特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

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特別になりたい

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 「……それは、怪しまれないようにするための、設定では?」
ちゃんとわかっている。アンドリューが私を愛していないこと。だから、アンドリューがもう一度設定を念押しする意味がわからず、首をかしげると、アンドリューは私の手を握った。

 「設定なんかじゃない。俺は、貴女が好きなんだ」
そんな、だって、私たちは出会ったばかりだ。好意をもたれる理由がない。けれど、冗談と、流すにはアンドリューはあまりにも熱っぽい瞳をしていた。

 金の瞳と目が合う。とろりとした蜂蜜のような瞳は、私だけを映していた。
「一目惚れなんだ。けれど、これからもっと貴女について知りたいと思ってるし、俺のことも知ってほしい」
そういうアンドリューの瞳はどこまでも真剣だった。

 「じゃあ、私の人生の残りすべてを、というあのときの言葉は、」
「プロポーズだ」
迷うことなく、頷かれ、顔が真っ赤になるのがわかる。結婚しよう、という言葉だとはわかっていたけれど、それは、防波堤とするためで、そこに好意があるとは微塵も思っていなかった。

 それに、何者にもなれなかった私に、こんなにも真っ直ぐ好意を伝えてくれた人は初めてだった。

 あまりの出来事に、私が固まると、アンドリューは優しく微笑んだ。
「混乱させてしまってすまない。でも、知っていて欲しかったんだ。俺は、貴女に恋を、している」
だめ押しのように、また、紡がれた恋の告白に、さらに頬が熱くなる。

 「ゆっくりでいい。俺も貴女に好かれるよう努力するから、貴女も、俺を恋愛対象として、考えてくれないか?」


 

 自室に帰って、深く、息を吐く。さっきのことは、現実だろうか。ふわふわとして、現実感がないけれど、触れた頬の熱さが夢ではないと告げていた。

 私は、特別になれなかった人間だ。けれど、
 「アンドリュー様が、私を」
好きだといっていた。一目惚れだと。

 今度こそ、私は誰かの『特別』になれるのだろうか。けれど、アンドリューが幸運にも私の容姿を好ましく思ってくれたとして、見た目は日々変化するものだ。いつまでも、同じ姿ではいられない。

 そしたら、アンドリューの『特別』は、また別の誰かに移るのだろうか。

 そう考えると、胸が苦しくなる。もう、『特別』だと言われて、そうじゃなくなるのは、嫌だった。

 だから、アンドリューもいった通り、『私』をもっと知ってほしい。そして、私を好きになってほしい。それから、アンドリューの自身のことも知りたいと、思った。

 もしかしたら、今度こそ、これが『特別』になる最後のチャンスかもしれないから。
 
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