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秋の桜海祭編
文化祭ーミス桜海 3回戦を終えて
しおりを挟む「ごめん、杏ちゃん見なかった?」
「杏ですか?見てないですよ。」
私は杏ちゃんのことを1年生に聞いてみるが、まだ見かけた人を見つけられない。
杏ちゃんはどこに行ったのだろうか?
私はいろんな人に聞いて探し回る。
「杏ちゃん、校舎の裏に走っていくのを私見ましたよ。」
「ほんとうに!?」
探し始めてから数分、ようやく有力な情報を得られた。
その話を聞いた私は、急いで靴を履きかえ校舎裏に向かう。
「やっと見つけた!」
「あ、染井先輩。」
校舎裏の日陰に杏ちゃんは体育座りして、うずくまっていた。
杏ちゃん泣いていたのか目が真っ赤になっていた。
「ご、ごめんなさい。先輩に迷惑をかけて………。」
「気にしなくていいよ。……それより何があったの?」
私は杏ちゃんに尋ねる。
「…………橘先輩に脅されたんです。」
「えっ?」
「次の試合辞退しないと染井先輩に嫌がらせするぞって。」
あまりにも衝撃的な内容だった。
「………私、どうしたらいいか分からなくて。」
杏ちゃんは私のことを思って、一人悩んで苦しんでいたのか。
「ごめん!私がきづいてあげられなくて。」
「そんな、染井先輩のせいじゃないですよ。」
なんて情けないのだろう私は。
パートナー探し、3回戦のお題、それらばかりに気をとられて一番大事なものが見えていなかったではないか。
私は、杏ちゃんにかけてあげる言葉が見つからなかった。
「………先輩。」
「どうしたの?」
杏ちゃんはこちらを見る。
「………3回戦どうでしたか?」
「いろいろあったけど何とかなりそうだよ。」
「そうですか、それなら良かったです。……よしっ。」
そう言って杏ちゃんは立ち上がる。
「私は、また来年リベンジします。なので今年は染井先輩が勝ってください。絶対に勝ってください。」
「うん、任せて。」
何て心強いエールだろうか。
負ける気がしないや。
「染井先輩ご迷惑おかけしました。会場に戻りましょう。」
「うん。」
そして私と杏ちゃんは会場に戻ることにした。
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