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秋の桜海祭編
文化祭ーミス桜海 決勝戦⑧
しおりを挟むそろそろで私達の番になる。
私は頭の中でやるべきことをイメージした。
「さくら、緊張してる?」
私のことを心配した松白君が話しかける。
「ううん、大丈夫。やることをイメージしていただけだから。」
「そっか、それなら良かった。」
そんな松白君は緊張していないのだろうか?
表情には出ていないあたり、松白君のことだからいろいろと気を使ってくれているのだろうな。
「ん、どうした?」
「えっ?な、なんでもないよ。」
私は思わず目をそらす。
「さくらー。」
ちょうどその時、吹雪がこちらにやってきた。
何か手に持っているがなんだろうか?
「これ、履いてみて。」
そういって渡してきたのは高価そうなヒールだった。
「え、こんなのどこから見つけてきたの?」
「いいから、いいから。」
履いてみてって言われても、サイズの問題もあるだろうし、そんな簡単には……。
「…………。」
私の足にピッタリだった。
「お!ピッタリだ。どう?歩けそう?」
吹雪に言われ歩いてみたが、普段の靴よりか歩きづらいものの違和感なく歩くことができた。
「良かった、じゃあ頑張って。松白君、さくらのこと頼んだよ。」
「おう、任せとけ。」
そういって吹雪は自分の持ち場へと帰っていく。
それにしても、このヒールどこから持ってきたのだろうか?
どこかで見たことがある気もするが…。
「……さくら。」
松白君が右手を差し出す。
「うん。」
私はその手を左手で握り一緒に歩いていく。
いよいよ時間になったのだ。
あとは、やるべきことをやるだけだ。
そして私達は会場に入っていく。
会場に入ると私達の姿を見て様々な声が上がる。
不思議なことに私は動揺することは無かった。
松白君の表情をみてみたが、松白君も問題なさそうだ。
むしろ、完全にスイッチが入っていて別人のようにも感じる。
………ちょっと、かっこいいな。
普段はあんなにニコニコしてる松白君が、今は凛々しい顔した王子様なのだ。
すごく頼もしいことこの上ない。
私はライトや音響の方にいる仲間達の方を見た。
みんな腕を大きく丸にしている。
どうやら準備ができたようだ。
(……よしっ。)
そして、私は一歩目を踏み出した。
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