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秋の桜海祭編
文化祭の日の夕方
しおりを挟む文化祭が終わった日の夕方、数時間前の賑わいっぷりが嘘のように静かな学校になっていた。
聞こえてくるのはカラスの鳴き声と、下校する生徒達の声だけ。
明日も体育祭を控えているので、当然元気な部活動生の声も聞こえてこない。
私は演劇部の方々に衣装を返しに行った後、誰もいない静かな教室へと戻った。
(私も帰りの支度をして、家に帰ろう……。)
そう思ったとき、私はあることに気づく。
隣の席にまだ鞄や荷物が残っていたのだ。
松白君は、まだ用事か何かで残っているのだろうか?
いや、その可能性は低いだろう。
恐らく…………。
私はある場所へと向かった。
「やぁやぁ、こんな時間まで何してるの?」
「お、さくら。」
私の予想通り松白君は屋上で空を見ながら目を閉じていた。
前も、こうして屋上で寝ていたが屋上がお気に入りなのだろうか?
「松白君、今日はありがとうね。」
「いやいや、俺は今日大したことしてないぜ。」
「ううん、そんなことはないよ。」
後から聞いた話なのだが私が階段でこけた際に、松白君が咄嗟の判断でした演出は、かなり評価されていたらしい。
それがなかったら結果はどうなっていたか分からない。
「何か考え事?」
私は松白君の隣に座り尋ねる。
「いや、何となくさ。こうして風に当たるのが心地良くてね。」
その気持ちは分からないことはなかった。
この時間の外は心地良い風が屋上に吹いている。
おまけに景色は相変わらず最高だ。
「………いよいよ明日体育祭だね。」
「あぁ、『やっとか』って感じだ。」
そう言って松白君は起き上がる。
「…………俺もさ、さくらにお礼を言っておくよ。ありがとう。」
「えっ!私の方こそ本当に何もやってないよ。」
松白君の唐突な『ありがとう』に戸惑う。
そして、そんな私の反応を見て松白君は笑っている。
「今日は桜が頑張ったんだ、俺も明日は頑張るよ。…………よしっ、遅くならないうちに帰るか。」
「うん。」
お互い今日の文化祭ことを話しながら一緒に帰る。
ただ、楽しかったことが多く、語るには時間が足りなかった。
そして私達は桜海祭の後半、『体育祭』を迎えることになる。
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