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二度目の恋
64 幸せな、朝
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翌朝、目を覚ますと魔王はまだ眠っていた。起こさないように気を付けながら、白銀の髪を撫でる。手触りのいい髪は、さらりと指の間を通り抜けた。
暫く、魔王の髪で遊んでいると、魔王が目を覚ました。
「ん……」
ゆっくりと瞼が開かれ、深紅の瞳と目が合う。
「おはようございます」
「ああ、おはよう……!?」
朝の挨拶を交わすと、状況を把握していないのか、魔王は耳を真っ赤にした。
「あ、あの、わ、私は、責任は──」
「落ち着いて下さい。私は貴方の妻です」
取ってもらう責任はすでにない。私がそういいながら、首もとを指差すと、魔王はようやく全てを思い出したようだ。
「……ああ、そうだったな。貴方は私の妻なのか」
魔王の手が優しく、私の首もとをなぞる。少しくすぐったい。仕返しに、私も魔王の首もとの証をなぞった。この証は、首もとだけじゃなくて、魂に刻まれるらしい。何だか、凄くロマンチックだよね。
「はい。そして、オドウェル様は、私の夫です」
夫。夫かあ。私、本当に結婚したんだなあ。自分で言っていて何だけど、改めて、結婚したことを実感する。
「そうだな。……昨晩は、かなり無理をさせた。体は大丈夫か?」
「喉は少し痛みますが、それだけです」
昨晩のことを思い出して、赤くなる。恥ずかしかったけれど、暴かれる恐怖よりも、好きなひとに触れられる幸せの方が勝った。
「そうか。それなら、良かった」
魔王は安心したように、私の頭を撫でた。そのままゆっくりと、引き寄せられ、唇が重な──
──コンコン
ノックの音で、慌てて私たちは詰めた距離を離れる。
「兄上、新婚で離れがたいのは重々承知していますが、仕事がたまっております」
「あっ、ああ。わかっている」
扉の外のユーリンに返事をしながら、魔王は慌てて身支度を整えた。
「ミカ、私は仕事にいってくるが、貴方は侍女に話はつけているので、ゆっくり起きなさい。……愛している」
そういって、額に口づけをした後、魔王は名残惜しそうに仕事に向かってしまった。
「──っ」
あ、愛しているだって。思わず広いベッドの隅から隅まで転がってしまう。愛しているって、言われたのは初めてじゃないけれど、すごく嬉しい。完全に巫女でなくなった私でも、魔王は私を好きでいてくれるんだ。それは、とても──幸せなことだ。
その幸せを噛み締めながら、ベッドからでて、身支度を整える。
魔王は、ゆっくりしていいといってくれたが、私はまだ后教育を完全に終えたわけではない。まだ、たくさん学ばなければならないことは、残っているのだ。
今日から心を入れ換えて、頑張らなければ。
「サーラ、身支度を手伝ってほしいのだけれど」
さすがにコルセットは、自分ではしめられない。寝室から私の部屋に戻り、サーラを探す。
けれど、サーラは見つからなかった。
「……サーラ?」
何だか、扉の外が騒がしい。
私が疑問に思っていると、血だらけのサーラが、現れた。
「サーラ!」
どうしたの!? というよりも前に、サーラは私の手をつかむと、
「お逃げ下さい!」
と叫んだ。
「逃げるなら、サーラも一緒に……!」
「私は、足手まといになってしまいます。狙いはミカ様です、どうか……」
サーラが言い終わる前に、扉が乱暴に開かれた。そこに現れたのは……
「みーつけた」
禍々しい気配をまとった、聖女だった。
暫く、魔王の髪で遊んでいると、魔王が目を覚ました。
「ん……」
ゆっくりと瞼が開かれ、深紅の瞳と目が合う。
「おはようございます」
「ああ、おはよう……!?」
朝の挨拶を交わすと、状況を把握していないのか、魔王は耳を真っ赤にした。
「あ、あの、わ、私は、責任は──」
「落ち着いて下さい。私は貴方の妻です」
取ってもらう責任はすでにない。私がそういいながら、首もとを指差すと、魔王はようやく全てを思い出したようだ。
「……ああ、そうだったな。貴方は私の妻なのか」
魔王の手が優しく、私の首もとをなぞる。少しくすぐったい。仕返しに、私も魔王の首もとの証をなぞった。この証は、首もとだけじゃなくて、魂に刻まれるらしい。何だか、凄くロマンチックだよね。
「はい。そして、オドウェル様は、私の夫です」
夫。夫かあ。私、本当に結婚したんだなあ。自分で言っていて何だけど、改めて、結婚したことを実感する。
「そうだな。……昨晩は、かなり無理をさせた。体は大丈夫か?」
「喉は少し痛みますが、それだけです」
昨晩のことを思い出して、赤くなる。恥ずかしかったけれど、暴かれる恐怖よりも、好きなひとに触れられる幸せの方が勝った。
「そうか。それなら、良かった」
魔王は安心したように、私の頭を撫でた。そのままゆっくりと、引き寄せられ、唇が重な──
──コンコン
ノックの音で、慌てて私たちは詰めた距離を離れる。
「兄上、新婚で離れがたいのは重々承知していますが、仕事がたまっております」
「あっ、ああ。わかっている」
扉の外のユーリンに返事をしながら、魔王は慌てて身支度を整えた。
「ミカ、私は仕事にいってくるが、貴方は侍女に話はつけているので、ゆっくり起きなさい。……愛している」
そういって、額に口づけをした後、魔王は名残惜しそうに仕事に向かってしまった。
「──っ」
あ、愛しているだって。思わず広いベッドの隅から隅まで転がってしまう。愛しているって、言われたのは初めてじゃないけれど、すごく嬉しい。完全に巫女でなくなった私でも、魔王は私を好きでいてくれるんだ。それは、とても──幸せなことだ。
その幸せを噛み締めながら、ベッドからでて、身支度を整える。
魔王は、ゆっくりしていいといってくれたが、私はまだ后教育を完全に終えたわけではない。まだ、たくさん学ばなければならないことは、残っているのだ。
今日から心を入れ換えて、頑張らなければ。
「サーラ、身支度を手伝ってほしいのだけれど」
さすがにコルセットは、自分ではしめられない。寝室から私の部屋に戻り、サーラを探す。
けれど、サーラは見つからなかった。
「……サーラ?」
何だか、扉の外が騒がしい。
私が疑問に思っていると、血だらけのサーラが、現れた。
「サーラ!」
どうしたの!? というよりも前に、サーラは私の手をつかむと、
「お逃げ下さい!」
と叫んだ。
「逃げるなら、サーラも一緒に……!」
「私は、足手まといになってしまいます。狙いはミカ様です、どうか……」
サーラが言い終わる前に、扉が乱暴に開かれた。そこに現れたのは……
「みーつけた」
禍々しい気配をまとった、聖女だった。
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