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第一部 馴れ初めから結婚まで
ライクアバージン
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そしてやってきた式当日。
(はぁ・・・はぁ・・・緊張で、吐きそうっ!!!)
教会に向かう馬車の中で、リリーは必死に震えと戦っていた。
スノウたち、たくさんの招待客、そしてルセルも皆すべて先に教会で待っている。最後に到着するのが花嫁なのだ。
そして、ルセルとは前日の晩から会っていない。
そういうしきたりだからだ。
(これって、相当プレッシャーじゃない!?皆が私の登場を今か今かと待ってるのって!!!)
今日はじめてリリーの顔を見る招待客もいるだろう。必死に最大限の化粧をほどこして装っているが、皆どう思うだろう。
(あれが殿下の妃か・・・いまいちぱっとしないなぁ)
(なんて貧相なんでしょう!妃の位にはふさわしくないわ)
そんな悪口が、リリーの頭の中で繰り返し響いた。
今まであまり注目を浴びたことのないリリーは、そんなわけで、震えていた。
(で、でも・・・慣れなきゃ。妃になったら、注目を浴びるのが当たり前、むしろ仕事みたいなものなんだから・・・)
そうだ、もっとひどい事にも耐えてきた。これくらい、なんだ。
(乗り切ってみせる・・・・!!)
そして金粉で縁取られた、花嫁の白い馬車は教会にたどり着いた。
リリーは手をとられて、馬車を降り、教会の大きいドアの前に立った。
ギイイと厳しい音がして、レリーフの施されたそれは開いた。
ドアの傍らに、養父のモーゼット侯爵が立っていた。ガチガチに緊張した顔をしている。
(やだ、父上ったら。私よりよほど緊張しているわ)
そう思ったリリーは気合を入れなおした。
(よし、私がひっぱっていくくらいの気持ちで歩かないと)
皆の視線が、一斉にリリーに集中した。
その視線の量の多さに、リリーは圧倒された。
この大きな大聖堂に、たくさんの招待客がぎっしり来場しているのだ。多くないはずがない。
リリーはそれに耐えて、歩いていった。
ルセルのもとへ。
(やっと、たどりついた・・・)
ルセルは王宮竜騎兵の制服に身を包んでいた。黒い地に金色の髪がよく映えている。
初めて見たその姿に、リリー今まで彼に対して抱いたことのなかった気持ちを感じた。
(え・・・以外と、凛々しいじゃん・・・)
その姿は、今までの彼より5割り増しくらい頼もしく見えた。
(まるで本物の王子様みたい・・・いや、本物なんだけど・・・)
そして、彼はリリーに手を差し伸べた。
すこし緊張しているその笑顔は、張り詰めていたリリーの心をなごませた。
(そっか、彼と・・・ルセルと一緒なんだ)
もう、一人で肩肘を張って生きていかなくても、いいのかもしれない・・・
(彼がいるんだもの。まだ、未熟な所もあるけど・・・それは私も、一緒)
一緒に、歩いていく。お互い足りないところは、辛いときは、助けてもらう。助けてあげる・・・。
そんな事を考えながら、皆が見守るなか、リリーは養父からルセルの手へ引き渡された。
式典を終えた後、リリーはやっと馬車の中でルセルと言葉を交わした。
「ふぅ・・・けっこう疲れたな」
「やっと話せましたね」
「昨晩からなにかと・・忙しかったからな」
「独身最後の晩、わるさしませんでしたか?」
リリーが冗談めかして聞くと、ルセルは顔をしかめた。
「何を言う。余は・・・大変だったのだぞ」
「え、何が?」
ところがその続きは聞けずじまいだった。馬車が教会を出て、割れるような歓声に包まれたからだ。
「ほらリリー、彼らに向かって手をふるのだ」
「えっ・・・は、はい」
リリーは窓から群集に向かって手を振った。
「そうだ、キスくらいしないとな」
「ちょ、ちょちょちょっと」
ルセルはいたずらっぽく笑い、窓の前でリリーを引きよせキスをした。
その柔らかい感触に、ルセルはぎゅっと拳を握った。
(今はまだダメだ、今は・・・我慢・・・!)
一瞬で唇が離れたのち、ワーッといっそう歓声が大きくなった。
その後のスケジュールのびっしり決まっていて、パレードにパーティー、晩餐も終えた夜12時過ぎ、リリーは一生分の愛想笑いを使い切ったような思いでベッドに倒れこんだ。
(ああ・・・・・つかれた・・・。私、失敗なく動けただろうか)
パーティーには他国の王族や有力貴族もたくさんいた。粗相をしてしまわなかったかとリリーはうだうだ気をまわした。
「大儀であったな、リリー。この新しいベッドはどうだ?」
先に湯浴みなど済ませたルセルが、くつろいだ様子で部屋に入ってきた。
「殿下、切り替えはやいですね・・・」
リリーはベッドから身を起こした。とても広い。以前リリーが寝ていたものの何倍かわからない。
「当たり前だろう、やっとこの時が来たのだ」
せっかく起こした上半身を、ルセルは押し倒した。
「えっ・・・な、何です・・・?」
「何ですって、夫婦になったんだから、することは一つであろう?」
「あっ・・・・・」
すっかりそのことが頭から抜け落ちていたリリーは、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
が、しかし、ルセルは真剣だった。
「や、やっと、やっとリリーのここに余のものを入れることができるのだ。よ・・・余は昨晩からそのことばかりかんがえて、頭がおかしくなりそうだったぞ」
「え・・・ちょ、ちょっと落ち着きましょう?」
「落ち着いていられるかっ!」
(体、すごい疲れてる・・・・もう化粧を落として寝たい、でも)
ルセルの必死な顔を見ると、なんだかそれもどうでもよくなってしまった。
むしろずっと待っていてくれたのだから、しかるべき対価をあげて、殿下をよろこばせてあげたい・・・。
(あれ、こんな気持ち、初めてだな・・・・)
(はぁ・・・はぁ・・・緊張で、吐きそうっ!!!)
教会に向かう馬車の中で、リリーは必死に震えと戦っていた。
スノウたち、たくさんの招待客、そしてルセルも皆すべて先に教会で待っている。最後に到着するのが花嫁なのだ。
そして、ルセルとは前日の晩から会っていない。
そういうしきたりだからだ。
(これって、相当プレッシャーじゃない!?皆が私の登場を今か今かと待ってるのって!!!)
今日はじめてリリーの顔を見る招待客もいるだろう。必死に最大限の化粧をほどこして装っているが、皆どう思うだろう。
(あれが殿下の妃か・・・いまいちぱっとしないなぁ)
(なんて貧相なんでしょう!妃の位にはふさわしくないわ)
そんな悪口が、リリーの頭の中で繰り返し響いた。
今まであまり注目を浴びたことのないリリーは、そんなわけで、震えていた。
(で、でも・・・慣れなきゃ。妃になったら、注目を浴びるのが当たり前、むしろ仕事みたいなものなんだから・・・)
そうだ、もっとひどい事にも耐えてきた。これくらい、なんだ。
(乗り切ってみせる・・・・!!)
そして金粉で縁取られた、花嫁の白い馬車は教会にたどり着いた。
リリーは手をとられて、馬車を降り、教会の大きいドアの前に立った。
ギイイと厳しい音がして、レリーフの施されたそれは開いた。
ドアの傍らに、養父のモーゼット侯爵が立っていた。ガチガチに緊張した顔をしている。
(やだ、父上ったら。私よりよほど緊張しているわ)
そう思ったリリーは気合を入れなおした。
(よし、私がひっぱっていくくらいの気持ちで歩かないと)
皆の視線が、一斉にリリーに集中した。
その視線の量の多さに、リリーは圧倒された。
この大きな大聖堂に、たくさんの招待客がぎっしり来場しているのだ。多くないはずがない。
リリーはそれに耐えて、歩いていった。
ルセルのもとへ。
(やっと、たどりついた・・・)
ルセルは王宮竜騎兵の制服に身を包んでいた。黒い地に金色の髪がよく映えている。
初めて見たその姿に、リリー今まで彼に対して抱いたことのなかった気持ちを感じた。
(え・・・以外と、凛々しいじゃん・・・)
その姿は、今までの彼より5割り増しくらい頼もしく見えた。
(まるで本物の王子様みたい・・・いや、本物なんだけど・・・)
そして、彼はリリーに手を差し伸べた。
すこし緊張しているその笑顔は、張り詰めていたリリーの心をなごませた。
(そっか、彼と・・・ルセルと一緒なんだ)
もう、一人で肩肘を張って生きていかなくても、いいのかもしれない・・・
(彼がいるんだもの。まだ、未熟な所もあるけど・・・それは私も、一緒)
一緒に、歩いていく。お互い足りないところは、辛いときは、助けてもらう。助けてあげる・・・。
そんな事を考えながら、皆が見守るなか、リリーは養父からルセルの手へ引き渡された。
式典を終えた後、リリーはやっと馬車の中でルセルと言葉を交わした。
「ふぅ・・・けっこう疲れたな」
「やっと話せましたね」
「昨晩からなにかと・・忙しかったからな」
「独身最後の晩、わるさしませんでしたか?」
リリーが冗談めかして聞くと、ルセルは顔をしかめた。
「何を言う。余は・・・大変だったのだぞ」
「え、何が?」
ところがその続きは聞けずじまいだった。馬車が教会を出て、割れるような歓声に包まれたからだ。
「ほらリリー、彼らに向かって手をふるのだ」
「えっ・・・は、はい」
リリーは窓から群集に向かって手を振った。
「そうだ、キスくらいしないとな」
「ちょ、ちょちょちょっと」
ルセルはいたずらっぽく笑い、窓の前でリリーを引きよせキスをした。
その柔らかい感触に、ルセルはぎゅっと拳を握った。
(今はまだダメだ、今は・・・我慢・・・!)
一瞬で唇が離れたのち、ワーッといっそう歓声が大きくなった。
その後のスケジュールのびっしり決まっていて、パレードにパーティー、晩餐も終えた夜12時過ぎ、リリーは一生分の愛想笑いを使い切ったような思いでベッドに倒れこんだ。
(ああ・・・・・つかれた・・・。私、失敗なく動けただろうか)
パーティーには他国の王族や有力貴族もたくさんいた。粗相をしてしまわなかったかとリリーはうだうだ気をまわした。
「大儀であったな、リリー。この新しいベッドはどうだ?」
先に湯浴みなど済ませたルセルが、くつろいだ様子で部屋に入ってきた。
「殿下、切り替えはやいですね・・・」
リリーはベッドから身を起こした。とても広い。以前リリーが寝ていたものの何倍かわからない。
「当たり前だろう、やっとこの時が来たのだ」
せっかく起こした上半身を、ルセルは押し倒した。
「えっ・・・な、何です・・・?」
「何ですって、夫婦になったんだから、することは一つであろう?」
「あっ・・・・・」
すっかりそのことが頭から抜け落ちていたリリーは、鳩が豆鉄砲をくらったような顔をした。
が、しかし、ルセルは真剣だった。
「や、やっと、やっとリリーのここに余のものを入れることができるのだ。よ・・・余は昨晩からそのことばかりかんがえて、頭がおかしくなりそうだったぞ」
「え・・・ちょ、ちょっと落ち着きましょう?」
「落ち着いていられるかっ!」
(体、すごい疲れてる・・・・もう化粧を落として寝たい、でも)
ルセルの必死な顔を見ると、なんだかそれもどうでもよくなってしまった。
むしろずっと待っていてくれたのだから、しかるべき対価をあげて、殿下をよろこばせてあげたい・・・。
(あれ、こんな気持ち、初めてだな・・・・)
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