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閑話
33・シャーリーの休暇(1)
しおりを挟む「やっと休暇が取れたから、1週間遊びに行くわね!」
と、シャロンから連絡が来たのは昨日のことだった。
どうしてもっと早く連絡をしないんだろう、あの兄は。
ソーヴィは額に手を当て、これから訪れる乱痴気騒ぎを思い、深いため息を吐いた。
母屋の裏にある物置小屋を漁っていると、ぴょこぴょこと小さなウサギのように愛らしいアユリが、しゃがんでいるソーヴィの肩口から覗き込む。
「ソーヴィ、なーにしてんの?」
思いを伝え合い、晴れて両思いになってから、アユリは明るく、よく喋るようになった。
今までは何かと堪えているように見えていたので、ソーヴィにとっては嬉しい変化だ。
「あー…ごめん。言い忘れてた。多分そろそろ、シャロン御一行様が来るんだよね。」
「そうなのー?!シャーリー来るの!?嬉しい!あっ、歓迎の準備してない!」
弾けるように笑うアユリは、今すぐ押し倒してしまいたいほど愛らしいが、それもできないほどソーヴィはうんざりしていた。
「いい、いい。向こうが勝手にパーティし出すから。そして、これがその為の準備っと。」
ソーヴィが小屋から引っ張り出したのは、様々な棒と布だった。予想もつかないアユリは、ワクワクとした瞳でそれを見ている。
「これをね、畑と湖の間に、組み立てるんだ。なんて言えばいいのかな…簡易的な家になるんだけど。」
「えー!すごい!見たい!」
「今から組み立てるから、一緒に行こうか。」
「うん!」
ソーヴィは愛しい恋人の頬にキスをし、重いものを魔法で移動させ、二人は手を繋いでその後ろを歩く。
「この辺かな。」
パーツごとに分け、空中で展開させたら、あとは勝手に組み立っていく。
「わー、すごーい。なんか、豪華なテントみたい。いや、もっとすごいやつ。グランピング的なやつ!」
「…なにそれ?」
アユリはたまに、ソーヴィの知らないことを口にする。そのほとんどは、前の世界での事柄だ。
「うーん、外でご飯作ったり遊んだりして、夜は小さい布製の部屋みたいなので寝るの。それがキャンプっていう…活動?趣味?それの豪華なやつがグランピング。」
「へえー、そうなんだ。アユリはしたことあるの?」
「子どもの時に家族で行ったかなー。大人になってからは、行ってない。」
出来上がった簡易的な家は、母屋のリビングダイニングくらいの大きさがあった。
「あとは、シャロンが荷物を持ってくるから、それを並べて勝手に滞在するよ。」
「わあー、出来上がったらお邪魔させて欲しいなあ。」
「…お茶でも用意しておこうか。」
「うん!」
とことんアユリに甘いソーヴィである。
お茶とお茶菓子の準備をしていると、転送許可依頼が来た。
「アユリ、シャロンが来るよ。」
「外に出てるー!」
はしゃいで外に出るので、転送許可を出すとすぐにシャロンが現れた。
「ハーアーイ!シャーリーちゃんよー!」
母屋の前には、シャロンとお付きのメイドが6人立っていた。
シャロンはアユリを見つけると、サッと移動して抱きしめる。
「アユリちゃーん!元気だった?」
「うん、シャーリーも元気そうで良かった。お仕事、忙しいの?」
「そうなの、無駄にやること多いのよねえ。簡易化させたいわー。」
二人が抱きしめ合ったまま話しているのが気に食わず、ソーヴィがシャロンを引き剥がす。
「シャロン、アユリがお茶会したいって言ってるから、とっとと荷物を運んで住めるようにしてくれ。」
「はいはい、やりますよー。嫉妬に狂った男は怖いわねえ。メイドちゃん達、行きましょう。」
「はぁい、シャーリー様ぁ!」
後ろをついていくメイド達は、シャーリーに負けず劣らず美女と美少女揃い。そして、メイドと言いつつも、この国らしく丈の長いワンピースと、胸を主張するタイプのエプロンをつけていた。みんな、ワンピースのスリットが腰まで入っていて、下着のサイドが丸見えだ。
「な、なんて目の毒なメイドさん達…!」
「…あれは、シャロンの趣味だよ。全員、シャロンのお手つきだし。」
前に休暇滞在していた時とメンバーは変わっているので、良縁でもあったのかもしれない。シャロンの家で働くというのは、かなり箔がつくのだ。
「…わお…そっか…そうだよね。シャーリーの童貞喪失はメイドさんだもんね。」
「そんなことまで覚えてなくていいから。」
きゃっきゃうふふと移動するシャーリー御一行を眺めていた。
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