【オススメネット小説】秘められた異次元（ シークレットディメンション） ムッツリスケベは異世界を救う！？

番外編の最終章 最悪なるアンドロイドの誕生！

第五十七話 バンデッド（美少女人造人間）VS光宮マモル

オレは、バンデッドの次元能力によって、身動きの取れない状態にされていた。
重い重力によって、体が地面に引き寄せられている。
大人一人を拘束するには十分な力だった。

「くっくっく、素晴らしいコントロールでしょう。
もう少し力を込めれば、あなたを消し去るほどのブラックホールができますが、力をセーブしてもここまでの力を発揮するのです。
私の想いを遂げるのと、人体実験には十分な能力と言えますかねぇ」

「くう、この……」

「ふふふ、あまり暴れないほうが良いですよぉ。
自分の腕の重みで、骨が折れたり、内臓が破裂したりする危険もありますからねぇ。
私としては、女子の体となり、あなたの子供を宿すのも一つの実験だと考えています。
ちゃんとした子供が産めれば良いのですがねぇ……」

オレは、子狐丸を槍に変化させ、なんとかバンデッドを攻撃した。
オレには、異次元空間を利用したワープ能力と、子狐丸の武器変化しか攻撃方法がない。
全ての記憶は、失われたままの状態にあった。
オレの記憶が戻れば、互角以上に戦えるが、今のままではオレが不利だった。
それでも、バンデッドの拘束技からは逃れることができた。

「ぐあああ、ちっ、刀を槍に変化させて私を攻撃してきましたか。
確かに、武器変化能力ならば、重力が強くても不意打ちくらいはできますよねぇ。
まあ、一回限りのびっくり技に近いですけど……。
もう一度拘束すれば良いだけのことですぅ。

無駄な努力ですよぉ。
もう覚悟を決めて、私とずっと一緒にいた方が懸命ですよぉ。
態々あなたの為に、この様な美少女の姿になってあげたのです。
光宮冷菓の事など忘れて、私と愛し合えば良いのですよぉ♡
答えは、いつもシンプルな物が最善なのです！」

「ふん、怪しい機械人形とママゴトをする気にはなれないな。
オレは、やはり冷菓を愛するよ。
記憶は無いが、彼女がオレを愛してくれている事は痛いほど分かる。
他の女の子が入り込める余地などないのだ！

真槍ちゃんは、アイドルに対する憧れの気持ちで好きになった様だ。
ゆたかは、娘を思う様な感じの同情心で好きになった。
でも、冷菓は自分の半身として好きなんだ。
他の女の子と比べる事さえできない！」

「私の最高傑作を機械人形だと……。
生物学、機械学を何十年も学んで、様々な生物を犠牲にした上でようやく作り出した物なのだぞ。
私に言わせれば、光宮冷菓の方がただの実験から生まれたモルモットに過ぎない。

異世界の王宮家族というレッテルを与えられ、苦労と地獄を知らずに育っただけのモルモットだ！
その証拠に、奴と同じ細胞を持つ人体を何百体と培養させ、無残な実験に作り出して来たのだ。

育ちや教育、能力や環境に恵まれていただけの事だ。
奴の姉妹達は、全てこの私の体を完成させる為だけに存在した実験動物だったのだ。
それを理解しておらず、完成品の私を差し置いてモルモットの方を自分の妻と言うとは……。

どうやら見込違いの様ですねぇ、光宮マモル。
ならば、私もオリジナルを無残に潰して、クローンと燃える様な恋をしましょうか？
自分が育てた光宮マモルこそが、オリジナルとなるのだ！
そうすれば、あなたの持っている権利も、日本政府も私の思い通りに動かせますからねぇ。

あなたなど、ただ実験施設を新たに作り出すための駒に過ぎません。
クローンでも同じ事が可能になります。
母親や元上司も涙を流して納得するでしょう。
もう一度記憶がなくなったのだと言ってねぇ♡」

バンデッドの周囲に、巨大なブラックホールが四つほどでき始めた。
どうやらオレを無残に潰して、残った細胞でクローンを作り出す気の様だ。
奴には、オレ達などただの実験道具や実験動物に過ぎなかった様だ。
ただ、日本政府のバックアップが欲しい為に、オレを仲間に引き入れる予定だっただけだ。

それが不可能と分かるや、オリジナルのオレを潰して、クローンと入れ替えようとする作戦にした様だ。
もはや、どちらも手加減する理由がなくなった様だ。
オレは、バンデッドを女の子と見て手加減していたが、本気を出さざるを得ない様だ。

「オレには、昔のオレほどの戦闘経験などない。
おそらく昔のオレならば、お前を一気に倒す方法もあったのかもしれない。
しかし、今のオレには、お前を倒す方法も思い浮かばない。
お前の次元能力は強過ぎる、オレには倒す事ができない！」

「ふはははは、今更泣き言を言いますかぁ？
遅いんですよぉ、もう殺す事に決めてしまいましたからねぇ。
十分前までは、手加減してあげましたが、完成品の私を機械人形呼ばわりしてしまいましたからねぇ。

もう手遅れですよぉ、マモル君。
私が欲しいのは、使えるモルモットだけだぁ！
酷い死に方をしてもらいますよぉ。
無残に潰れて消えてくださいねぇ♡」

ついに、バンデッドが本気で牙を向いて来たのだ。
攻撃力、防御力共に奴の方が上の状態だ。
オレには、奴を倒す方法がまだ思い付かない。
それでも、なんとかしなければ、昔のオレに追い付く事さえもできない。

「ここで、お前を倒して、昔のオレを超えてやる！
お前は、オレのちょうどいい実験台というわけだな！」

「ふん、使えぬモルモットがほざきますねぇ♡
しかし、絶対防御と圧倒的な攻撃力を目の当たりにして、絶望しながら死んでくださいねぇ！」

バンデッドの周りを四つのブラックホールが巡回している。
この重力の壁を越えなければ、オレの攻撃は奴に届く事さえもない。
バンデッドは一向に攻撃してくる気配を見せないが、何かブラックホール能力の特性が関係しているのだろうか？