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秋の桜海祭編
屋上で
しおりを挟む学校に桜海祭の話題が出て数日後……。
すっかりと校内は桜海祭の準備で盛り上がっていた。
この放課後にも部活動の生徒の声だけではなく、桜海祭の準備で活動している人達の声が響いている。
「わぁ~、きれーい。」
秋らしく空が茜色に染まり風情感じる空模様になっている。
教室の窓から見える空も綺麗だったが、ここの屋上から見える景色の方が格別だった。
屋上では涼しい風が優しく吹きわたる。
(こんな、所で寝れたら最高なんだろうなぁ。)
そんなことを考えながら屋上を少し歩いていると、私と同じ考えだったのか空を見上げ寝そべってる生徒がいた。
「あっ。」
近くに行ったら気付いたが松白君だった。
私は声をかける。
「松白君何してんの?」
「お、さくらか。………何か空が綺麗だからさ、久しぶりに寝そべってみたくなって。」
そういって松白君は目を閉じる。
私も寝てみたかったが、やっぱり隣に座るだけにした。
そして松白君の隣で遠くの空を見ながら、私は話す。
「この前まで夏だったのに、すっかり秋になっちゃったね。」
「そうだな。……時間なんてあっという間に過ぎていくもんな。」
そう答える松白君は、どこかいつもと違う雰囲気がした。
私は、松白君の方を見て話す。
「松白君何かあったでしょ?」
「えっ!何だよ急に。」
焦ってるということは図星なのだろう。
じっと見つめる私に松白君は観念したのか打ち明ける。
「……あいつが、勝負する種目を決めてきた。」
「えっ。」
もしかして夏合宿にした勢也君との勝負のことか。
私は松白君に聞く。
「なんの種目だったの?」
「かけっこやマラソン。運に左右されないあいつらしい実力勝負のものばかりだった。」
「へぇ~、そっか。」
寝ていた松白君は起き上がる。
「何か意外な反応だな、さくら。」
「だって松白君は負けないんでしょ?だったら問題ないじゃん。」
その答えに松白君は笑いだした。
「あははは、そうだな。あの時俺は負けないから心配するなって言ってたっけ。」
松白君は立ち上がる。
「久しぶりに一緒に帰ろうぜ。」
「えっ!あっ、うん。」
唐突な誘いに変な声が出てしまった。
そして私達は帰る準備をして夕陽が照らす中一緒に帰る。
いろんなことをずっと喋りながら。
「今日はありがとうな、さくら。」
「ううん、こっちも楽しかったよ。」
そういってこっちに手を振る松白君は、いつもの爽やかな松白君だった。
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