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秋の桜海祭編
体育祭ークラス別対抗リレー⑥
しおりを挟む今現在、1位は勢也君が走っている。
続けて2位は松白君が走っている。
お互いに最初から全力で走っていた。恐らく二人にとったらこの程度の距離ならペース配分なんて考えなくてもいいのかもしれない。
それか、単純に二人の負けたくない気持ちがそうさせているのか………。
「「わあああああああ!」」
気付けば勢也君がいつの間にか校舎の陰から出てきていた。
その後ろからは松白君もついてきていた。
まだ一周目ではあるが松白君は確実に勢也君に近づいている。
「頑張れ、松白くーん!」
私は声が枯れそうになるくらい叫ぶ。
もちろん私だけじゃなくみんなも大きな声で応援していた。
そして、あっという間に勢也君と松白君が一周目を駆け抜けていった。
風を切って走るとはこのことを言うのかもしれない。
それから、校舎の陰で二人の姿が見えなくなると、私の心臓がバクバクと早くなり始めた。
最後の一周だから見えないこの半周がとてももどかしい。
期待に不安、いろいろな思いが頭をよぎってしまう。
(大丈夫………、大丈夫………。)
私は目を閉じ祈るように呟く。
「「おおおおおおお!」」
私はその観客の歓声が起きた瞬間に目を開けた。
「………………っ!?」
最初に校舎の陰から出てきたのは、松白君の勢也君の二人同時だった。
その瞬間にまた心臓がうるさくなり始める。
「ファイトー、松白君!」
私はひたすら応援をした。
この歓声の中、聞こえているか分からない。
それでも誰よりも大きな、大きな声で。
(…………えっ!?)
ゴールまで百メートルを切ったぐらいだろうか。
それまで、ほぼ同じくらいに並んでいた二人だったが松白君が更にスピードを上げる。
余力を残していたのか、最後の踏ん張りかは分からない。
最後の最後に松白君はスピードを上げて、そのままゴールした。
「はぁ、はぁ…………。」
その異次元の速さに思わず周りは静かになり、聞こえるのは松白君が息を切らす声だけ。
しかし、次の瞬間に私達は松白君に駆け寄る。
「えっ?ちょっ…………。」
そして困惑する松白君をよそに、打ち合わせもしてないのにみんなで胴上げが始まった。
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