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夏合宿
2-28
しおりを挟むside沙奈
合宿の掃除が終わり、帰る支度をしていた。
今日で、最後―・・・
「沙奈ちゃん、出るよー?」
「あ、はい!」
外に出ると、監督さんの周りに皆が集まっていた。
あたしと、渡邊先輩は急いでそこに集まる。
「今日で合宿は終わりだ!家に帰ってちゃんと休む事!明日は休みだから忘れないように!じゃ、これで解散!」
「あっした!!」
あいさつをし終わると、お兄ちゃんがあたしの所にくる。
「沙奈、帰ろー!!」
「うん」
「荷物持つ!!」
いいよとあたしが言う前にお兄ちゃんは荷物を持ってしまい、どうする事も出来なかった。
もう、いつもこうなんだからー
「沙奈ちゃん、ばいばーい」
「お疲れ様ー」
「はい。今日まで本当にありがとうございました。とても楽しかったです」
あたしはサッカー部の皆にお礼の言葉を言ってお辞儀をする。
お兄ちゃんはあたしの腕を引っ張って早く帰ろうとする。
今日で最後なのに…もう少し話くらいしてもー
「アイス!食べるっつたろー!?」
「お前はホント、おこちゃまだなー!沙奈ちゃんがいるとこれだよー」
「うっせー!!」
「分かった!分かったからすぐ怒らないでよ」
「・・・あい」
あたしはもう一度お辞儀をして、お兄ちゃんと家に帰った。
これで、最後だったんだなー
なんか、あっという間だったっていうか、長かったっていうか。
マネージャーの仕事をこれからもやりたいってお兄ちゃんに言ったらいいよって言ってくれるかもしれない。
けど、夏合宿までって約束だからもう新しいマネージャーが見つかってるのかもしれないよね…
そして―・・・
あたしは皆がいる方を向く。
悼矢さんともあまり話せなくなるんだ。
そう思ったら、やけに心が痛くなった。
あたしも同じ学年だったら、普通に話す時間だって作れるのに。
学年が違うって言うだけで、離れているような気がした。
あまり話せないんじゃなくて、もう話せないのだとふと思ってしまった。
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