浮気しまくってるのに婚約破棄されないんですが

小鳥遊 沙織

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パーティー当日。勿論、あんなことがあった後で男を誑し込む気にもなれなくて。ルイスからなるべく距離を取りつつワインを飲みながら令嬢仲間と中身のない世間話をする。

「あら、素敵なネックレスですわね」
「このまえお父様に買ってもらったんですの。貴女のドレスも色合いが鮮やかで素敵ね」

本当はネックレスにもドレスにも興味なんかない。首や腕に余計な装飾品が増えると邪魔でしょうがないし、パニエのせいで動きにくいパーティードレスよりもカジュアルなパンツスタイルの方がいい。そもそもあんまりセンスもないし、侍女が選んだやつを適当に着ているだけだ。

(すっごく暇……セックスは好きだけどルイスに犯されるのは絶対嫌だし、今日は大人しくしてよう)

声をかけてくる男も適当にあしらって、少し早めにパーティーを抜け帰路につく。


興味もないくだらない話のせいで今日はいつもよりもだいぶ疲れた。今日はもう寝る、お風呂は明日でいいと侍女に短く告げ下がらせると、自室の重い扉を開く……と、今最も見たくない顔が目に入った。ぴしり、と効果音がつかないのが不思議なくらいに身体が強張る。なんで、どうして私の部屋に。

「なんだ随分早いな。明日の昼前まで帰らんと思ったが」

妙に楽しげな声を発しこちらへ向かってくる男に、はっとして扉を閉めようとする。が、間に合わない。中途半端に開いたままルイスに扉を掴まれる。拮抗し掴んだ手の力で扉がわずかに震えるがそれも一瞬のこと。単純な腕力で叶うはずもなく、内側に扉は開きルイスは私を中へ引き入れる。

後ろ手で扉を閉め乱暴に私をベッドへ投げる。

「早いと思ったら誰とも寝てないのか。新しい痕も無ければ匂いもない。そんなに俺に抱かれるのが嫌か」
「い、嫌に決まってるでしょ!だいたい私が浮気してたのはあなたと別れたいからよ!婚約も親が勝手に決めただけ、あなたのことなんて嫌い!この変態!!」

感情のままに声を荒げ、側にあった枕を投げつける。
柔らかい枕がぶつかったところでダメージになんてなるわけもなく、ルイスは表情ひとつ変えずに立ったままだ。

「だが両家の地位を盤石にするためにも親は婚約解消を認めないだろうし、万が一できたとしてもおまえの淫蕩いんとうさはここらの貴族には知れ渡ってるから俺のところ以外に嫁ぐあてもないんじゃないか?おまえは一人娘だし家を潰したくはないだろう?」

言葉に詰まる。たしかに口止めもしてないし噂にもなってるはずだ。婚約者であるルイスの権力が大きいから表立って非難されないだけ。今この男と切れるのはだめだ。

何も考えていなかった自分に腹が立つ。どうにもならないことにようやく気づき、全てに苛立ちが湧いてきて悔しさのあまり涙が出る。

「わかったか?……俺の期待とは違うが、今日はもう良い。ずっと我慢してきたからな、これからするぞ」
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