【R18】次に目を開けた時、イケメンのベッドの中に異世界転移してました。

３章 譲位騒乱

６２・２人の過去

私の手を握りながら、遠い目をして絞り出すように話出した。
「俺はね、城にいた頃…王位継承権の筆頭だったんだ。魔力量と魔法技術が高かったから。」
「…王様は強そうな方が威厳あるもんね。」
「ククッ、そうだね。で、１８歳になったら今みたいな無敵状態になっちゃって、今日のアイツやその支援者に、毎日のように暗殺されそうになったんだ。俺は防御能力が生まれつき強いから、なかなか死ぬことはないんだけど…周りの従者がね。」
グレーの瞳に宿る影は、辛かったことを思い出しているからだろうか。とても苦しそうで、私まで悲しくなった。
ソーヴィの柔らかな金髪を撫でて、繋いだ手を強く握り返す。
「俺を生かす為に、周りがいなくなることに耐えられなくて…俺は王位継承権を返上したんだ。犠牲を出さないよう守ることも、やり返すこともできない。結局、俺は国王に向いてないんだよ。」
唇を噛み締めて、何かを耐えるように目を閉じた。
「長いこと隠れ住んで、１人研究に没頭していじけてさ。アユリが来てくれなかったら、そのうち自暴自棄になって死んでたと思う。」
「そんなことないよ、ソーヴィはお城から離れることで周りの人を守ったんでしょ。研究だって病気や悩みを持っている人の役に立とうと頑張ってるし、お客さんはみんなソーヴィが好きだよ。ソーヴィは辛いことも悲しいことも全部自分で受け止めて、頑張ってきたんだよ。すごいことだよ。」
子犬のように目を濡らすソーヴィに、そっと笑いかけた。
「私は、向こうの世界で…生きてるのか死んでるのか分からない生活を送ってた。ずっと１人で、おばあちゃんになって、ポツンと死ぬんだと思ってたの。だから私の方こそ、ソーヴィのいる世界に来られて良かった。」
ソーヴィの手が私の頬に伸び、そっと指で撫でる。
「アユリ…俺たちは、足りない物を補い合えているんだね。」
「うん…ピッタリくっついてるの。女神様がね、私が一番生きやすい場所に送りますって言ってくれたのが、ソーヴィのベッドの中だった。」
頬にあった手が後頭部まで移動し、引き寄せられ、キスをされた。
「俺にとってもアユリの隣が、一番生きやすい場所になったよ。」
「…嬉しい。」
心がポカポカと暖まり、愛しい気持ちでいっぱいになった。
大好きな、私だけの王子様。
「アユリが幼馴染としてお城にいてくれたら、もっと魔法能力の向上が出来たと思うんだよね。」
「えー！でも絶対にえっちなことしてくるでしょ！」
「しないわけないじゃん！俺の精通が来たら、すぐにしてたに決まってる。」
ど、どエロ脳ー！精通って…リアル！
「でもでも、私の方がお姉さんだから、ソーヴィより先に経験してたかもよ！」
「えっ？！…アユリ、俺より年上なの？」
ギョッとしたソーヴィが、私の頬を両手で挟む。
さっきの会話から推察したことが間違ってなければ、私の方が年上だ。見た目が大人っぽいから同じくらいかなあっと思ってたんだけど。
「３歳くらい…かな。」
「俺、もうすぐ２３歳になるよ。」
「うん、じゃあやっぱり３歳上。」
まさか年下とは思ってなかったよ…
「シャロンより１歳下なんだ。へえ…ふうん…」
なんだかニマニマと嬉しそうに見えるんだけど、何で？
「ねえ、アユリお姉ちゃん？俺ね、さっきたくさん魔法を使ったから、すっごく苦しいんだ。」
「えっ…うん…そうだね。」
アユリお姉ちゃん…だと…
嫌な予感がする。
赤い舌で唇をぺろりと舐めて、ソーヴィが淫靡に笑った。
「アユリお姉ちゃんが苦しいところシコシコして治してくれたら、俺とっても元気になれる気がする。」
私の手を掴み、ソーヴィが足の付け根に持って行く。手のひらに熱くて硬いものが、服越しに擦りつけられてお腹の奥がギュッとした。
もう、元気じゃん！！
「ねえ、アユリお姉ちゃん…お願い？」
頬を赤らめて、上目遣いでおねだりされている…
うう…可愛い…
「…苦しいのが、治るまでだよ？」
「うん、ありがとう。」
ああ全然、年下の弟になんて見えないし、熱い吐息が漏れて、すっごくセクシーで雄が満ち満ちているというのに…！
私はこれから、ソーヴィのお姉ちゃんとして甘やかすことになりました…
どうすればいいのかな…