていたわね。
そろそろ引退かしら?
本人も望んでいるから仕方ないけど……」
「僕が、母さんと瑠璃を助けるよ!」
九歳の悟は、子供ながらに母親の冷菓と一番仲の良い女の子の瑠璃を守ろうとしていた。
こんな小さな体では、勝昭に対抗する事は不可能だが、懸命に女の子を守ろうとする姿は微笑ましくも誇らしくもあった。
「まあ、悟。私は、その言葉を聞けてとても嬉しいわ!」
瑠璃と悟は、手を握り合い、怪しい関係を露わにしていた。
オレは、そんな事も露知らず、黒沢勝昭とのバトルに集中し始める。
二人の間の空気が重くなり、実力者同士の対決である事が感じられた。
先に攻撃を仕掛けたのは、黒沢勝昭の方だった。四本の腕を使い、オレを攻撃する。
オレは、ワープ能力を使い攻撃を回避するが、オレのいた場所付近の壁に巨大な穴を開ける。瓦礫が派手に飛び、頑丈な石の壁がベニヤ板の様に簡単に破壊された。
一撃でもまともに喰らえば、生身の体は一溜まりもない。
おそらく牛の腕力をキメラ化して、筋力をアップしているのであろう。
黒沢弘毅とエレンの研究も密かに取り入れているようだ。
「くっくっく、下半身くらいは無くなっても支障はあるまい?
俺と冷菓とかいう小娘の実験をじっくり観察するが良い。
彼女の子供をキメラ化するという実験を思い付いた。
俺の精子と結合させ、世界最強の怪物を作り出すとするか。
美しくもあり、強さも兼ね備えた女の子が望ましいな。
実験工程の一部始終を観察させてやるぞ!」
「ふん、実験という名のオブラートに包んだ変態爺だったか。
世の中の為、生物界の安全の為、オレと冷菓の幸せの為に、お前にはここで引退してもらう!」
「できるものならやってみろ!」
オレと黒沢勝昭とのバトルが白熱し始めていた。
負ければ、冷菓の体に謎の生物が宿る事になるのだ。
絶対に負けられない!
オレ達は息をひそめ、壁の角から来る人物に注意を集中する。
壁越しでも重苦しい空気を感じ取れる。
角を曲がり出会ったのは、背の高い老人だった。優に八十歳は超えているだろう。
にこやかな表情をしてゆっくりと歩いている。
冷菓の状態を確認し、こう喋り出した。
「おや、その女性は怪我をしているのかね?
どれどれ、わしが手当てしてあげようか?」
オレは、思いもがけない人物の登場により、完全に面喰らっていた。
こんな老人では、オレ達に危害を加えるはずもないと……。
老人は、よろけつつ、オレにおぶさっている冷菓に近寄ってきた。
親切心で冷菓に近付くのは良いが、このヨボヨボ具合では、頼りになりそうもないし、不安が増すばかりだ。
「爺さん、助けてくれようとしている心使いは嬉しいが、オレ達はもう帰るところなんだ。帰って、冷菓をちゃんとした医者に見せて治療してもらうよ。心配しなくて良いよ」
「そんな、わしを無下にせんでくれよ。これでも名医だったんじゃぞ!
少し茶でも飲んで、ゆっくりしていきなさい」
「いや、やっぱり帰りますよ」
相手は爺さんだけに、強く断る事ができない。
しかし、あまりのしつこさに不安を抱いた。
姫状瑠璃が、爺さんを見て警告する。ゆっくりとだが、強い口調でこう言った。
「離れなさい、マモル。こいつこそが、キメラカンパニーの社長・黒沢勝昭よ。
見た目は、ヨボヨボの爺だけど、中身は醜悪なケダモノよ。
(実際のモデルは、立派で優秀な校長先生だったよ。
普段は、学校で見かける事もなく、朝礼の時だけ現れるミステリアスな存在。
校長を倒して、その椅子に座ろうとするのは、小学生なら誰もが考える事だ。
その為、今回のボスにしました。
本物の勝昭さんは、良い人だから攻撃すると、君が警察に捕まるから注意!)」
黒沢勝昭は、瑠璃の声を聞き、醜悪なオ―ラを纏い始めた。
オレは、さっきまで感じた邪悪なオーラが、黒沢勝昭の物である事を知る。
自然と空間を保たなければならないと思うほど、空気の変わりが明確だった。
オレは、警戒しながら勝昭と話し始める。
「こいつがキメラカンパニーの社長だったのか。
動物達を虐待して、亜人種を残虐に扱う会社を産み出した人物なのか。
よくも平気でそんな事できるな?」
勝昭は開き直った態度を取る。
そこには、ヨボヨボの善良なお年寄りの姿は無い。
「ふん! ばれてしまっては、惚ける演技も意味がいないな。仕方ない。
そうだ、俺がキメラカンパニーの社長・黒沢勝昭だ。
この会社の方針が気に入らないようだが、それは仕方のない事ではないか?
全ての人物の主要を満たす会社などできるはずはない。
ある特定の顧客を対象に、必要な商品や情報を提供するだけだ。
医療関係や生物学方面では、大変喜ばれているぞ。
君達も、直に飛行機や自動車に乗るだろう。
その乗り物でさえ、俺の会社で開発された技術を用いているのだ。
いわば、少しの顧客の主要を満たした事で、全世界の主要も満たす事ができたのだ。
俺に意見するのなら、それなりの成果を上げてもらわねばなるまいな。
お前は、何億人の主要を満たしているのだ?」
「ふふ、オレとオレの家族だけだ。でも、それで良いと思っている。
その幸せを阻む物は許さないけどな。妻の冷菓が、お前の会社で深く傷付いた。
身体の傷じゃない、心の傷になったんだ。だから、お前の会社に改善を願い求める!」
「ふん、その背負っている娘か?
俺の憎い女によく似ているわ。
俺は、その娘を傷付けて、傷付けて、壊してしまいたいとさえ考えている。
まあ、憎い女の代用品としてな。
どうせ無関係ではあるまい?
そこのアンドロイドも、俺の愛した妻にそっくりだしな!」
「お前は、何を言っている?」
意味が分からず、戸惑っているオレに、姫状瑠璃は説明しながら語り出した。
「黒沢勝昭の言う憎い女とは、黒沢エレンの事です。
実は、キメラカンパニーの初期ともなる小さな研究所で、黒沢エレンのDNAを使ったクローン人間を誕生させようとしていたのです。
利用目的は様々ですが、姿形の似た人間を作り出し、残虐に扱うつもりだったのでしょう。私が研究員からDNAと研究技術を取り上げましたが、すでに数体のクローン達が出来上がっていました。
そこで仕方なくアルスター王国を作り、異次元世界で子孫を繁栄するようにさせたのです。クローン達は、様々な自然を操るすべを会得していましたからね。
少なからず、黒沢エレンの知識と頭脳を得ていたのでしょう。
そして、クローンと王族との間に生まれたのが、シルビアさん(光宮冷菓)とキーリア(光宮光子)だったわけです。
よって、冷菓が黒沢エレンと似ていても問題はありませんよ。
事実上の祖母みたいな者ですから……。
まあ、黒沢エレンは、姉妹に思われたいとほざいていましたけど……」
黒沢勝昭は、瑠璃の言葉を聞き、勝手に納得していた。
オレと冷菓は、状況がいまいち呑みこめていない。
「なるほどな。王族とクローンでは、次第に血が濃くなり危険となる。
だから光宮マモルを連れて来たわけか?」
「何の事かしら?」
姫状瑠璃は、オレから視線を逸らして黙り始めた。
状況はよく分からないが、要は黒沢エレンが嫌いで、様々な動物や人間を酷く扱っている事は事実だった。
オレは、冷菓を背中から下ろし、黒沢勝昭に勝負を挑む事にした。
こいつをここで野放しにしておいては、また多くの生物達が無残に殺される。
そして、黒沢エレンと冷菓にも危険が及ぶかもしれない。
「オレは、お前をここで倒し、くだらない研究をストップさせてやる。
今日がお前の退職日だ!」
黒沢勝昭は、オレの挑発を受け、勝負する気になったようだ。
「ふん、若造が……。丁度良い、実験の腕試しをしてやるわい。見るが良い!
俺の体は、もはや生物を超越した幻想世界のモンスターとなったのだ!」
黒沢勝昭は、四つの腕と牛の頭を持つ怪物に変化していた。
筋肉も若々しくなり、一撃でも殴られれば、人間の命を奪ってしまうかもしれないと思わせるほどの腕力を有していた。
「ふふふ、これは、モアブ人が崇拝したモロクという古代の神だ。
聖書の中では、宇宙の創造者にその崇拝行為自体さえ毛嫌いされ、嫌悪すべき敵として登場していたが、次第にイスラエル人に崇拝されるようになった。
長子の命と引き換えに、信者に力を与えられると考えられていたそうだ。
古代のイスラエル王達でさえ、こいつに犠牲として子供を捧げたそうだ。
なぜ、大切な長子を犠牲として捧げたのであろうか?
俺が思うに、俺とエレンの様な関係だと考え出した。
エレンは、俺の妻の子だが、俺の子供ではない。
不義によって生まれ出た子供だ。
そういう疑惑が度々起こり、最初は習慣として長子を捧げるようになった。
つまり、俺がエレンを殺したいほど恨むのは当然という事なんだ!
そして、そこにいる女も、アンドロイドも共に始末する。
まあ、殺す必要はない。俺の玩具として研究資料になってもらおう。
光宮マモルと黒沢弘毅は、俺が実験や改造するところを黙って見ているが良い。
それこそが俺の求めた復讐なのだ!」
「ふん、神の名を語ったモンスターになったところでオレに勝てるはずもない。
爺さんは、研究を若者に引き継いで、引退した方が身のためだぜ。
どうせ耄碌して、良い考えも浮かんでは来ていないだろう?
アルファベットや英語読みの単語が分からないんじゃないのか?」
「ふん、研究者とは、生涯現役で居続け、常に新しい事を求める者だ。
俺を引退させたいなら、死ぬほどのダメージを与えるしかないな。
もっとも、それができたらの話だが……」
「やってやるぜ。オレも丁度新技を試してみたかったところだしな!」
オレと黒沢勝昭のバトルが始まろうとする中、姫状瑠璃だけがオレの発言を聞き、同情を現していた。
「マモル、最近は、英単語やカタカナ言葉に弱くなっていたわね。
そろそろ引退かしら?
本人も望んでいるから仕方ないけど……」
「僕が、母さんと瑠璃を助けるよ!」
九歳の悟は、子供ながらに母親の冷菓と一番仲の良い女の子の瑠璃を守ろうとしていた。
こんな小さな体では、勝昭に対抗する事は不可能だが、懸命に女の子を守ろうとする姿は微笑ましくも誇らしくもあった。
「まあ、悟。私は、その言葉を聞けてとても嬉しいわ!」
瑠璃と悟は、手を握り合い、怪しい関係を露わにしていた。
オレは、そんな事も露知らず、黒沢勝昭とのバトルに集中し始める。
二人の間の空気が重くなり、実力者同士の対決である事が感じられた。
先に攻撃を仕掛けたのは、黒沢勝昭の方だった。四本の腕を使い、オレを攻撃する。
オレは、ワープ能力を使い攻撃を回避するが、オレのいた場所付近の壁に巨大な穴を開ける。瓦礫が派手に飛び、頑丈な石の壁がベニヤ板の様に簡単に破壊された。
一撃でもまともに喰らえば、生身の体は一溜まりもない。
おそらく牛の腕力をキメラ化して、筋力をアップしているのであろう。
黒沢弘毅とエレンの研究も密かに取り入れているようだ。
「くっくっく、下半身くらいは無くなっても支障はあるまい?
俺と冷菓とかいう小娘の実験をじっくり観察するが良い。
彼女の子供をキメラ化するという実験を思い付いた。
俺の精子と結合させ、世界最強の怪物を作り出すとするか。
美しくもあり、強さも兼ね備えた女の子が望ましいな。
実験工程の一部始終を観察させてやるぞ!」
「ふん、実験という名のオブラートに包んだ変態爺だったか。
世の中の為、生物界の安全の為、オレと冷菓の幸せの為に、お前にはここで引退してもらう!」
「できるものならやってみろ!」
オレと黒沢勝昭とのバトルが白熱し始めていた。
負ければ、冷菓の体に謎の生物が宿る事になるのだ。
絶対に負けられない!
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