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第一部 馴れ初めから結婚まで
初めてのキス(2)
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数日後、宮殿の広間では夜会が開かれていた。
王子が残った姫だけを集めて開催した、ごく内輪のものだ。
あんな王子でも王子なので結婚したいと思う姫は多いようで、ルセルの周りは美姫たちで華やかだった。
一方スノウとリリーは目立たぬよう、壁の花に徹していた。
「おや?リリーと言ったか。お前、残ったのだな」
いきなり話かけられたのでリリーはさりげなくスノウをかばうように前に出た。
「え、ええそうですわ」
ルセルは嘲るように笑った。
「だが悪いな、余はスノウと踊りたいのだ」
ルセルはスノウに手を差し出した。スノウは戸惑ったが、意を決したようにその手を取った。周りの美姫たちの目が鋭くなった。
(私は大丈夫よ、心配しないで)
スノウの目はそう言っていた。
(ああ、こういう時・・・・私がもっと美人だったら、スノウを守れたかもしれないのに)
リリーはじりじりしながら踊る2人を見守った。
(少しでも顔を近づけてみろ・・・呪い殺してやる)
スノウは笑顔を浮かべているが、少し青ざめている。心配をかけまいと必死に表情をとりつくろっているのがわかった。
(スノウは純真無垢な箱入り娘なのに。アーネストさん以外と踊るなんて、イヤだろうに・・・!)
今までスノウに近づく悪い虫は、すべてリリーが秘密裏におっぱらってきていた。どいつもこいつもスノウの見た目や家柄にばかりに引かれてやってくる奴らばかりだった。
だが、アーネストだけは違った。その名の通り誠実な青年で、心が清く、本当にスノウを愛し、またスノウも彼を好きになっているのが手に取るようにわかった。
・・・いつかこんな日がくると覚悟をしていたリリーは、彼だけは潔く認めることにしたのだった。彼ならスノウを絶対幸せにしてくれると思ったからだ。
(それがこんなところで、まさかこんな悪い奴に・・・っ!!)
鬼のような形相を必死に抑えるリリーを、踊るルセルはちらちらと観察していた。
「少し疲れたわ・・・リリー、わたくし先に部屋に戻っているわね」
踊りつかれたからか、他の姫たちから注目を浴びてしまったからか、スノウはつかれた顔で部屋へと戻っていった。
それに続こうとしたリリーだったが、ルセルに行く手をはばまれた。
「どうした。お前ももどってしまうのか?」
「はい、ちょっとスノウが心配なので」
「ふうん。お前達は本当に仲が良いのだな。ただの姉妹なのか?」
「・・・厳密に言えば、私達は従姉妹なのです。モーゼット伯が私を引き取って養子にしたので、今は姉妹ですが」
「そうか。どうりで似ていないと思った、スノウはとびきりの美人だがお前はそこそこだからな」
そんな事はリリーが一番わかっている。くつろいで無神経な軽口をたたくルセルにリリーは気になっていたことを思い切ってきいた。
「殿下、スノウが気に入ったのですか?どのくらい?・・・まあ外見も中身も美しいから無理はないですけど・・・」
「ふん。スノウはたしかに美人だが、踊ってみても人形のようで無口でつまらぬ。それよりお前をからかったほうが楽しそうだ」
彼はいいことを思いついた、というようににやりと笑った。
「そうだ、お前今夜俺の部屋に来い」
「えっ、夜は寝るのでちょっと無理です」
「いいか、命令だぞ」
ルセルがご機嫌なようすでわくわくしているのを見て、長身の側近、チャールズは不安になった。
(また、殿下の悪い癖だ・・・はぁ)
目の前に仲むつまじい恋人や家族がいると、いらだって邪魔をせずにはおれない。いままでルセルは様々な悪事をしてきた。結婚間近の青年貴族の恋人を寝取ってみたり、慕われている父親である伯爵を辺境へ単身で飛ばしたり。
本人にとっては『軽いいたずら』なのかもしれないがされたほうはたまったものではない。そのたびに心づけを渡したり相手の怒りをなだめたり、尻拭いをするのは側近のチャールズだった。
(次のターゲットはあの娘か・・・まあ、若い娘だ。いくらか握らせれば胸におさめてくれるだろう)
チャールズはため息をついた。
夜半。スノウの寝顔を心配そうに見つめているリリーの耳に、控えめなノックの音が聞こえた。
(誰だろう、まさか・・・)
カチャリと細くドアを開けると、そこにはルセルの側近の、長身の青年が立っていた。
「夜分に申し訳ありません、リリー様。殿下がお呼びです」
「すみませんが、今夜ははずせません。スノウが熱で・・・ついていてやりたいのです」
「重体なのですか?」
「いえ、微熱ですが・・・今夜の疲れが出たみたいで」
「ならば看病の上手い侍女をこちらからおつけしましょう。なのでリリー様、」
「・・・どうしていかなくてはダメでしょうか?」
「はい、命令なので」
「ど~~~~しても??」
「・・・そうすると、申し訳ありませんが実力行使になってしまいます」
そういう青年の表情は本当に申し訳なさそうだったので、リリーは観念した。
「わかったわ、いきます」
ここはルセル殿下の居室だろうか。ランプがあちこちともされた部屋は夜だというのに紅い光で満ちていて、怪しい雰囲気をかもし出していた。
ルセルは重い上服を脱ぎ捨てて、身軽なシャツと上等そうなズボンといういでたちだった。
「お前を見ていて気が付いたのだが、お前、スノウが俺のものになるのがいやなのだな?」
「え・・・なぜそんなこと」
「お前のスノウを見る目が、あんまり露骨すぎるからだ。お前、彼女が好きなのか?」
どきんと心臓が跳ね上がったが、リリーは平静をよそおった。
「好きですよ。ずっと一緒にすごしてきた、姉妹のような存在ですから」
「それだけか?」
「それだけです」
「なら、彼女が俺の妃になるのは喜ばしいことではないか?この国一番の地位が約束されるのだぞ」
「妃の位は、同時に重い責任もあります。スノウのような心優しい女の身には過ぎる幸せです」
「なかなか本音を言わぬな・・・もし俺が彼女を后にすると言ったら、どうする?」
リリーは青くなった。
「それはおやめください。スノウが・・・不幸になってしまう」
「余がスノウを愛していたとしても?」
リリーは顔をしかめた。
「冗談はやめてください。あなたは后候補の誰も愛してなどいないでしょう」
「ほう、言うな。ではお前は彼女を愛しているというのか?」
売り言葉に買い言葉で、リリーはむきになった。
「ええ、愛しています。あなたより、誰よりも」
「なぜだ?姿が美しいからか?それとも優しい性格だからか?」
「いいえ。そんな表面的な事ではありません・・・私は彼女のすべてを、彼女の魂を愛しているのです」
堂々と言い切ったその目には、触れるとやけどしそうな一途な炎が燃えているようだった。
その輝きは、ルセルの目には痛いほどまぶしかった。その輝きを惨めに踏みにじって汚してやりたいという残酷な思いがルセルの胸の内にわきあがった。
「ほう・・・女なのに、女を愛していると」
「彼女が女だろうが、男だろうが関係ないのです」
「まるで宗教だな。では彼女はお前にとって一番大事な人間なのだな?」
「はい」
そこまで答えて、リリーは言ってしまったと後悔したが、同時に爽快感もあった。嘘偽りない気持ちを口にするのは、なんと気持ちが良いのだろう。ずっとずっと秘め続けてきたこの気持ちを、人に表明することができただけで、リリーの心はいくぶんか満たされたのだ。
が、そんなリリーを見てルセルは悪魔のように笑った。
「余はな、人の大事な物を横取りするのが何よりも好きなのだ。あの悔しそうな表情ときたら!・・・・だが、お前もそれなりに魅力的だ。だからお前が自分を差し出すというのなら、スノウ姫の事はあきらめてやって良いぞ」
「は?それはどういう・・・?」
言いかけてリリーは腑に落ちた。
「つまり簡単に言えば、ヤらせろと」
「女のくせに風情のないやつだな。ま、そういうことだ」
「いやだと言ったら?」
「明日にでもスノウを妃にして他は引き取ってもらうかな。余は別に妃など、誰でもよいのだから」
そう言うルセルの目はらんらんと光っていて、実に楽しそうだった。
それは、新しいおもちゃを目の前にチラつかせた2歳児と同じような笑みだった。このおもちゃで遊ぶためなら、2歳児は泣き喚き噛み付き、なんだってするだろう。
そしてぼろぼろに遊びつくしてポイと捨てるまでがセットだ。
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~ずいぶんいいご趣味をお持ちで」
リリーは特大のため息をついた。
「で、どうする?」
ニヤニヤとルセルが聞いてきた。
「・・・ではスノウには指一本ふれないし、妃にはしないとお約束していただけます?」
「ああ、いいだろう」
「じゃ、一筆お願いします」
「は?お前けっこう淡々としてるな・・・?」
「言っておきますが私と寝てもそう楽しくないと思いますよ。だからって約束を反故にしないでくださいね、殿下」
王子が残った姫だけを集めて開催した、ごく内輪のものだ。
あんな王子でも王子なので結婚したいと思う姫は多いようで、ルセルの周りは美姫たちで華やかだった。
一方スノウとリリーは目立たぬよう、壁の花に徹していた。
「おや?リリーと言ったか。お前、残ったのだな」
いきなり話かけられたのでリリーはさりげなくスノウをかばうように前に出た。
「え、ええそうですわ」
ルセルは嘲るように笑った。
「だが悪いな、余はスノウと踊りたいのだ」
ルセルはスノウに手を差し出した。スノウは戸惑ったが、意を決したようにその手を取った。周りの美姫たちの目が鋭くなった。
(私は大丈夫よ、心配しないで)
スノウの目はそう言っていた。
(ああ、こういう時・・・・私がもっと美人だったら、スノウを守れたかもしれないのに)
リリーはじりじりしながら踊る2人を見守った。
(少しでも顔を近づけてみろ・・・呪い殺してやる)
スノウは笑顔を浮かべているが、少し青ざめている。心配をかけまいと必死に表情をとりつくろっているのがわかった。
(スノウは純真無垢な箱入り娘なのに。アーネストさん以外と踊るなんて、イヤだろうに・・・!)
今までスノウに近づく悪い虫は、すべてリリーが秘密裏におっぱらってきていた。どいつもこいつもスノウの見た目や家柄にばかりに引かれてやってくる奴らばかりだった。
だが、アーネストだけは違った。その名の通り誠実な青年で、心が清く、本当にスノウを愛し、またスノウも彼を好きになっているのが手に取るようにわかった。
・・・いつかこんな日がくると覚悟をしていたリリーは、彼だけは潔く認めることにしたのだった。彼ならスノウを絶対幸せにしてくれると思ったからだ。
(それがこんなところで、まさかこんな悪い奴に・・・っ!!)
鬼のような形相を必死に抑えるリリーを、踊るルセルはちらちらと観察していた。
「少し疲れたわ・・・リリー、わたくし先に部屋に戻っているわね」
踊りつかれたからか、他の姫たちから注目を浴びてしまったからか、スノウはつかれた顔で部屋へと戻っていった。
それに続こうとしたリリーだったが、ルセルに行く手をはばまれた。
「どうした。お前ももどってしまうのか?」
「はい、ちょっとスノウが心配なので」
「ふうん。お前達は本当に仲が良いのだな。ただの姉妹なのか?」
「・・・厳密に言えば、私達は従姉妹なのです。モーゼット伯が私を引き取って養子にしたので、今は姉妹ですが」
「そうか。どうりで似ていないと思った、スノウはとびきりの美人だがお前はそこそこだからな」
そんな事はリリーが一番わかっている。くつろいで無神経な軽口をたたくルセルにリリーは気になっていたことを思い切ってきいた。
「殿下、スノウが気に入ったのですか?どのくらい?・・・まあ外見も中身も美しいから無理はないですけど・・・」
「ふん。スノウはたしかに美人だが、踊ってみても人形のようで無口でつまらぬ。それよりお前をからかったほうが楽しそうだ」
彼はいいことを思いついた、というようににやりと笑った。
「そうだ、お前今夜俺の部屋に来い」
「えっ、夜は寝るのでちょっと無理です」
「いいか、命令だぞ」
ルセルがご機嫌なようすでわくわくしているのを見て、長身の側近、チャールズは不安になった。
(また、殿下の悪い癖だ・・・はぁ)
目の前に仲むつまじい恋人や家族がいると、いらだって邪魔をせずにはおれない。いままでルセルは様々な悪事をしてきた。結婚間近の青年貴族の恋人を寝取ってみたり、慕われている父親である伯爵を辺境へ単身で飛ばしたり。
本人にとっては『軽いいたずら』なのかもしれないがされたほうはたまったものではない。そのたびに心づけを渡したり相手の怒りをなだめたり、尻拭いをするのは側近のチャールズだった。
(次のターゲットはあの娘か・・・まあ、若い娘だ。いくらか握らせれば胸におさめてくれるだろう)
チャールズはため息をついた。
夜半。スノウの寝顔を心配そうに見つめているリリーの耳に、控えめなノックの音が聞こえた。
(誰だろう、まさか・・・)
カチャリと細くドアを開けると、そこにはルセルの側近の、長身の青年が立っていた。
「夜分に申し訳ありません、リリー様。殿下がお呼びです」
「すみませんが、今夜ははずせません。スノウが熱で・・・ついていてやりたいのです」
「重体なのですか?」
「いえ、微熱ですが・・・今夜の疲れが出たみたいで」
「ならば看病の上手い侍女をこちらからおつけしましょう。なのでリリー様、」
「・・・どうしていかなくてはダメでしょうか?」
「はい、命令なので」
「ど~~~~しても??」
「・・・そうすると、申し訳ありませんが実力行使になってしまいます」
そういう青年の表情は本当に申し訳なさそうだったので、リリーは観念した。
「わかったわ、いきます」
ここはルセル殿下の居室だろうか。ランプがあちこちともされた部屋は夜だというのに紅い光で満ちていて、怪しい雰囲気をかもし出していた。
ルセルは重い上服を脱ぎ捨てて、身軽なシャツと上等そうなズボンといういでたちだった。
「お前を見ていて気が付いたのだが、お前、スノウが俺のものになるのがいやなのだな?」
「え・・・なぜそんなこと」
「お前のスノウを見る目が、あんまり露骨すぎるからだ。お前、彼女が好きなのか?」
どきんと心臓が跳ね上がったが、リリーは平静をよそおった。
「好きですよ。ずっと一緒にすごしてきた、姉妹のような存在ですから」
「それだけか?」
「それだけです」
「なら、彼女が俺の妃になるのは喜ばしいことではないか?この国一番の地位が約束されるのだぞ」
「妃の位は、同時に重い責任もあります。スノウのような心優しい女の身には過ぎる幸せです」
「なかなか本音を言わぬな・・・もし俺が彼女を后にすると言ったら、どうする?」
リリーは青くなった。
「それはおやめください。スノウが・・・不幸になってしまう」
「余がスノウを愛していたとしても?」
リリーは顔をしかめた。
「冗談はやめてください。あなたは后候補の誰も愛してなどいないでしょう」
「ほう、言うな。ではお前は彼女を愛しているというのか?」
売り言葉に買い言葉で、リリーはむきになった。
「ええ、愛しています。あなたより、誰よりも」
「なぜだ?姿が美しいからか?それとも優しい性格だからか?」
「いいえ。そんな表面的な事ではありません・・・私は彼女のすべてを、彼女の魂を愛しているのです」
堂々と言い切ったその目には、触れるとやけどしそうな一途な炎が燃えているようだった。
その輝きは、ルセルの目には痛いほどまぶしかった。その輝きを惨めに踏みにじって汚してやりたいという残酷な思いがルセルの胸の内にわきあがった。
「ほう・・・女なのに、女を愛していると」
「彼女が女だろうが、男だろうが関係ないのです」
「まるで宗教だな。では彼女はお前にとって一番大事な人間なのだな?」
「はい」
そこまで答えて、リリーは言ってしまったと後悔したが、同時に爽快感もあった。嘘偽りない気持ちを口にするのは、なんと気持ちが良いのだろう。ずっとずっと秘め続けてきたこの気持ちを、人に表明することができただけで、リリーの心はいくぶんか満たされたのだ。
が、そんなリリーを見てルセルは悪魔のように笑った。
「余はな、人の大事な物を横取りするのが何よりも好きなのだ。あの悔しそうな表情ときたら!・・・・だが、お前もそれなりに魅力的だ。だからお前が自分を差し出すというのなら、スノウ姫の事はあきらめてやって良いぞ」
「は?それはどういう・・・?」
言いかけてリリーは腑に落ちた。
「つまり簡単に言えば、ヤらせろと」
「女のくせに風情のないやつだな。ま、そういうことだ」
「いやだと言ったら?」
「明日にでもスノウを妃にして他は引き取ってもらうかな。余は別に妃など、誰でもよいのだから」
そう言うルセルの目はらんらんと光っていて、実に楽しそうだった。
それは、新しいおもちゃを目の前にチラつかせた2歳児と同じような笑みだった。このおもちゃで遊ぶためなら、2歳児は泣き喚き噛み付き、なんだってするだろう。
そしてぼろぼろに遊びつくしてポイと捨てるまでがセットだ。
「はぁ~~~~~~~~~~~~~~ずいぶんいいご趣味をお持ちで」
リリーは特大のため息をついた。
「で、どうする?」
ニヤニヤとルセルが聞いてきた。
「・・・ではスノウには指一本ふれないし、妃にはしないとお約束していただけます?」
「ああ、いいだろう」
「じゃ、一筆お願いします」
「は?お前けっこう淡々としてるな・・・?」
「言っておきますが私と寝てもそう楽しくないと思いますよ。だからって約束を反故にしないでくださいね、殿下」
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