【R18】みだりに近づかないでください!

はこスミレ

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「はあー?!なんなの?!なんなのそれー!!そんなことされたら、絶対に自分のこと好きなんじゃって思うじゃん!?」
「俺も、そう思う」
 いつものように私の部屋で灯里がダラダラしているが、今日は珍しく元要も来ていた。
「そうかなあ…」
「なんでいつも自信満々なのに、日晴くんに関しては弱気なの?!」
「あかりん、りんはね、事実は絶対に否定しないけど、不安要素が少しでもあるものには臆病なんだよ」
 元要がフローリングにゴロンと横になる。図体ばかりが大きく育って、可愛げがなくなってしまった。
「じゃあ、相手から言われた言葉は信じるってこと?疑わずに?」
「りんは疑り深いから、言葉だけじゃなくて、分かりやすく示さないとダメ。だから、あかりんと仲が良いんでしょ」
 灯里は温くなったホットココアをごくごくと飲み干した。ココアって、そうやって飲むものじゃないと思う。
「まあ、私と言えば分かりやすさの極みだけど。でも、抱きしめられたんだよ?しかも充電って言われてるんだよ?そんなの、好きじゃん!疑う余地ある?」
「俺は、日晴くんを見たことないから分かんないけど、りんがこうなってるってことは、よっぽどマトモで大人なんでしょ」
 私のマグマカップは既に空っぽだ。何か飲み物を追加しようかな。
「うん。落ち着いてるし、爽やかだし、余裕ある感じ」
「遊んでそう?」
「ううん、誠実そう」
「じゃあ、りんのこと好きなんじゃない?」
「絶対そんなんじゃない」
 思い出すだけで顔が熱くなるけど、日晴くんはそんなんじゃない。
「なんでそんなに頑ななのー?!好きでしょ!」
 灯里がクッションをギュウギュウにして叫ぶ。
「日晴くんは、変な目で私のこと見ないから」
 ゆうくんみたいに、いつも優しく私を見守ってくれている、そういう目だ。
 それは、恋愛の好きとは言わない。
「えっ…そうなの?日晴くんて、りんのことやらしい目で見てないの?」
「元要、言い方!あのさー!斎藤くんだって、私のこと常にヤラシイ目で見てないからね!そういう雰囲気の時だけで、それ以外はめちゃくちゃ普通だからね!?」
 そう言われると、確かに。斎藤からは一切何も感じられない。本当、朴念仁て感じだ。
「斎藤だけでは?」
「倫音はさ、常にそういう視線に晒されるのが普通だったんだね…だから、同じ歳くらいの普通の男の子の、普通の感情を知らないんだね…」
 灯里が私の両肩を掴んだ。
「ちゃんと、まともな人はね。好きになったからって常にやらしい目で見てこないからね。心の中では考えてても、見せないし」
「それは、分かるけど」

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