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春の始まりの季節編
雨のち晴れー②
しおりを挟む雨が降っている中、私は今少しだけせまいスペースにおじゃまさせてもらっている。
でも、まさか松白君だったとは……。
知ってる人で良かったというべきか。
しかし、私は告白されている身でもある。
こんなとこ新聞部に見られたら何て言われるだろう。
大雨の騒音が掻き消されるぐらい私の頭の中はいっぱいだった……。
「桜の家ってこっち方面だっけ?」
「うん、急にありがとう。」
「いいよ、気にしなくて。」
そう答えてくれる松白君だったが、どこか考え事をしているような顔だった。
何かあるんだろうか。
私がその事を聞こうかすると、先に松白君が口を開いた。
「桜さぁ……………。」
「なに?」
そこで黙ったきり松白君はまた、考え事をし始めた。
雨の音がよく聞こえる。
可愛い女の子ならここで気の利いたことができるのだろうが、私はそんな事出来なかった。
「あーもう!松白君らしくないなぁ、はっきりしなさいはっきり。」
と言って軽く小突いた。
「いてっ、…………桜は相変わらずだなぁ。」
すると、松白君は話はじめた。
「……俺は桜にあんなことしてしまったから嫌われたかなぁって思ってたんだけど………お前はあんなんで人を嫌いになるようなやつじゃなかったな。」
あの事松白君も気にしてたのか。
「確かに私は驚きはしたよ、いきなり告白されるし………手は離さないし………。」
「あははは、ごめんごめん。」
「でも、あんなんで私は嫌いになったりしないよ。」
松白君は嬉しそうに言う、
「良かった、じゃあまだ俺にもチャンスはあるってことだな!」
「そうだけど、そうじゃなくて!」
そうやって話しているうちに雨はいつの間にか弱くなっていた。
私は家の近くまで来ていたので、松白君に送ってもらった礼を言って帰った。
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