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終章・二人のこれから
98・挨拶
しおりを挟む一番賑やかなのは、大所帯のシャーリー達だ。
メイドさん達は来れるだけ来てくれて、シャーリーを囲んできゃぴきゃぴしている。
「シャーリー!」
手を振ると、振り返してくれた。神官服から着替えて、女装したシャーリーは完成された美女だ。
こんなに気さくで美人な王様って、あんまりいないんじゃないかな。
「アユリちゃん、ソーヴィ、おめでとうー!」
「…もう出来上がってるだろ。」
陽気な兄を見て、ソーヴィが眉をひそめる。
「こーんなに美味しい料理とお酒があって、止まるわけないでしょー!」
あーん、とお肉を刺したフォークを、周りのメイドさん達に食べさせている。いつもの光景。
「美味しいですわあ、さすがソーヴィ様。」
「ご馳走になりますわあ。」
「喜んでもらえたなら、なによりだよ。」
うんうん、いいねえ。楽しいのが一番だよね。
「シャーリー、メイドさん達、たくさんお手伝いしてくれて、ありがとうございます。感謝してます。」
「いいのよ、可愛い妹と弟のためだもの。」
「そうですわ、アユリ様とソーヴィ様のお手伝いが出来て、大変光栄です。」
「ええ、とても名誉なことですわ。」
「とても素敵なお式でした。」
「私も、結婚式を挙げる際は、アユリ様のように誓いのキスをしたいですわ。」
口々に褒めてくれて、嬉しくてまた泣いちゃいそう。
「ありがとう…!」
ソーヴィが私の頭を抱いて、髪にキスを落とす。
「はあ…理想の夫婦像ですわ…」
「私も結婚したいですわ…」
「あらっ、私はシャーリー様とまだまだいちゃいちゃいたしますわよ!」
「私だって!」
それぞれが楽しそうに話し出すのを見て、そっと席を離れる。
少し空けて、ゆっくりとお酒を楽しみながら、周りを見ているお義父さんに近づいた。
「本日は来てくださってありがとうございます。」
「こちらこそ、良い式だったよ。」
眉を緩めて口元を綻ばせる顔は、少しだけソーヴィに似ている。
そんな息子は、気持ち気まずそうだけれど、しっかりと答えた。
「ありがとうございます。」
「…素敵な女性を、見つけたんだな。」
「そうですね、俺にはもったいないくらいです。」
私を見て微笑むソーヴィは微塵も嘘がなくて、くすぐったい。
「…もし、産まれたら…私にも抱かせてもらえるだろうか。」
「えっ?!」
照れているのか、目を伏せてお酒を含んでいる。
「…報告しますよ、産まれたら。」
これはアレか、孫ってことか。
「あっ、もちろんです!おじいちゃんですから!」
子どもが出来たら、もっと二人が仲良くなれるだろうか。そうだったら、嬉しい。
いつも中出しはしてるけど、ソーヴィが避妊してるから、いつ出来るのかは分かんないな。式も挙げたし、相談してみようかな。
「ありがとう。」
「とんでもない!あの、また遊びに来てください。ソーヴィの朝ごはん、一緒に食べましょう!」
「…そうだな、ありがとう、アユリさん。」
「いいえ!」
なんか、めっちゃ嬉しい。
ぎこちないけど、歩み寄ってるじゃん!
「パパー!楽しんでるー?」
へべれけに寄ったアルシーさんが、お義父さんの首に抱きついた。
「…アルシー、羽目を外さないように。」
「きゃははは!」
アルシーさんは笑って全然聞いてないけど、お義父さんは嬉しそうに微笑んだ。
「良かったね、ソーヴィ。」
「…まあ、たまにはね。」
キュッと手を繋いで、楽しそうに騒いでいるみんなを眺めた。
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